Atoms For Peace「Amok」を聴いて思う事

Radioheadのvoトム・ヨークとプロデューサーのナイジェル・ゴッドリッチ、レッチリのベーシスト フリーが組んだスーパーバンドAtoms For Peace。

勿論、フジロックで来日した時は見に行きましたよ。
だだっ広いグリーンステージを埋め尽くす観衆の中、夜空の下でステージの色鮮やかな照明と音に包まれながら。

その後の雨で死ぬほど凍えましたけどw


で、そんなAtoms For Peaceの1stアルバムがいよいよ登場した訳です。
Atoms For Peaceアルバム全曲試聴開始、トム・ヨーク原発について語る動画も/CINRA.NET
http://www.cinra.net/news/2013/02/19/200521.php
全曲試聴も無視して楽しみにして、iTunesから早速DL。


長ったらしい前置き


Radioheadはロックバンドとしてデビューして、Creepが大ヒット。
しかしその世間での人気と自分たちの思惑の違いから2ndアルバムに「ザ・ベンズ」(潜水病・減圧症)というシニカルな名前を付け発表する。

KidAとAmnesiacの双子アルバムを発表する頃にはジョニー・グリーンウッドの「何の意味も無い。すべてが変わってしまった。完全にイカれてるだけだ」やトム・ヨ-クの「ロックなんてクズ音楽じゃないか」発言があり、ロック音楽から乖離を始める。
バンドはヒット曲のCreepを封印。
ライヴでの演奏をしなくなる*1
音楽性はロックからエレクトロへ移行、オウテカからの影響も口にしている。

しかしバンドはそこからロックとエレクトロを混ざり始めた音楽性に移行。
2003年のサマーソニックで来日した際はアンコールで久々のCreepを披露*2

そして2006年にトムヨークはソロアルバムを発表する。


ソロアルバムの音はRadioheadが移行しているエレクトロ・ロックな音と比較してかなりエレクトロ寄りで、シーケンサーで重ねた音に自分のvoを乗っけるようなKidAやAmnesiac系の音に近い。
だからソロ名義で当時出す必要があったんだろうと思う。


私見


そして今回のAFP名義での発表。

音はエレクトロ・打ち込みにトムヨークの透明な声が乗っかり、そこにフリーのチョッパー(スラップ奏法)ベースが絡みついてる。
トムの声は相変わらずの広がりを持っていて、Museみたいに豪華で広大でもMewみたいにファンタジックでメランコリックでも無い。
無機質な音の中で冷ややかで神々しい。
でも何か足りない。
Creepのブラッシングノイズや、パラノイド・アンドロイドのような複雑な転調や。
そういうフックやシンボリックなモノが無い。勿論一つ一つのクオリティは高いし、楽しんで作っているのも判る。トムのソロの音にフリーのベースがあって、ナイジェルの打ち込みと、ドラムと。
でも聞き終わると全体がモヤがかかったように漠然としてる。
Radioheadが向かっているのとは違う方向性のソロ作の延長線上、Radioheadでは出せない/さない音、作らない/れない音。
The Eraserの時はツアー中にラップトップを持ち歩いて、ビートやらコードやら断片を組み上げて、Nigelに特にボーカルもなく渡して、彼と座って聞くわけ。で「多分ここに何か入るよね」とか考えたりした。けど、AMOKはかなり素材があったんだよね。だからそれをどうやってまとめるかにかかってて、完全に違うものになったり。その後、よりまとめてNigelに渡したよ。
それほどツアーに出てなかったし、この方法ではラップトップもあまり使ってなかった。
それにラップトップでやるとか飽きてたし、視野が狭くなる。
バンドが持つリズムに反応するにはスタジオでやりたいし、考え以前にそこから始まるからね。
だけどそれで自分はたくさんの素材を生み出してるんだってわかって、そこに編集工程も備わってた。ものすごい早さだったよ。彼はほんと早くやるからね

Thom Yorke interview on RA:whiteboard


全曲試聴できるので是非聴いてみて欲しい。
勿論人それぞれの感想があって、全然違う感想の人もいるだろう。
予備知識の有り無しでも随分と変わるだろう、聴く環境によっても違う。

*1:その後2001年オックスフォード サウスパーク公演。アンコールの最後、機材トラブルにより演奏不可能となったMotion Picture Soundtrackに代わってCreepが歌われるまで封印は続く。その後アメリカツアーのセットリスト半ばで演奏したりする事もあった

*2:勿論アリーナで見てました。泣きそうになった