「「聴き放題」だけでは音楽ストリーミングサービスが成功しない理由」を読んだ

・第55回:「聴き放題」だけでは音楽ストリーミングサービスが成功しない理由
~「着うた」市場壊滅の本当の理由から、次世代音楽配信サービスの「成功モデル」を探る~
http://www.drillspin.com/articles/view/571
を読んだ。
リンク先は、かなりの長文だが要旨だけに略すと

定額制の聴き放題音楽配信サブスクリプション型音楽ストリーミングサービス)が音楽業界復活の起爆剤になると言われている。
過去を振り返って着うたが売り上げを下げたのは音楽を買うというよりそれに付随してコミュニケーションツールとしての要素があったからだろう。
「音楽によるコミュニケーション体験」こそが音楽ストリーミングサービスの本質的な魅力であって、それが無いまま安さや曲数を競うだけの定額制の聴き放題音楽配信はダメだろ。

様々なサービスを例に上げたり、過去データを示しながら解説してある。
それにしても音楽とコミュニケーションが起爆剤。
ほんとに必要なものはそれなんだろうか?


・なぜ音楽の売上は下がっているのか/第三の波平ブログ
http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20130306#p1
こちらがとても興味深かった。

あとは、ベストアルバム流行りはなんだろう。
新しい曲を楽しむには刷り込みが必要だ。何度も繰り返し聞く。
だからテレビのCM起用とかされると売れるわけだ。
その刷り込む作業が敬遠されている。みんな新しい曲よりも慣れ親しんだ曲を聞きたがっている。
すでに刷り込まれた曲を楽しみたがっている。刷り込むほど音楽に時間をとれなくなっている。
アルバムの知らない曲を刷り込む暇はない。

今やテレビの視聴率は軒並み下がり、ドラマの視聴率が下がっている。
CMソングもドラマの主題歌も見る人間が減れば比例して刷り込みをする時間も影響力も下がる。
テレビは、フロー型の受動的・動的メディア。
音楽の刷り込み・拡散とも相性がいい。

ウェブは違う。
ウェブは、入力して初めて答えが返る。
ストック型の能動的・静的メディア。
フロー型のSNSと連動させれば拡散は可能だが、音楽の刷り込みはしづらい。
ユーザーは能動的にYOUTUBEやサウンドクラウドで自分の聴きたい曲を聴く。

どちらにしろ楽曲は、曲単位で扱われアルバム単位の音楽とは縁遠い。


2/27 電気グルーヴが久々の新譜「人間と動物」を発表した。


今回のアルバムについて
―全曲歌モノ、50分以内というのはどういうところから決めたんでしょう?

卓球:アルバム1枚を聴く集中力を考えると、それくらいがベストかなって。もう1回聴きたいと思うアルバムにするには、あんまり長すぎない方がいいと思う。

瀧:今って、iPodとかMP3プレイヤーに入れて曲単位で聴いてるし、自分なりのプレイリストを作る聴き方も多いから。アルバム1枚にどっぷり付き合う感覚ってだんだん無くなってきてると思うんですよね。そういう意味でも、電気グルーヴの今の世界観というか、作品に付き合ってもらう意味も含めて、そのくらいの尺が妥当ではないかという。

電気グルーヴがサブカルチャーに残した爪あと/CINRA.NET


「全部歌モノ」
「全体で50分以内」
「BPMは125で統一」

そういった制約の下で作られた今回の歌もの曲が多いアルバム「人間と動物」は昔からの電グルファンには、懐かしさもあったりかなり良かった。

アルバムという販売方式はシングルカットされるようなキャッチーでウケやすい曲も、聴けば聞くほど良さの判る曲も、どうしてこんな曲作ってしまったんだ?って曲まで様々な曲が入っているが、それでもその時のミュージシャンのその時代の、その時間の作り出した音の世界が共通して一枚の中に存在している。
今の時代だからこそ敢えて電グルは歌ものにしたんだし、今だからこそ集中して聴ける50分にして、今だからこそ世界的にメジャーな(卓球曰く)125BPMで統一してアルバムを作成した。
曲単位でバラ売りすれば、時代も制約もアルバムの世界観も関係ない。


コンピレーション、着うた文化。
これまでのシングルカットやヒット曲...そういう「キャッチーでウケる」モノだけを集めてパッケージにして売るコンピレーション。
過去の遺産の二次利用として安っぽいリミックスして、車のBGMでかけたりするには丁度良いイージーリスニング。
Avexなんかが「SUPER EUROBEAT」とかでよくやってた手法。
CMやドラマの主題歌で有名な曲を配信で着メロとしてDLして売る。
ユーザーはアルバムじゃなく、自分の聴きたいCMソングや歌番組で歌われてる有名な曲だけを買う。
それが普通になって、音楽をアルバム単位で買う文化が無いユーザーも増えたろう。
好きな曲だけDLして...あるいはそういう曲は大体YOUTUBEにあるしぶっこ抜いて、自分でリストを作って並べて、シャッフルして聴く。
好きな曲だけ繰り返し、色んなミュージシャンの曲を。


最近、カヴァーが流行るのも
「過去の名曲をあのミュージシャンが」
ってところがポイントだろう。
これも過去の名曲ばかりをパッケージし直した
「美味しいとこどり詰め合わせ」
って事になる。
どの曲も昔流行った有名な曲ばかり。
売り手側からすれは曲を制作する手間が省けて、カバーするのは知名度が既にあるミュージシャンだから安定して売れるし、新人に金をかけて宣伝したり博打を打つより低予算で安定して回収できるからそっちにシフトする。
不景気だし、次の世代を育てる余裕も無いし、とりあえず安価に安価に。


アルバムで買うからこそ有名じゃなくても
「この曲ってシングルのやつより好きだなー」
って自分に合う曲を見つける楽しみがあったりする。

アルバムで聴くから一つのバンドやミュージシャンが印象に残る。
昔はCDをプレイヤーの中にいれてかけっぱなしで聴く事が多かった。
だからまんべんなく全部の曲が耳に入るし、印象に残る。


サブスクリプション型音楽ストリーミングサービスがこれからの主流になって、販売は曲単位になり、単位としてのアルバムはますますその価値を失っていくかも知れない。
そしてヒットする曲はその曲だけがヒットして、他は売れない。
市場はそういったキャッチーな売れる曲だけを求め、それ以外の価値が下がっていく。
聴き手はそういう曲や環境に慣らされていく。



パラダイムシフトは間違いなく起きてて旧来型の販売はどんどん通用しなくなるだろう。
でもそれには自業自得って面も多少ならずあるんだと思う。

サブスクリプション型音楽ストリーミングサービスにSNS要素を取り入れれば起爆剤になる可能性が有るとかないとか。
そんな都合のいい話があるんだか。
着うた、コンピレーション、カバーアルバム、バージョン違い、来日記念盤、握手券。
色んなやり方で音楽業界はユーザーから搾り取った。
ソーシャルを音楽サービスに組み込めばいい、そんな短絡思考ではもう治らないほど病んでる気がしてならない。
海外は海外。
日本は事情が違う。

音楽が無くなる事は無いんだろうけど、音楽業界はどうなって行くか。
なんとなく見守ってます。