『「HUNTERxHUNTER」の戦いはジャンケン要素が強いから、パワーインフレを感じない』を読んだので反応する

「HUNTERxHUNTER」の戦いはジャンケン要素が強いから、パワーインフレを感じない
http://zelkova777.blog115.fc2.com/blog-entry-320.html
読んだ。

言及して頂いてありがたいですね。
弱小な泡沫ブログが身に余りますよ(しみじみ)。

「HUNTERxHUNTER」で否定されるパワーインフレーション
なんて記事でも色々読まれて、いろんな方が色んな切り口で語って。
絶対に正解なんて無いですからね。
作者の頭の中にはあるんだろうけど、それを語るのは蛇足だろうし。
ではアンサーを。



パワーアップとインフレーション


キメラアント編なんて、ボスを倒したのはゴンではありませんが、敵(キメラアント)や味方(キルア)の強さはそれまでに比べて急激に高くなったと言えるでしょう。
全くパワーインフレションが起こっていないわけではないと思います。

ふむふむ。
書き方が悪かったかな。
パワーアップじゃないですよ?
パワーインフレですよ?
インフレーション。強くなるだけじゃなく「話が進むたび強くなり続ける」物語構造。
登場キャラがパワーアップするんじゃなく、物語の中心軸になる主人公とその敵(二軸対立項の主人公らと相反する要素の中心となる敵・ボス。最強である事が多い)について。

ドラゴンボールのパワーインフレを例に出したのは、
「物語において主人公の役割として最も強い敵を倒すから、パワーが増減し続ける」
という物語構造の比喩です。


pixiv百科事典から引用すれば、

1.強大なボスが出現
2.主人公たちがコテンパンにやられる
3.強くなるために特訓で新しい必殺技を獲得
4.ボスにリベンジ成功!

これがパワーインフレ。
昔はジャンプシステムって言ってたんですけどね。
バクマン以降変わったらしいので。
物語が進むたびに敵が登場し、その敵が際限なく強くなり続ける。
だからそれに対抗して主人公も強くなり続けなければならない。

なぜならその「最も強い敵」に力で打ち勝つのが「主人公」だから。
最強の敵に勝つのが最強の主人公、で次の話になった時、前回の敵より更に強い敵が出る。
それを力で打ち負かすべく主人公はパワーアップする。
パワーインフレ作品の主人公はそのために物語に存在するから。
だからインフレーションなんですよ?
ここまでは良いですかね。


キルアが強くなっても他のキャラがパワーインフレ(パワーアップですね)を起こしても構わない。
主人公は「ゴン」なんですよ。
他のキャラがパワーアップして最強になったら?
実際、HUNTERxHUNTERでネテロ会長や旅団の方が強いしパワーアップもしてる。
でも主人公はゴンなんですよ。
「物語」の中心となるべき「主人公」ですよ。


相性


それに対しHUNTERXHUNTERの戦闘は「幅」が広い。
単純に相手をふっ飛ばしてKOするだけではなく、例えば操作系は相手に何かを指してしまえばそれで勝ってしまう(相手を操作できる)など、「念」での戦い方に幅があるのだと思います。

クラピカは念を覚えたてではありましたが、旅団に特化した念能力にすることで旅団に対し絶対的な強さを持つようになりました。反面、仮にGI後のまだ旅団に及ばないであろうゴンやキルアと戦っても、負ける可能性は非常に高いです。
旅団に対し、クラピカが相性良いと言えるでしょう(意識的にしてるけど)


戦いの相性って言うのは面白い捉え方ですね。

ただその辺りって別に否定してる訳でもなんでも無くって。
そもそもそういうとこじゃないんですがね。
クラピカが旅団相手に能力を発揮して、その相性がどうあれ、物語全体のパワーインフレとは一切関係ない。

各キャラの念能力の相性をひとつひとつ検証した記事でも無く、あくまで
「物語の構造としての否パワーインフレ」
なんですよ。
ヂートゥを引き合いに出したのはそのキャラの描かれ方が
「安易なパワーアップ(際限なく新能力に目覚める)とあっさりした終わり方」
にHUNTERxHUNTERの物語構造のメタファー(縮図)があるんじゃないか?
という邪推です。

...考えてみればネテロ会長が修行をして強くなってもやはりメルエムに勝てなかったと言うのも、インフレーション足りえていない。
貧者の薔薇での強さの無効化。
三池の「デッド・オア・アライブ」のエンディングを思わせる。


偶然は必然


DBの場合サイヤ人編までは知能や技術で勝つシーンがあり、例えばパワーで劣るクリリンも気円斬でナッパに勝つチャンスもありました

多分、この辺りの考え方が絶対的に違うんですよね。
勝つ「チャンスがあるのか、ないのか」

マンガって絶対的に作者が創造神なんすよ。
当たり前ですけど。
戦って「チャンスがあるのか、ないのか」じゃなく、
作者が「勝たせるか負けさせるか」しかない。
チャンスって偶然でしょう?
でもマンガの作中には必然しかない。
作中の偶然は作者が作り上げ、作者が勝者を勝たせ、敗者を負けさせる。
チャンスなんて無いですよ。
あるとしたらそれは作者がそう思ったから。
(極限状態に現れてお仕事してくれる小人さんとか妖精さんとか、キャラが勝手に動き出した系の話は置いといて)


ジョジョの奇妙な冒険


ジョジョをパワーインフレの引き合いに出してないのは物語全体の構造的に
「修行して強くなって」
って形式が無いからなんです。
血統は同じだけど、世代が違うからパワーインフレの必要が無いんですよ。
時代が隔絶してるんですよ。


だからNARUTOだし、ドラゴンボールだし、BLEACHだし、キン肉マンなんです。
適当にジャンプマンガだから名前を出した訳じゃないですよ。
どのシークエンスも同じ主人公が一番強い敵を力で倒し、修行して強くなる物語。
例えばディオが
吸血鬼<スタンド能力
で強くなってはいるけど、戦うのはジョナサン・ジョースター空条承太郎なんすよ。
だから実際がどうあれ
ジョナサン・ジョースター空条承太郎
である必要はない(あぁ、また誤解を生みそうな例をw)んですよ。
ウチではジョジョに関してはスルーさせてもらいます。
インフレしてない作品を引き合いに出してもややこしくなっちゃうので。
ダイヤモンドは砕けないでの空条承太郎を持ち出されるとそっから展開させなきゃならないんでスルー
ジョセフ・ジョースターの修行部分もスル―
なんでスルーかってーとジョジョ全体じゃなくって「そこの部分だけ」なんすよ*1
だから全体的なジョジョ論じゃなくなるし、引き合いに出すには不適当なので。


すべては神の掌の上


念能力の相性を話せば、例え念応力の相性が悪かったとしてもそれが決定的か?と言えばそうじゃないです。
相性、なんてどうとでもなる。
例えばキャラが相性が悪い敵とぶつかった。
「ピンチ!さぁどうする」
そしたら何かしらの一発逆転アイデアが発動するんですよ。
絶対に勝てない訳も無い。
物語で必要なら勝つし、必要なら負ける。

「物語」を見るのは
「このキャラが勝った!やった!この能力との作中の相性の分析を」
じゃなく
「このキャラが勝ったのはなぜか?勝った意味と影響、展開は?」
を見るのが物語を見るって事だと思うけど。
能力の設定も作者がやってるんだから。
界王拳の倍率だって鳥山明の自由自在ですよ。


とはいえ言及されてるだけでも充分ありがたいです。
感謝を述べさせていただきます。
それでは失礼いたします。


関連記事:
・ゴンとキルアは、なぜ見た目が幼いのか?
http://azanaerunawano5to4.hatenablog.com/entry/2013/03/31/200613

*1:ザワールドに対抗して「時間を止める能力」に目覚めた構造もそこだけ