セカイの中心でバカを叫ぶ ~「バカ中」現象について~

※以下は公開後も編集予定です

最近の『アイスのケースに店長の息子が入っちゃったり、バイトがバックヤードでおちょけた写真とってアップしたら炎上して、そしたらコンビニがフランチャイズ解除されちゃったよ、しかも連日バカが見つかっちゃうよ』問題。

・「うちら」の世界/24時間残念営業
http://lkhjkljkljdkljl.hatenablog.com/entry/2013/08/06/155425
で、コンビニ店長がそれをとり上げて「うちら」論を展開した。
これって結構根源的だったりする。


■黒人=家畜、白人=人間



ところで昨日、ジャンゴって映画を見た。
ジェイミーフォックスとタランティーノのやつ。
オリジナルも好きだが、こちらも面白かった。
iTunesのレンタルで400円*1で観れるからおススメ。

レオナルド・ディカプリオ扮する大農場主が登場する。
かなりの悪党っぽく描かれてる。
観客から観ればとてもひどい奴だが、物語の中の法で裁かれるような不法はない。
黒人はズタズタにするし家畜扱いのアメリカ南部。
脱走した黒人を犬に食わせるし大概ひどい。
しかし白人の賞金稼ぎには銃も向けずに死ぬ。

物語の中のパラダイム(ここでは「一般社会通念」と言った用法で使う)では、黒人は家畜で白人は人間。
だから悪人レオ様は、白人には危害は加えない。
イレギュラーなのは、奴隷制を嫌い黒人を人間として扱う白人賞金稼ぎであって、彼だけが現代のパラダイムに近い価値観を持ってる。


パラダイムは強い。
それが自分にとっての「セカイだ」と思えば、それが実世界と等価になる。


パラダイムと隷属「この学校のテッペンをとってやるぜ」
なんてケンカに明け暮れるマンガがある。
実際、テッペンに何があるかなんてどうでもいい。
「そこに山があるから登るんだ」程度の目的意識。

物語では、その「物語セカイ」においてのパラダイムは絶対的で、物語に従属する登場人物はそれ以外の想像力を持ち得ないし、疑問を持たない。
コギトエルゴスムどころか、レゾンデートルすら一顧だにしない。
ケンカで一番にならなきゃいけないし、勇者が魔王を倒さなければセカイは救われない。
ゲゲゲの鬼太郎が我々はどうしてここにいるのか、妖怪は何なのかとは思わないし、小説の登場人物が自分たちの存在は作者が紙に書き込んだ文字であり、読者がそれを読むことで脳内に擬似再生させる幻想である、なんて思わない。
それを思う/描くのはメタだ*2


バカにも彼らなりのパラダイムがある。
それを店長は「うちらの世界」と呼んだ。
うちら、つまり仲間内の世界。
仲間内で通じるハイコンテクスト。
「仲間内論」をやるとヤンキーイズムに触れることになるので(でも苦手なんで)詳細は華麗にスルーするが、彼らなりのパラダイムではバックヤードでおちょけた写真を撮るのは許容されるし、ウケる。
このウケる/ウケないの二項が彼らのパラダイムでは重要になる。
彼らも物語セカイの住人と同じくパラダイムに隷属してる。

内輪セカイの中心でバカを叫ぶ...
以下、彼らを「バカ中」(bakachuu)と称する。


■バカ中とSNS

そしてSNSが現れた。
「光あれ」と神が言い光があったように、バカ中にとってのSNSは「そこにあった」。
彼らには「インターネット」という概念がよくわからない。よく言われることだが、たとえばTwitterならTwitterという「個別のアプリケーションがある」というのが彼らの感覚である(LINEは使ってないんでよくわからん)。実際にはそれは、インターネットの仕組みの内部で動いているサービスなのだが、ここでSNSと「うちら」の結託が起こる。SNS=うちらとなるわけだ。なんとなくは「インターネット全体」という外部があることは知っていても、それが「うちら」に積極的に介入してくることは考えない。もしそれが容喙してきた場合、彼らの理屈に従えば「うちらなにも悪いことしてないのになに勝手に干渉してくんの」ということになる。ましてネットの場合、リアルとは違い「外部」は完全に可視範囲の外にある。おそらく彼らにしてみれば不意打ちの感覚が強いだろう
詳細はコンビニ店長のとこを読めばいいが、『ネットを理解出来ない』と言う部分をウチではもう少し考える。


ではバカ中は、なぜネットを理解出来ないのか。
それって「教えられてないから」じゃないだろうか。


インプリンティング

小さい頃
「廊下を走るな!」
と怒られる。
廊下を走るな、というルールが無ければ人間は廊下を走る生き物なんだろう。
小さい頃から「ルールを守ろう」と教え込まれる。
ルールを守ろうと教えなければ本来人間と言うのはルールが守れない。
社会を構築するのは人間だが、それは純粋培養された無軌道な人間の集合では無く、ルールを遵守し他者と折り合いをつけられるように教育された人間の集合によってようやく「社会」は構築される。

真に自由で自己本位の人間の世界は、極論で言えば「マッドマックス」だし「北斗の拳」「バイオレンスジャック
理不尽だろうがなんだろうが、倫理よりも暴力は強い。
倫理よりもエゴは強い。

社会を構成させるため、経済活動を行うために人間は幼い頃から「社会の中ではルールを遵守しなさい」教育されてから、社会に解き放たれる。
インプリンティング


■夢の新世界

ところがそんなルール遵守の教育から離れたフリーワールドが現れた。
ラピュタは本当にあったんだ!」
夢に見た伝説のフリーワールド。
それがインターネット。
インターネットは社会規範が通用しない。現実世界ではついて回る自分と言う物理的社会的くびきも無く、あるのは匿名個人。
知識や情報は無料で転がり、自己本位なら幾らでもやり放題。
誰かに(解りやすく)損害を与えない限りは罰せられる心配もない。

ネットセカイのルールは、誰も教えてくれない。
自分で学ばなきゃならない。
ggrksは、至言。
ネットセカイでの究極の呪文、自己責任。
自己責任は自分で責任を取らなきゃいけない、と言う事だが逆に言えば自分で責任をとるなら何でもできる。


「教えてくれない事は出来ない」
そんな事はない、教えてくれなくてもできる奴はできる。

でも「教えられないと出来ない」そういう奴はいる。
それが可視化され、しかもログとして残るのがネットセカイ。

店長の論ずるうちらの世界とネット(SNS)の融合は、
ネットは広大だわ
という草薙素子のセリフなんてどこ吹く風、隙間だらけのクローズドサークルで完結した独自の認識を作り出してる。そして独自の認識は『ウケる』ネタをクローズドサークルに投下して内輪で楽しむならまだしも、隙間から外に漏れて社会規範にさらされ燃え上がってしまう。

クローズドサークルは、うちらという集団に限らず「ウチ」個人でもあり得る。
無断転載?引用ルール?は?
そんなもん知らん。社会規範?法律?いや、オレに説明してみろ。
みたいなバカも続々登場する。
Togetterを見れば幾らでも出てくる。


■学歴

・「自分たちの世界だけで完結する」を学歴問題にしないほうがいい
ttp://artifact-jp.com/2013/08/08/educational-background/
で、コンビニ店長の書いてる記事の後半部に対して村長が書いた。
これに関してその通りだと思う。


コンビニ店長の言うところの「低学歴」と言うのがDQNなコミュニティであればそれは確かに存在する。
TWITTERにもプリクラアイコン同士で相互フォローして、写真のアップロードとうちわでのメンションがメインの人々はいる(以前にも書いたんだが全然ウケなかった)。


前半部と後半部は乖離させた方がいい。
ここからは「高学歴バカ」について書く。
元記事が一つなんだから仕方ない(長くなるなぁ...)。
以下で混ぜる。
まず「高学歴バカ」から処理する。


「高学歴バカ」は山のようにいる。
社会人なら周囲を見回せば何人でも連想すると思う。
学歴はあるのに使えない。
学歴があるのにやらかす。
学歴があるのに炎上。
学歴も社会的地位もあるのに病院の待合室でキレてブログに書いて炎上。
逆に「低学歴賢い」ってのもいる。


■目的と過程と

大昔は、学校に行ってない子供の方が多かった。
その頃は「学校に行ってる/行ってない」が判定基準の一つになった。

会社(その頃なら商店か)が採用する時、初対面でどんな奴かわからない。
そういう場面で「学校(塾)に行ってました」フラグが一つ立ってれば、行ってなかったよりよほどいい。
「採用!」
(少なくとも字は読めるだろう。数も数えられるだろう!)

ところが社会や経済が複雑化した。
学校教育も「字が読める」「数字が数えられる」だけじゃなく社会に比例し始めた。

「学校でならう数学とか国語なんて何の役にも立たない」
というあるある。
あれは役に立たないんではなくて、考える力をつけるためにどんどん高度な要求をしているにすぎない。
徐々に高度にする。
高度な問題を次々解けるようになれば比例して思考も向上する。
そういう単純な発想に基づいてた。
...筈だった。

ところがいつの間にか受験だの高学歴がステータスになり始めた。
勉強はゲームだ、コツさえつかめば簡単に解ける。
記憶力が重要だ。
高学歴なら将来は保証されてる。
だからいい大学へ。
なんかそれはもう違う。
それじゃ思考力は育たない。


そこで高学歴なバカが生まれる。
受験のコツやノウハウは解る。
記憶力も身についた。

しかし想像力が無い。
想像力が無いから社会性に欠け、行動の結果を理解出来ない。
教養はあるが思考が出来ない。


学歴はあるから社会的に不自由は無い。
だが教えられてない事は出来ない。
教えられてるなら出来る。
受験も得意だし記憶もバッチリ。


■ネットとバカと

今やインターネットは、どんなバカにも広がった。
高学歴で高給取りの仕事に就いて社会的には認められてる。
でも、ネットで炎上する。
ネットでは学校の勉強よりも思考力と想像力が大事になる。
教えられたことではない。
自分で学ぶこと、考えること。

リテラシーとよく言うがリテラシーは教えられるわけじゃない。
自律する事。
それがリテラシーであって、だからネットではバカはバカのまま。


この「教えられてないことを出来ない」ってのをどうすればいいかと言えば、教えてやるしか無い。
先日もツイッターで殺害予告して警察に捕まったバカッターが居たが、あれでまとめられ吊るされてもバカは次々現れてまたバカをやり燃えまた吊るされる。
ついには警察に捕まったふりをするクソ垢まで登場する始末。
実世界で刃物を振り回し「殺す!」と叫べば捕まるが、ツイッターでサリンを撒くと言っても捕まらない。
だからツイートする。
ツイートする事に意味は無い。

ネタツイだし。
ネタにマジレス?格好悪っ!
何マジになってんの?顔真っ赤wwwwwwwwwwww

実世界では出来ない事もネットなら自由だ。
それをフォローしてるバカは更にそのツイートをふぁぼして、そいつの承認欲求を満たす。
満たされた承認欲求は更にツイートを煽る。
人は欲求のいきもの。
軛が無く無軌道な人間はこれほどに愚かしく醜いと痴る。


根源的な解決にはブラウザの使い方を教育するのではなく、リテラシー教育しかないんだろう。








■不可避な乖離

それでもバカは現れる。
社会、物理と結びつかないから。
それは2chがネットに現れた昔からわかってたこと。

「映画ラピュタに合わせて「バルス!」ってツイートしよう」
お前ら幾つだよ?
それがツイッターじゃなくて
「テレビの前でみんなで言おう!」
だったらやれんのか?
羞恥とかは無いらしい。
クソくだらない事とクソでも面白い事には差がある。
みんなで一斉にやろう!
意味が無くって面白い。
いや、面白いならやるけどクソくだらない事はやりたくない。


「バルス!」
ってツイートするのが面白いの?
本気でそう思ってんの??

バルス!!バルス!!

目が目が!!!
はははははははははははhah
オモシロイデスネー(棒読み)

誰がバカどもを笑えるんだ?
変わらねぇ。


■文句を言い、何もしない神さまたち

ネット選挙解禁で社会がネットに入り込み始めた。
まだネットのパラダイムを揺るがすほどではないが、本格的な介入はやがて影響を及ぼすかもしれない。
何か事件が起こらなければ何も変わらない。
それは昔から。
火にかけたヤカンに手を触れ、火傷して初めて学ぶ。

「だから遅すぎたと言っているんだ!!」*3

ネットでは、今は誰もが神さまだろう。
「ネット民の自由を奪うな!!」
今その声は強いが、企業や政治や強い力を持ったオトナが自己防衛のために搦め手で来れば、無軌道な烏合の衆はどうやって対抗するんだか。

爆破予告、サリンを撒く、殺害予告、著作権無視、無断転載
「ね?
こんなにバカがいるんだよ。
だからルールが無きゃダメなんだよ」
実社会の秩序は、後ろに刃物を隠したままな規範を持ち込もうとする。

バカ中がどんどん吊るされて、吊るされた枝はゆっくりと折れ曲がる。
実るほどこうべを垂れる稲穂かな。
ネット民の自浄努力は実らず「好き放題やらせろ」という声にかき消される。
いつかその神は地に落ちるかも知れない。
刃物を持ち社会を構成する既得権益は、自分たちに危機が及べば幾らでも牙を剥くし刃物を振りかざす。


バカ中が、実名と顔写真を晒して芸能ニュースに
「矢口なんて二度と出てくんな、この不倫クズめ!」
とかコメントしちゃうなんてのは常にいる。
ライターとか言って炎上商法してるアルファブロガーも、報道記者と言いながら嘘ばっかりついてる人もいる。
ネットでの実名とリテラシーは乖離してるし人間は度し難い。


だが教えてあげれば少なくとも「教えてもらってない」「わからない」という言い訳は封殺出来るし通用しないし、必然バカも減るだろう。
教えられなきゃ出来ない。
リテラシーってのは教えてもらうものじゃなくて自分で学ぶもので自分で考えるものだから。

バカが燃えても同情はしない。
高く高く吊るして燃やせ。
なんの同情もしない。
いずれ地に落ちる。


おじいちゃんが孫に語る。
昔のネットはよかったよ。もっと自由があった。
華氏451」や「フール・フォー・ザ・シティ」の世界。

戦闘妖精雪風」に出てくる全ての端末が管理された未来。

そんな世界来るわけないって?
でもタブレットをみんな持ってアマゾンで買い物をして、今度はグーグルが電脳メガネを出して、アップルは時計を出すとか出さないとか。
そんな世界誰が想像した?

今やネットは当たり前。
社会を構成するレイヤーの一つ。
もうネットと社会は乖離できない。
社会は規範も規律もあるのにネットは自由だ、なんていつまでも通じる訳もない。
評価経済社会と岡田氏は唱えてるが、評価こそが重要になるならリテラシーはなおさら重要になってくる。
「バルス!」なんてツイートして、迎合して満足してちゃあどうなるんだかね。


「バルス」は滅びの呪文だ。
じゃあみんなで唱えたんだし、ネットもついでに滅びればどうだろうか。

エホバくだりて、かの人々の建つる街と塔を見たまえり。いざ我らくだり、かしこにて彼らの言葉を乱し、互いに言葉を通ずることを得ざらしめん。ゆえにその名は、バベルと呼ばる

http://homepage1.nifty.com/~yu/p/p1.html


クローズドサークルとクラスタ意識。
はてな村とか属意識とか評価ネット社会に関しては気が向いたら書きます。
長すぎるし途中でゴチャゴチャした。

何より疲れたよパトラッシュ...。

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