殊能将之氏の訃報を聞いて(追悼としての読書案内)


誰かが死んだと聞いても記事を書くタイプでも無いんだが、今回は書いてみたい。
Twitterでもフォローしてたのに気づかなかった...。

ミステリー作家の殊能将之(しゅのう・まさゆき)さんが、2月11日に亡くなっていたことがわかった。
 本名、死因は公表していない。49歳だった。告別式は近親者で済ませた。
 1999年、「ハサミ男」でメフィスト賞を受賞し、デビューした。覆面作家として、個人情報を明かさずに活動。鋭利で知的な文章と博識が評価され、代表作に、「美濃牛」「鏡の中は日曜日」「子どもの王様」がある。

http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20130330-OYT1T00614.htm

今回の訃報に触れて初めて殊能作品を手に取る人も多いと思う。
デビュー作「ハサミ男」は素晴らしかった。
数あるメフィスト賞の歴代受賞作品の中でも頭一つ抜けた面白さがあると思う。
(格落ちは六トンだろうけど...)

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映画は、正直「?」だったがミステリー読みなら読んでおくべき1作だろうと思う。

その後の作品に関しても非常に興味深いものが多い。
だが、予備知識の有無で評価が変わってしまうモノがある。

ところがここでその殊能作品を読む前に
「予備知識として読んでおくと真相などが判りやすい作品」
を挙げてしまうとそれがネタバレになってしまう一面がある。
いわゆる
「叙述トリックの名作教えてくれ」
と同じ事。
「この〇〇読んでから殊能作品読んだ方が良いよ」
つまり〇〇は本編に何かしらの影響を与えてる、と読む前から判ってしまう。

とはいえ全く知識無しで読めばどういう感想になるのかにも興味があるが。

ここからはそう言った
「これらを読んでいると殊能作品が理解しやすい」
モノを幾つか挙げて行く。
既に読んでいる人には今さらかも知れないが追悼の意味も含めて書いておく。
ハサミ男、美濃牛、鏡の中は日曜日、子供の王様は特に気にしなくて読んで良いと思うけど)
なのでここから先の記事を誰が読めばいいのか今ひとつ想定出来ていない。
既に読んだ人が読むべきか、読む前の人が読むべきか。
うーん....。
※以下はネタバレになる可能性があります



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黒い仏

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「黒い仏」はタイトルの通り「樽」で有名なF・W・クロフツだがそれを読んでいなくても問題はない。
読んでおくべきはHPラヴクラフトのクトゥルフ神話になる。
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「黒い仏」は“無貌の神”ニャルラトホテプ...ニャル子なので、最悪でも「這いよれ!ニャル子さん」を読んでおくと世界の改変などといったメタな展開も理解がしやすいと思う。

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逢空 万太,狐印,コイン

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以下は今は無き殊能氏のBlack Buddha Original Soundtrackから

1 Intro~天台宗日課
2 Blue Moon Mel Torme
3 A Song for You Leon Russell
4 All Day and All of the Night The Kinks
5 Quiet Night Antonio Carlos Jobim
6 いざゆけ若鷹軍団 ホーク・ウィングズ
7 Bodhisattva Steely Dan
8 Shambala Beastie Boys
9 Ours Lena Horne
10 Slava from Glagolitc Mass Leos Janacek
11 Mood Indigo Nat King Cole
12 Johnny B. Goode Judas Priest
13 excerpt from Le Grand Macabre Gyorgi Ligeti
14 Bodhisattva Vow Beastie Boys
15 Outro~天台宗日課
16 Don't Fear the Reaper Blue Oyster Cult
http://www001.upp.so-net.ne.jp/mercysnow/Books/Black_Buddha/index.html


キマイラの新しい城

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蓋然性の殺人、キマイラの新しい城。
こちらはM・ムアコックのダークファンタジー
「エルリック・サーガ」
を読んでおくのを勧めたい*1

メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)
マイクル ムアコック,Michael Moorcock,井辻 朱美

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出て来るキャラクターの名前は、それぞれ
メニボン:メルニボネ
パープルタウン:紫の街
レストラン パン・タン:島国パン・タン
江里陸夫:エルリック
西森ルミ:サイモリル皇女
若林蘭三:神政官ジャグリーン・ラーン
大海永久:ディヴィム・トヴァ
飯留勲:イイルクーン皇子
岩田純夫:スミオーガン禿頭伯爵
金瀬鈴夫:魔術師セレブ・カーナ
暴力団有吉会:混沌の神アリオッチ
構成員 黒木剣:魔剣ストームブリンガー

千葉県警刑事 紅林公人:紅衣の公子コルム
古根刑事:ジェリー・ア・コーネル

ルーンスタッフ:ルーンの杖
警視庁 鷹月道利:ドリアン・ホークムーン

と「エルリックサーガ」「ルーンの杖秘録」「紅衣の公子コルム」から採られている。

エターナルチャンピオンは永遠に転生を繰り返す宿命にある。
そして今回の転成した先が...と読めばこれがエターナルチャンピオンの亜流としても読めると言う。
いや、ミステリーとムアコックを融合させたのは初めてでしょう、さすがに。
アリオッチ!アリオッチ!七つの闇の王アリオッチ!


他作品

勿論「美濃牛」は横溝作品やギリシャ神話を読んでおけばいう事はないけれど読んでなくても大丈夫。
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ジーン・ウルフ「ケルベロス第五の首」が元ネタ(のウチの一つ)だと本人が昔言ってた筈なんだが。
殊能氏のHP消えてしまったのね。
ケルベロス第五の首 (未来の文学)ケルベロス第五の首 (未来の文学)
ジーン・ウルフ,柳下 毅一郎

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子どもの王様 (講談社ノベルス)子どもの王様 (講談社ノベルス)
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素晴らしい作品を数多く残された作家だと思います。
ご冥福をお祈りします。

*1:出来ればエターナルチャンピオン全部読めば良いと思うw