Perfumeとももクロのダンスを見て考えた

Perfumeのカンヌパフォーマンスが面白かった。

【参考】
世界に衝撃を与えたPerfumeのカンヌパフォーマンス、その舞台裏に迫る – ライゾマ・真鍋大度氏、石橋素氏に聞いた
とても面白い。
そして、ももクロと比較すると色々と見えてくるからまた面白い。
とはいえPerfumeは全く詳しくないので(アルバム四枚くらい持ってるのに全然聴いてないので)主にももクロと自分が認識している限りのPerfumeで考えてみる。


■ダンス

Perfumeのダンスは基本三角形のフォーメーションダンス。
走ったり跳んだりではなく*1ヴォーギングなどのアイソレーションを盛り込んだり、体のしなやかさ、柔らかさを表現したりキレのある動きが中心になってる。


対してももクロは、アクロバット。

面白いのはソロパートを担当するメンバーが必ずしもセンターでは無く(センターである事は多いが)一番右の百田夏菜子→一番左高城れにに移動するなどの大きな動きで、観客の認識の可動域も自然大きくなる。
右を見ていた観客の注意は急に左に振られ、またセンターに移動し、また...。
それぞれのソロパートはコマ切れであり、一つの曲に対してとても要素が多いし、メンバーは始終前後左右に激しく入れ代わりソロ/ユニゾンもコロコロと変わる。この細かく/激しく入れ替わる事による刺激と情報量、要素の多さがももクロの魅力の一つだろう。

ダンスは武藤敬司の(NWOとかそんな事は知ってる)プロレスLOVEのポーズを取り入れてたり、

省エネルックでドリフを踊ったりもする。
他の文脈から切り取ったテクスチャーの貼り付け(サンプリング)は、ももクロの根幹を成す部分の一つだろうし、だからこそ様々な要素を読み取ることに悦を見出すサブカルと言われるクラスタの人々を惹きつける。


このダンス/パフォーマンスのイメージが、Perfumeは「クール」で「アーティスティック」であり、ももクロは「全力」で「コミカル」という部分にも作用する。


■イメージが大切だ

先日、バラエティ番組に出た某AKBが加藤某に顔面蹴り→ジャイアントスイングされてファンが怒り、ネットに殺害予告が出るなんて事があったが、ももクロで考えればまったくそんな事は無くてむしろファンは喜ぶだろう、と言うような記事を書いた。
ももクロは「全力」で「コミカル」
バラエティと親和性が高いし、イメージ的にも融合する。
ドリフ、コマネチ、変顔、熱湯風呂、ジャイアントスイング、集団芸。
ももクロは、過去のお笑いが築き上げてきたお笑いのコードも取り入れ、だからこそ親和性が高く、もし某AKBと同じ状況になったとしてジャイアントスイングされ、蹴られ(蹴られと言うか踏みつけられ)、水に落とされてもそれはそれで面白くなるし、ファンも容認出来る。
容認できないのはイメージと違うからであって、よく
「女優さんなのにこんなことを」
「お笑い芸人だから当然」
なんて言われたりするが、結局イメージに沿っているかいないかだけの話。
視聴者/ファンが、どう思わされているか、に過ぎない。
だってみんな同じにんげんだもの(みつを)

さてPerfumeが同じ状況ならどうか?
...そもそも出ない。


バラエティに出る、と言う事はそれが必要な訳であって、必要が無ければ仕事を受ける必要はない。
名前を売る、それが至上の新人なら機会があれば前のめりで受けもするだろうが、Perfumeジャイアントスイングされて利点は無い。
ももクロならkwkmマネの一存で出る可能性もあるし、回されて「美味しい」と考えるのが運営だから可能性は無くもない。
最近フジと随分仲良くなってる。
某AKBがジャイアントスイングされていい影響なく、結局炎上と殺害予告だったって言うのは話題性としては正解だったがイメージ戦略としては失敗だったんだろう。読み違えと言うか。
まぁ、あの27時間テレビ自体が...(もごもご)。


■定量化と全力


真鍋氏はパフォーマンスを演出する際、まずは「やりたい演出にかかわる歴史のサーベイ」から始めるという。

「今回のパフォーマンスにおけるサーベイは、以前Perfumeの日本ツアーで使用したものがベースになっているのですが、『映像とダンス』をテーマに行いました。こんな感じでgoogle docsにメモをまとめてシェアもしています。

ダンスを記号化、図形化する試みは歴史を紐解くと、起源としては1600年代までさかのぼることができるのですが、今回のパフォーマンスのベースとなるような技術は、2004年ごろから実際に作品でも使われていました。


真鍋大度氏の資料が面白いんだが、ダンスの記号化と言うのはつまりダンスを定量化する試みであり、人間のステージの動きを数値や記号に置き換える。数値に置き換えればそこから別のベクトルへの展開が出来うる、そういう考察。
ダンスと言うのは肉体言語。
体の動きや筋肉の表情、しなやかさなどで言葉に出来ないもの、概念や感情などを表現する。
それを定量化すればダンスでの表現に別のレイヤーを乗せて表現に幅を持たせることができる。


ももクロのパフォーマンスは「全力」がキーワード。
運動量がやたら多いし動き回る。
既存の「アイドル」がそれをやらなかったのは単純に「動けば動くほど歌が不安定になる」からであって、だからジャニーズなんかで踊りの激しいグループ(ローラースケートとか)は口パクだった。歌とダンス(パフォーマンス)を両立させるには両方別々に作って質の上げたものを合わせて見せればいい。
ところがももクロは、安定して歌えるレベルのダンスを遥かに超えて「歌いながら踊るにはギリギリ」を選択した。

歌だけ取り出せば、止まったまんま歌うのが専業の歌手に劣る。
ダンスだけ取り出せば、歌わずにダンスだけやってるパフォーマーよりも劣る。

しかし踊りながら歌うって事は他のグループに負けない部分でだからこそファンはよく「ももクロは全力が魅力だ」という。
歌いながら踊るのがどれだけ大変かは誰にでもわかる。
それを二時間~四時間のライブでやってみせる。
ももクロがアーティストでは無くパフォーマーであり、アスリートに近いのはだからだろう。


ももクロのステージは、定量化出来ないししない。
数字で計れない「情感」の部分がももクロの魅力であって、全力で手を抜かずダンスも出来る限り至上のものを目指し、歌も至上のものを目指す。
そのクオリティが高いか低いかではなくその至上を見せようとする姿勢が魅力であり、暗喩としてそれを感じさせファンに捉えさせる。ファンは自分の中で要素を結び付け物語を再構成する。
だからステージを見て涙するし、感動する。
ももクロのコンテクストと、目の前のパフォーマンスでの「全力」が結び付く事でファンの中の物語が完成する。


Perfumeは真っ白なキャンバスであり、関わる人々が様々な画を書いてみせる。
ももクロはそれ自体が素材であり、活かすために関わる人々が様々な方法を考える。
アプローチが全く違うし、だからこそ両方面白いんだろう。

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*1:7:30あたりで動きは大きいですが、それは承知で基本として