深夜バラエティ「人狼ゲーム」を見て「スパイ2/7」の完成度の高さを思い出した

話題の人狼ゲーム」観た。
で昔やってたスパイ2/7って深夜バラエティを思い出した。
そんな内容が以下。



スパイ2/7


ルールは、
・出演者は7人
・2択クイズが出され、全員でクイズに解答する。解答の決定権は1名(デリーター)
・決定権(デリーター)はクイズが終わる度に移動する
・クイズが不正解なら参加者の1名が退場
・退場者の決定権はデリーターが持つ

で、ここにスパイ要素が入る。
役割としては人狼にあたる。
・参加者の中に潜む2人のスパイがいる
・スパイはクイズの答えをすべて知っている
・スパイはクイズが不正解の場合参加者1人を退場させる事ができる
・スパイの内、1人でも生き残ればスパイの勝利となる

ゲームの流れは
1.まずクイズが出される
2.参加者がそれぞれに回答を出す(もしくは話し合い)
3.解答権を持つ1人(デリーター)が解答する
4.正解なら賞金が増額し→1へ戻る
 不正解なら相談して参加者一人を退場させ→1へ戻る
 その際の退場者の決定権は解答権を持つデリーターが持つ
5.繰り返して2人のスパイが排除されれば参加者の勝利。スパイ以外に賞金
 最後の一人までスパイが生き残ればスパイの勝利。スパイにのみ賞金

基本、こんな感じ(回によって少し違ったりもした)。

スパイ2/7がよくできてたのはこの『クイズ要素』なんですよね。


クイズの意味


人狼の場合、誰かの発言を怪しむ、怪しんだ発言をした方が怪しい、いや黙ってたやつが怪しい、っていう疑心暗鬼の討論が主体になる。
討論→排除→討論→排除

スパイ2/7は、クイズを正解すれば賞金が発生するので参加者はクイズを正解させたい。
クイズの答えをスパイは不正解に誘導したい*1、しかし露骨に誘導すればバレる。
スパイはクイズの答えをすべて知っているから間違え方にも工夫が必要だし、あえて正解するって戦略もある*2
スパイはクイズの答え、答え方、その後の討論での立ち位置や振る舞い発言、そしてデリーターになった際の振る舞いまで考えなきゃならない。

それにクイズなのでスパイ以外の参加者も間違えたりする。解答によってはスパイで無くても怪しまれる弱みを持ってしまう場合もある。

解答の決定権は順番に回るんだけどクイズの答えの決定権と共に退場者の決定権も持つ。
だからスパイがデリーターの時には「スパイが誰か?」って推理が当たってる参加者を消したいが、消すと今度は自分が怪しまれるかもしれない、という駆け引きが発生する。

スパイ2/7人狼と比べてクイズっていう要素が入る事で色々な疑心暗鬼が視認化されてテレビを観ている視聴者にも解りやすくなってた


騎士と占い師


昨夜の人狼ゲームの場合、占い師と騎士っていう役職が微妙。
占い師は誰か1人を指定しその参加者が人狼かどうか調べる事が出来る。
騎士は人狼が誰かを排除しようとした時に守る事が出来る。

7人しかいない*3段階で、占い師が誰かが人狼かそうでないかを判断出来、しかも明言出来てしまう。
「私は占い師です」「私は騎士です」
「あの人は人狼じゃありません」「あの人が人狼です」

これを言っていいってなると、まず誰かが「自分が○○だ」と言った時点でそいつは間違いなく人狼もしくは占い師・騎士であると確定する。
人狼ゲームの場合、人狼2、占い師1、騎士1だが、逆にいえばそれ以外の参加者が市民3として確定してしまうので観ていてバランスが悪い*4
あとは2択の嘘つきを暴くだけになる。
それにしても杉村太蔵はひどかった。


忠実に人狼ゲームをテレビでやるのと、人狼ゲームをアレンジしてテレビ番組として視聴者にゲーム要素を入れて見せるスパイ2/7と。
番組を観てた感想ツイを見ても
「やってる人たちは楽しそうだけどね」
っていうのが目についた。
やった経験のある人は自分の経験を元にして出演者に当てはめるから
「バカだなー」「オレだったらこうする」
みたいな見方が出来て面白かったかも知れない。


勝つ為の方法論


ここで話が変わる。

総合格闘技界にグレイシー柔術が出てきた時は衝撃的だった。

それまでの総合格闘技にタックルしてマウントとって上から殴る。下になったらバタフライガードしながらアームロックや三角締め狙うなんて考え方はなかった。
それまでの総合格闘技はプロレスの延長だった。
見せる為の総合格闘技。
立ち技のK-1にしても見せる事が出来なければしょっぱい試合と言われてしまう*5
でもグレイシー柔術の戦い方は見せる為では無く勝つ為の戦い方だった。
今でこそグレイシー柔術も一般化して金網の使い方やマウントからの返し方なんかも研究されているが出てきた当時、グレイシーへの対抗策はなかった。
見せる為で無く勝つ為の方法論。
だから試合としてはつまらない。
いかにうまくタックルを仕掛けるか。
いかにうまくマウントをとるか、上から殴るか。
相手にダメージを与えるのでは無くマウントポジションの取り合い。
相手を倒すのでは無くまずポジション取り。
で、マウントをとったらあとは一方的に殴る、弱ったら締めて終わり。

そりゃしょっぱい。

魅せる事、見せる事と勝つ事はイコールじゃない。
プロレスがブックだのなんだの言われても見せる為にそれはある。
技を受ける、わざと危険な事をする、勝った負けたで因縁を作りストーリーにする。
観客に見せる為の、鍛えた肉体を使ったエンターテイメント
それがプロレス。
プロレスが最強か?とかよく言われるがそれはベクトルが違うと思う。
プロレスは格闘技より面白いか?
魅力的か?感動出来るか?
そこが一番重要な部分じゃないだろうか。


まとめ


今朝、TwitterのTL見てたら
「XXって真剣にやればアントニオ猪木vsモハメドアリみたいにつまらないものになる」
云々のツイートがあった。*6

猪木vsアリは伝説には残ったが試合自体は随分しょっぱい。
伝説のプロレスラーvs伝説のボクサーという看板の素晴らしさはあるが、そこにエンターテイメントはどれだけあったか。


見せる、魅せると言うエンターテイメントは、とても難しい。
単純にやって面白いからといって誰かに見せてそれが面白いとは限らない。
真剣にやれば、筋書き無しでアレンジなしでやれば面白いか。
確かに人狼ゲームはやれば面白いんだろう。

夕べの人狼ゲームを観て色々連想した。


追記


ちなみにそんなスパイ2/7の特番があった。
タイトルは少し違ってたと思う。
その時はクイズじゃなくてゲームに挑戦。
例えば狭い足場に全員が乗れるか、とか。掌の上に箒を立たせて1分耐えられるか、と言ったような。
それ以外の要素はこれまでと同じ。
そして誰か失敗した1人や怪しい参加者を退場させる。ところが最後に明かされるオチでは
『スパイはいなかった』
と言う非常にメタな事実が明かされる。
普段のスパイ2/7と同じルールだから誰かがわざと失敗させようとしてるのかと疑い合い、視聴者にもスパイが隠されていたため疑いながら観るのに疑惑の先は不在、っていうのは叙述トリックのミステリーと同じ方法論で出来てた。

ほんと「人狼ゲーム」やるなら「スパイ2/7」復活させれば良いと思う。
あっちの方が良くできてるから。

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*1:不正解なら誰かを退場させられるし、スパイの勝利で賞金が発生する

*2:ただし正解すると誰も退場させる事は出来ない

*3:1ターン目終了で1人が排除され残り7人

*4:ローカルルールはいろいろあるらしいが

*5:それを無視して船木なんかはいきなり秒殺とかやっちゃってた訳ですが

*6:概ね趣旨は合ってるんだけど、実際にはアリ側から随分要求出したり、土壇場でルール変更要求したり、対等じゃないから比喩としてはどうかな?と思うけれどそういうのを知らない人のツイートなんだろう