ミステリ

ミステリランキングの傾向と読解

今年も年末恒例、ミステリのランキング本がいくつも発売されたので買ってみました。週間文春の「ミステリーベスト10」、 30年目のこのミスこと「このミステリーがすごい!」(宝島社)、 探偵小説研究会「本格ミステリベスト10」 そしてハヤカワミステリマ…

2017年 是非読むべき香港ミステリ 陳 浩基「13・67」

華文(中国語)ミステリーの到達点を示す記念碑的傑作が、ついに日本上陸! 現在(2013年)から1967年へ、1人の名刑事の警察人生を遡りながら、香港社会の変化(アイデンティティ、生活・風景、警察=権力)をたどる逆年代記(リバース・クロノロジー)形式の…

“アレ”であふれる山荘の密室殺人 今村昌弘「屍人荘の殺人」

たった一時間半で世界は一変した。 全員が死ぬか生きるかの極限状況下で起きる密室殺人。 史上稀に見る激戦の選考を圧倒的評価で制した、第27回鮎川哲也賞受賞作。 鮎川賞受賞作、とのことで早速読んでみました。予備知識無しで読むのが面白いと思いますが、…

ミステリーとサスペンスの違いとは?デタラメを否定するために説明してみた。

www.tamashii-yusaburuyo.work どうもミステリ警察です。ろくにミステリに対して愛も知識もないこんな輩に、何の解説を求めるのかって話ですが。 「最初から犯人がわかってるのがサスペンスなので古畑やコロンボはサスペンスだ!」って、いやいや……。ミステ…

新本格ミステリ30年の歴史を振り返ってみた

今年は、新本格ミステリが始まって30週年だそうでして、そりゃあ歳もとる……。 それまで洋ミスばかり読んでいた自分が新本格を切っ掛けに国内ミステリを読みはじめ、まさか30年も読み続けることになるとは。今回は、そんな新本格ミステリ30年の歴史を、一読者…

暗殺の波状攻撃 VS 早すぎる名探偵 井上真偽「探偵が早すぎる(下)」

「俺はまだ、トリックを仕掛けてすらいないんだぞ!?」完全犯罪を企み、実行する前に、探偵に見抜かれてしまった犯人の悲鳴が響く。父から莫大な遺産を相続した女子高生の一華。四十九日の法要で、彼女を暗殺するチャンスは、寺での読経時、墓での納骨時、ホ…

ゼロどころかマイナスで解決する探偵 井上真偽「探偵が早すぎる(上)」

犯行計画を立てただけなのに……どこからともなく名探偵がやってきた?完全犯罪をもくろむ殺人者は、誰にも見破られぬように犯罪計画を立てた……はずだった。「キミ、殺そうとしてるよね?」彼の犯罪計画の穴とは!?ミステリ界が今、最も注目する才能が放つ、究…

容疑者:掟上今日子 西尾維新「掟上今日子の裏表紙」

強盗殺人事件の容疑者として逮捕された忘却探偵・掟上今日子。現場で血まみれの凶器を握りしめて眠っていたところを発見された彼女は、事件の記憶を忘れていた。檻の中から事件の調査をしたいと申し出た今日子さんに対峙するのは、「冤罪製造器」の異名をも…

「貴族探偵」とコメディの相性が良すぎる問題

togetter.com このTogetterまとめ通り、確かに原作を読んでいても映像化はキチンとされてる。 綾辻氏の悲劇と比べればなんぼのものかと。 ただ個人的には貴族探偵とコメディドラマの相性の良さが気になった。 相性が良すぎるのもそれはそれで問題。 【スポン…

ドラマ「そして誰もいなくなった」は"相棒"和泉聖治らしい正義vs正義

www.tv-asahi.co.jp ※ネタバレあり テレ朝の二夜連続スペシャルドラマとして放送された「そして誰もいなくなった」 オープニングに「アガサ・クリスティ原作」を掲げただけに、大幅な脚色はなく大まかなストーリーは原作通り。ただ現代を舞台にしたり、今っ…

【投稿】貴族探偵【お知らせ】

シミルボンに投稿しました。祝ドラマ化 麻耶雄嵩「貴族探偵」です。↓リンク先ドラマ化で「貴族探偵」を知った方のための貴族探偵解説/シミルボン詳細は、リンク先で是非どうぞ。貴族探偵 (集英社文庫)posted with amazlet at 17.02.22麻耶 雄嵩 集英社 (201…

【連絡】シミルボン:寄稿のお知らせ

お忙しいところ失礼いたします。 いつもお世話になっております。 管理人です。シミルボンへの寄稿が増えましたのでご報告させていただきます。 もし、お暇がありましたら是非ご覧いただきますようお願い申し上げます。 どれも、そこそこ長文ですので……。四…

Kindleのアガサ・クリスティー全作が半額なのでオススメ6作品

原作ドラマが次々とTVで放送されるなど、「ミステリの女王」として今なお強い人気を誇るアガサ・クリスティー。今年は没後40年の節目の年でもあります。現在、主要電子書籍書店では『そして誰もいなくなった』『オリエント急行の殺人』『アクロイド殺し』な…

【寄稿】麻耶雄嵩「貴族探偵対女探偵」【お知らせ】

シミルボンに寄稿しました。今回は、麻耶雄嵩「女探偵対貴族探偵」をとりあげてみました。 自分では推理をせず使用人に推理させる貴族探偵シリーズ第二弾。↓リンク先真面目な女探偵とブルジョワ貴族探偵、宿命の対決/シミルボン詳細は、リンク先で是非どう…

ドラマ「IQ246」に見る不必要な小ネタと雑情報

www.tbs.co.jpTBSの日曜9時といえばドラマ枠。 過去には半沢直樹や下町ロケットなど数多くのヒットドラマを生み出した。 今シーズンはそこで探偵物が始まった。 「IQ246」 暇を持て余した天才的IQを持つ貴族が探偵として事件を解決する、という内容。見始め…

【寄稿】市川 憂人「ジェリーフィッシュは凍らない」【お知らせ】

シミルボンに寄稿しました。第26回鮎川哲也賞受賞作品 市川憂人「ジェリーフィッシュは凍らない」をとりあげてみました。 出たばかりの新刊です。↓リンク先移動する密室。飛行船内での連続殺人の謎/シミルボン<ジェリーフィッシュ>と呼ばれる小型飛行船。…

ミステリ愛あふれるマニアのための“読者への挑戦状” 法月綸太郎「挑戦者たち」

賢明すぎる読者諸君に告ぐ――これは伝説のミステリ奇書である。こんな本、ありか!? パロディありクイズあり迷路あり。レーモン・クノーに触発されて、古今東西の名作のエッセンスに彩られたミステリ万華鏡。ブッキッシュで過剰な仕掛けと洒脱な文体遊戯でマニ…

大量連続殺人を阻止できるのか?! 西尾維新「掟上今日子の家計簿」

眠るたび記憶がリセットされる名探偵・掟上今日子。 引き受けた事件は即日解決の彼女のもとに、今日も悩める刑事からの難題が舞い込んだ。 呼び出されたのはなぜか、事件現場ではなく遊園地。依頼は、ある事件の容疑者より速く、巨大な脱出ゲームをクリアす…

江戸川乱歩賞受賞 家族全員シリアルキラーのミステリ「QJKJQ」

市野亜李亜(いちのありあ)は十七歳の女子高生。猟奇殺人鬼の一家で育ち、彼女自身もスタッグナイフで人を刺し殺す。猟奇殺人の秘密を共有しながら一家はひっそりと暮らしていたが、ある日、亜李亜は部屋で惨殺された兄を発見する。その直後、母の姿も消え…

援交女子高生探偵と七人の援交相手のミステリ 早坂吝「虹色の歯ブラシ」

「○○○○○○○○殺人事件」で鮮烈デビューした「奇才」の新作! 上木らいちは多くの客と援交している高校生で、優秀な探偵でもある。殺人現場に残された十二枚の遺体のカラーコピー、密室内で腕を切断されて殺害された教祖、らいちをどこからか監視する謎の視線――…

黒岩涙香を巡る衒学趣味重厚な暗号ミステリ 竹本健治「涙香迷宮」

明治の傑物・黒岩涙香が残した最高難度の暗号に挑むのは、IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久! これぞ暗号ミステリの最高峰! いろは四十八文字を一度ずつ、すべて使って作るという、日本語の技巧と遊戯性をとことん極めた「いろは歌」四十八首が挑戦状。そこに…

神や怪獣や平行次元やタイムスリップや超能力や結合人間が出てくる変なミステリまとめ(雑

anond.hatelabo.jp 異種ルールの定義だが、端的に言えば現実ではありえない事が基礎となっているミステリのこと。 そのミステリの中の世界でのみ成立していて、それがメイントリック含め世界観を構築するのに役立っている物だ。 かといって、論理的に破綻し…

忘却探偵の長編はどうだろう? 西尾維新「掟上今日子の婚姻届」

忘却探偵・掟上今日子、「はじめて」の講演会。檀上の今日子さんに投げかけられた危うい恋の質問をきっかけに、冤罪体質の青年・隠館厄介は思わぬプロポーズを受けることとなり……。美しき忘却探偵は、呪われた結婚を阻止できるのか!? 掟上今日子シリーズの…

前向性健忘症の主人公vs記憶捏造殺人鬼の顛末 小林泰三「記憶破断者」

頼りになるのは、ノートだけ。記憶がもたない男は、記憶を書き換える殺人鬼に勝てるのか?見覚えのない部屋で目覚めた二吉。目の前には一冊のノート。そこに記されていたのは、自分が前向性健忘症であることと「今、自分は殺人鬼と戦っている」ということだっ…

【黒い家】KINDLEで貴志祐介作品が50%セール中【硝子のハンマー】

GWに合わせてアマゾンKindleで角川の電子書籍がセール中。いろいろあるが、中でも貴志祐介作品の多くがセール対象。 50%オフで値ごろ感ある。 【スポンサーリンク】 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});

上質なボーナストラック「殊能将之 未発表短篇集」

デビュー後、編集部の要請で送られていた習作短篇3篇とデビュー当時の様子を友人に書き送った「ハサミ男の秘密の日記」を収録。独特の笑いとセンス、ペーソスを湛えた殊能将之初期作品集。 【スポンサーリンク】 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).p…

まんま 映画「イニシエーションラブ」

あの原作をどう映画化しているのか、というところに興味があるわけですが。 まぁ、まんまですね。1回しか観てませんが。 原作未読なら原作を読む方がいいかと。以下、ネタバレありで。 【スポンサーリンク】 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push(…

誰が殺さなかったのか? 小川一水「トネイロ会の非殺人事件」

森のペンションに集った十人の男女。恐喝を受けた相手を全員で協力し殺害するが、裏切り者がいることが判明する。殺人に手を下さなかった一人は誰だ?(表題作)。その他、閉鎖された宇宙訓練施設で起こる毒ガス殺人事件(「星風よ、淀みに吹け」)、父の遺言の不…

多重解決ミステリの大伽藍 深水黎一郎「ミステリー・アリーナ」

『最後のトリック』の著者による、多重解決の極北! ある屋敷で起こった不可解な殺人事件、これに挑むのは いずれも腕に覚えのある〝ミステリ読みのプロ〟たち。 勝てば一攫千金のバトルロワイヤル、結末は〝真実〟か! 以下、ネタバレなしで。 【スポンサーリ…

ミステリとしての完成度高め 西尾維新「掟上今日子の退職願」

退職願を胸ポケットに忍ばせ、波止場警部は揺れていた。彼女の最後の事件は、公園の噴水に浮かび上がった水死体。しかしその不可解さゆえ、名高い忘却探偵・掟上今日子と協力捜査することになり……。辞めたがりの刑事と仕事中毒の名探偵。奇妙なタッグが謎に…