アイアムアヒーロー11巻を読んだ

アイアムアヒーロー11巻を読んだ(以下、ネタバレあります)
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主人公・英雄の見る怪物の幻覚も、現実世界の地獄絵図に圧倒されて今やそんな設定も忘却の彼方。
ゾンビ映画定番の展開になる立てこもりも、集団における人間関係も前巻までのショッピングモールで描いた。
ZQNに意識や思考があるのか(意識があり思考が出来るなら人間に...しかし映画「ランド・オブ・ザ・デッド」のゾンビはあくまで最後までゾンビだった)という比呂美のエピソードもあるが、ZQNの正体やパンデミックに関しても徐々に描きつつ物語は展開。


ゾンビをテーマにアメリカで連続ドラマ(原作はコミック)として放送している「ウォーキングデッド」に総督というキャラが登場する。
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主人公(元警官)らは、ゾンビから逃れて刑務所に立てこもる。
しかし食料を確保しに出た仲間がさらわれ、さらわれたのが総督と呼ばれる人物が支配する街だと判る。表向きは善人だが倫理観の欠如した総督はウォーキングデッドの終末世界での「人間の怖さ」を体現するキャラとして登場してる。

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元々、ゾンビものは長編に向いていない。

例えば吸血鬼が登場するなら倒すための準備や探索、吸血鬼の仕掛けなどがあったり、頭脳での駆け引きや不死に関してなど物語を構成する材料が色々とある。
ジョジョの奇妙な冒険」では少年ジャンプ的要素である修行やスタンドという超能力の可視化なんかも盛り込んでシリーズを継続させてきた。

ゾンビものはゾンビと言うクリーチャーの頭脳が低い設定の為、主人公らに何か駆け引きを仕掛けたり、企んだりする展開を描きにくい。
だからサバイバルもので描かれる集団内での人間関係や人間の残酷さを描いたりする。

そしてゾンビものには明確なゴールが無い事が多い。
「凶悪な怪物を倒せば終わり」ならゴールは簡単だが、ゾンビは数が多いしヒトの社会がゾンビによって崩壊した後の終末的な世界が舞台となるので、どこまで逃げても結局変わらぬ終末世界しかないという事になる。

短編として盛り込むには材料は充分だが、長編で描くと冗長になってしまう。
だからゾンビものの長編は、複数目線や、明確な敵(人間や組織)を設定することで、物語の展開を継続させる。
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アイアムアヒーロー10~11巻では主人公・英雄らの逃避行エピソードは一旦保留。
引きこもり少年 江崎崇が来栖らの仲間とともに行動するエピソードが描かれてる。
来栖はZQNと化した自分の母親を椅子に縛り付けてバットで何度も殴りつけた映像をアップロードした「有名人」。
2chを思わせる掲示板、動画サイト、自宅警備員。ウォーキングデッドの総督が人間の怖さを体現する存在だとしたら、アイアムアヒーロー来栖は「現代のウェブ上での人間の怖さ」を体現しているキャラに思える。
(比呂美のエピソードが来栖に繋がるって展開なのかな...同類として)


ゾンビものは大概がバッドエンドか、逃避行の途中で終了を迎える。
映画「ゾンビ」ではヘリで逃走し、「ドーンオブザデッド」では船で逃げた先の小島にもゾンビがいて襲われたところで終了する。
アイアムアヒーローも10巻を越えて、どんな風に展開させるのか、どう着地させるのか期待。
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