ツイッターでの距離感とカクテルパーティ

人と人って距離感が難しい。
誰しも誰かとの距離を計りながら日々を過ごしてる。
一つの言葉、仕草、態度。
コミュニケーション能力が低ければこの距離感が計れない。
考えてみれば
「人と人とどうやって距離感を計っているか?」
なんて意識的にやってないし、教えられたわけでもなく体験的に計り経験則と咄嗟の判断で対処している。
そういう教えられなくても「他人との距離」は自然に出来る。
歩く事を教えられてなくても、呼吸する事を習ってなくても出来るのと同じ。


Twitterなら誰かをフォローする事でその相手のツイートは全て読める*1
逆にフォロー返しされればお互いのツイートは見れる状態になる。
自分のツイートはフォロワー全員に見える。
しかし普段、見られている意識はしていない。
「ツイッターにはツイートしていい事しかツイートしない」
それはそうだ。
人間は、話していい事しか話さない。

しかし自分の何げない一言をフォロワーの数だけ読まれていると想像はしない。
ウチのフォロワーは300人程度だが*2300人と言えば1クラス30人の学級が10クラス。
1学年全員に等しい。
「昨日食ったヨーグルトヤバかったな #ponponpain」
腹を壊してるなんて事を300人相手にマイクパフォーマンス。

朝礼でマイクを握って朝礼台に立って学年300人全員相手に語ってるなんて想像したら普通は緊張する。
その場合は、相手も自分も見えるから。
見えると言う事は話した事のレスポンスがすぐに返ると言う事。
笑われてる、バカにされてる、あくびされてる。
様々な情報が状況としてそこにあるし、それが返ってくるからこそ緊張する。

しかしツイッターでは相手が見えない。見えるのはアイコンとツイートだけ。
見知らぬ300人。
見えない相手だから緊張はしない。
読んで何を思うかなんてわからない。
意識もしない。
いや、意識している相手だけ意識する。

日常的にメンションでやり取りをしている人なら良い。
しかし数か月前に一度しかやり取りしてないような相手からメンションが来たらどういう距離で接すればいいか戸惑う。
とりあえず何げなく返すが、相手のTLを見たり、過去のやりとりを思い出そうとする。
300人もいるんだから、そりゃ誰だか解らない相手も山のようにいる。
しかし、その相手は毎日のように自分のツイートを見ているかも知れない。
相手はツイートしていても、生活時間が違えばすれ違っているかも知れない。

ネットでの他人は鏡のようなもの。
その虚像は意図的に相手が作り出したイメージ。
そしてそのイメージを見て自分の中で更に新たなイメージを作る。
本当の相手なんて判らない。
足りない部分は想像で補ってる。


相手を知らないからキャラクター化出来る。
アイコンがその相手を現す。
だからアイコンを変えられると戸惑う。
ツイッターではその相手はそのアイコンで識別しているから。
お気に入りは当然いる。
ツイートの文字列に人柄は自然と出る。
感性や知性、思考、嗜好。


知り合いのアカウントがアイコンを変えても特に戸惑わずにすぐに慣れる。
現実の知り合いは顔を知っているからその実際の顔で識別が出来る。
しかし知らないアカウントの女性だったアイコンが男性になったり、アニメアイコンが抽象イメージになると違和感が大きい。
やりとりもせずにいた相手がアイコンを変えても気づく事は無い。
300人ならまだしも数万人なんて誰が誰かなんて覚えられもしない。

特定の情報に選択的な注意を向け、他の情報を無視することができる現象。
注意を向けられなかった情報については、物理的・感覚的レベルまでしか処理されていないという説と、意味レベルまで処理されているという説がある。

カクテルパーティ効果


カクテルパーティ効果とは「例えうるさい状況でも意識を向けた相手の言葉だけを聞き取れる」と言う指向性のお話*3
実際は誰でも見る事が出来るツイートやメンションを、打つ時にはその相手にしか見れていないような錯覚に陥ってしまうのもこれに近いのかも知れない。
人間は全てに意識を向けずに指向性を持って認識を行っている。


意識してる友達にめがけてツイートをする。
現実の距離感なら何の問題も無い。
しかしSNS、ツイッターは一方的に距離が近い人間が大勢いる。
現実世界なら素っ裸で撮った写真を友だちだけに見せるのは可能だが、ツイッターで同じ事をしてもカクテルパーティのど真ん中で裸踊りを披露するのと変わらない。現実での距離感をそのままネットに持ち込んでしまえば失敗するのは当然。
それを見つけた誰かが「アイツは裸だ!」と指差した時点で炎上確定。

ツイッターでの他人との距離はゼロに近しい。
現実の距離感とは違う。
だからバカは裸で踊るんだろう。

*1:鍵垢などのイレギュラーはさておき

*2:非アクティブ・多言語含む

*3:音声、もしくは意識の選択的聴取