「楽園の瑕 終極版」を観た


楽園の瑕 終極版」(東邪西毒)がiTunesにあったので借りて観た。
王家衛監督「楽園の瑕」の再編集版で

楽園の瑕 終極版』(らくえんのきず しゅうきょくばん、原題:東邪西毒:終極版、英題:Ashes of Time Redux)は、フランキー・チェンによるBGMをヨー・ヨー・マの演奏に置き換え、レスリー・チャンの登場場面を増やし、その分トニー・レオンの剣戟場面を短く整理したバージョン

Wiki


初めて観たのは公開当時だから1994年か。
金庸の「射鵰英雄伝」に出てくるキャラクターの前日譚にあたる物語で、王家衛にしては珍しい武侠映画。とはいえアクションシーンはコマ切れのいわゆる「(クリストファー)ドイルっぽい」画造りのため、アクション映画として観るにはしんどいし、だから公開当時の評判も良くなかった。
撮影から完成まで2年もかかった難産で、その間に「大英雄」「恋する惑星」が完成してる。
恋する惑星 Blu-ray恋する惑星 Blu-ray
トニー・レオン,フェイ・ウォン,金城武,ブリジット・リン,ウォン・カーウァイ

角川書店
売り上げランキング : 1717

Amazonで詳しく見る


「旗未動、風也 未動、是人的心自己在動」
砂漠に住む欧陽鋒(レスリー・チャン)の元に黄薬師(レオン・カーフェイ)が訪れ「酔生夢死」という飲めば過去を忘れられる酒を持参する。黄薬師はその酒を飲み過去を忘れ...

ちなみにWiki(ストーリーが全部書いてある)を読むとどんな中身か全部わかる
ストーリー解説が熱い。


大まかに分けるとこの物語は
黄薬師(レオン・カーフェイ)と慕容燕(ブリジット・リン)
盲目の剣士(トニー・レオン)と妻(カリーナ・ラウ)
洪七(ジャッキー・チュン)と妻(バイ・リー)
そして欧陽鋒(レスリー・チャン)と兄嫁(マギー・チャン
これらのエピソードを欧陽鋒の視点で描いている。


誰しもに過去があり、忘れたい想いがあり、愛する人がいる。
愛しても叶わず、苦しむ。
それを忘れさせると言う「酔生夢死」と言う酒。
しかし実際その酒にそんな効力は無く、酒に酔っても忘れる事は出来ない。


武侠映画と言いながら本筋は道ならぬ恋愛に悩む男女の物語で、だから武侠映画を期待すれば当然肩透かし。しかしクリストファー・ドイルの美しい映像と王家衛独自のモノローグ主体のストーリーテリングが好きなら楽しめる。

昔、おすぎが「王家衛なんて見た目ばっかりで中身なんて何もない」と言う旨の発言をしてたけども、それは確かにその通り。
でもその上っ面のテクスチャがとても端麗だから王家衛映画は面白い。

シーンとシーンは本来、説明が無くても前後に置かれれば補完し合う。
観客は二つのシーンが並べばそこに関係があるんだろうと推測し、勝手に思い込む。
しかし王家衛の場合、全く補完し合わなさそうなシーンとシーンを結び付けるためにモノローグを多用し、それぞれのシーンを結び付けてみせる。
そういう強引な結び付けを「ストーリーが無い、後付け、弱い」と観るなら王家衛映画は上っ面に見える。しかしそれもまた王家衛の感性とテクニックと捉えて観ればそこに本質が見える。
王家衛のダイアローグはその物語の本質で、映画の映像やシーンは後付け。
映画がダイアローグを補完する、小説の挿絵のようなもの。
そういう関係性で見るととても面白い。


超豪華な役者人、特に故レスリー・チャンが観られるし、クリストファー・ドイルのカメラワークも脂が乗ってる。
よく判らない人はWikipediaを読みながら観るといい感じかも知れない。

楽園の瑕 終極版 Blu-ray楽園の瑕 終極版 Blu-ray
レスリー・チャン,レオン・カーファイ,ブリジット・リン,チャーリー・ヤン,トニー・レオン,ウォン・カーウァイ

角川書店
売り上げランキング : 2972

Amazonで詳しく見る