アイドルなんて呼ばずに聴かないで、目の前にいるのがアイドルだ

・AKB「アイドルなんて呼ばないで」とNegicco「アイドルばかり聴かないで」の差異
http://akio6o6.hateblo.jp/entry/2013/07/25/181742
ウラガミさんの記事が面白かった。
コメントで「もう一声」と言ったんだけど、じゃあ自分で書いてみる事にした。
書けたから寝るけど...。



AKB48の「アイドルなんて呼ばないで」を初めて聞いた。
ピコピコしてるイントロ。
スクールメイツみたいなダンサー。
ダンスもコテコテの昭和アイドル。
アイドルらしいAメロBメロのはっきりしたいかにもアイドルらしい曲で「アイドルなんて呼ばないで」と歌う。
このいかにも昭和のアイドルですみたいなアイドルシフトでアイドルを否定する矛盾に可愛さを感じさせる構造。
歌詞の中の女の子は男子に待ち伏せされて写真で撮られたりするくらいに可愛いらしい。
私はアナタだけ見てるんだよ、と言いながらそのアナタは虚構の存在。
そこで処女性が強調されてる。
勿論、小泉今日子の「なんてったってアイドル」は意識してるんだろう。
AKBは全然判らんが。



対してNegicco
こちらは小西らしい渋谷系を思わせるイントロ。
アコギ、エレキのブラッシング、マラカス、タンバリン。
こちらはアイドルを好きなカレシを持っている彼女の視点。
アイドルを聴かずに自分を見て、と言う曲をアイドルが歌う構造は少し複雑。
Negiccoを聴いた事が無かったので数曲ザッピングした...。
Negiccoファンはどう思うのか判らないけど、真心思い出す。
ENDLESS SUMMER NUDE。

懐かしぃ...良い曲だなー。

なんかこういう王道っていうか、アイドルっていうか歌謡曲。
アイドルらしいアイドルって意味では楽曲がすっきりし過ぎてる。


二律背反


さて、アイドルがアイドルを批判する(自分がアイドルじゃないと言いながら実際はアイドルでしかも誰のものでもない)曲とアイドルに嫉妬する女性がアイドルを聴かないで欲しいと歌う曲。
聞き手の視点を考える。
AKBの方は「アナタ」の視点で曲を聴くことになる、しかし実際のアナタは存在しない。
感情移入しやすいし、アナタが虚構であるからそこに処女性を見て安心感を持つ。
『そのうちエッチもしてみたい』なんて血肉のある等身大の少女として描いてみせるおニャン子からの伝統芸。
特定の誰かを持たないアイドルという存在のカリカチュアライズが描かれてる。

ただ「アイドルばかり聴かないで」は自分がどの位置に立てば良いか。
カレシの立場で嫉妬する彼女に対する気持ちで聴くのが作り手の意図だろうが、その位置で聴くとアイドルを聴きながらアイドルを否定されていてどうにも据わりが悪い。
楽曲がコテコテのアイドル曲ならそれもまたメタ的な目線で面白みがあるんだが、下手に楽曲が渋谷系になってる分感情と位置が難しい。どういえば良いかな。
マクドナルドの1,000円バーガー。
だったらモスで良いやん、って言う。
レストランにはレストランの味が合うし、ジャンクにはジャンクの味が似合う。
どっちが高い安いじゃなく、良い悪いじゃなく。
ジャンクフードを食いに行ったのに出て来たのが高級料理だったみたいな、そう言う居心地の悪さを感じてしまった。
曲自体は良いっすよ。


なんてったってアイドル


で、ももクロに移ろう...と思ったらそう言う曲は無かった。
初期曲こそカレカノ的な視点がある曲もあるが、アイドルが出て来るメタ視点が存在するものは無い(と思う)。網羅してるわけじゃないので。
アイドル宣言って意味ではZ伝説か。
でもアイドルは〜と語ってはないし否定もない。『我らはアイドル』とは歌ってるが。
記号の否定、って意味では5TH DIMENSIONツアーでのマスクなんかが挙げられるが、それにしても「アイドルによるアイドルらしいアイドルの否定」ではない。
もし挙げるとすればやはり事件になったオズフェスでのステージだろうか。

「見てから決めろー!」
「今、目の前にいる私たちがアイドルだー!」

アイドルなんて、アイドルごときが、アイドルのクセに。
さんざ言われこき下ろされたももクロが選んだ一言目はこれだった。
そしてその当時ならやれたロックファンにもウケるようなハードな楽曲を選択せずあえてチャカポコした「ピンキージョーンズ」を歌った。


逆境こそがチャンスだぜ、って言う歌詞は、ステージの上のももクロの状況そのもので、アイドルを否定するステージの上で高らかにアイドルを叫んでみせた。
このkwkm氏のツイートが全部なんですよね。
あのステージでの一発目のピンキージョーンズももクロの挑戦状だった。
通じたかどうかは別として。
ロックは高尚で格好良くて、アイドルはつまらない俗物だと言う連中へ向けて。
でも予想よりも圧倒的にモノノフが多かったんすよね、残念ながら。

ももクロがオズフェスに参加するって言う話が出た時に
「ロックのライブではステージにペットボトルを投げるのが当たり前、そー言う事をももクロは知ってるか?」
こーいう事を語ってるヤツを見かけた。
TMGEならライブが中断するくらいの大事ですけどね。
余程何十年もライブなんて行ってないんだろう。
そんな事も知らずに語るような連中を相手にやる筈だった。

だからこその叫びだったし、だからこそのツイートだった。
ももクロはアイドルでありながらもアイドルからは逸脱した面が多い。
売り方も本来ならもっとテレビに露出しても良いのに、この時期にライブを選んだ。
実際、今のテレビの影響力にしがみついてもマイナスしか無いけど。


アイドルとしてアイドルを否定するもの、アイドル以外の視点でアイドルを否定してみせるもの、ステージの上でアイドルがアイドルだと叫んだり。
アイドルってのは面白い時代になったな、としみじみ思う次第です。
ロックはどうした、ロックは。

アイドルのいる暮らしアイドルのいる暮らし
岡田康宏

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