外山滋比古「思考の整理学」に見るライフハックの原型

思考の整理学 (ちくま文庫)
なかなか面白かった。
それにしてもアマゾンのレビューが... 笑

結局私は納得できませんでした。どうしても薄っぺらいという印象がぬぐえない。生活知への過度な期待も時代遅れ。メチエの具体例がことわざ程度では説得力に乏しいです
め、めちえ?*1
めんどくさそうなやつだな(ぼそっ)。
...かしこい人には退屈なんでしょーねぇ。

アマゾンの賢いアピール満載のレビューみたく、クソまじめに語ると絶対誰も読まなさそうなんで(つまんないし)、あえて以下崩して語ってみる。


◆◇◆◇◆


著者は、外山滋比古
Wikiによると英文学者、言語学者、評論家、エッセイスト。文学博士だそう。
書かれたのは1983年だから...30年前の本なのだそうだ。
中には「アイデアを導き出すには?」という今ならライフハック系が日々書いてるような事が多く書かれてる。

「30年も前?大丈夫か?難しいんじゃないか?」

いや、口語体で書かれててかなり読みやすい。
それになんだかのほほんとするエッセイになってる。


◆◇◆◇◆


外山先生、学生に論文を書けって言ってもなかなか上手くいかない。
なにせ「何書いたらいいんですか?」から聞かれてしまう。
いやはや...。


外山先生がおっしゃるには...
多くの学生は「グライダー型」じゃないだろうか。
教えてもらう事なら出来るが、教えてもらえないとできない。
グライダーはエンジンが無いから先生が引っ張ってあげてようやく飛べる。

「○○について書きなさい」だと上手に書けるんだけど「好きに書きなさい」だとろくなものが書けない。

一旦飛べば滑空は出来る、つまり勉強は出来る。
しかし発想が出来ない思考が出来ない。

そーいう事なんだそうだ。
教えてもらわなくても考えつき何かを出来るのは「飛行機型(エンジン付き)」


最近のネットなんかを見てると
「教えてもらってないしネットの距離感とかインターネットそのものが判らない」
バカみたいな写真で炎上してる方々がいるが、彼らなんかはグライダーどころか紙飛行機ってところなんだろう。

ネットで情報を読んで鵜呑みにしてデマを拡散したり、炎上に加担したり、調べもせずにギャーギャーいうグライダーの方々。
日々、多く見かけますわ。
30年経って技術が進んだって人間なんて変わってない。


◆◇◆◇◆


手書きのノートでいかにアイデアを書きとめ、それをスクラップしておいてアイデアとしてどうやって昇華するか?と言う事にもページが割いてあるんだけれども、この辺りって今ならEVERNOTE辺りでハイパーリンクで関連付ければ同じ事が出来るんじゃないかな。

ライフハック系の今どきの意識高い自己啓発本と違って


「脳が活発に動くのは朝、ご飯を食べる前だ。


では脳を長く活発に動かし続けるには...


朝ご飯を遅めに食べればいいんだ!(どやっ)」

で、朝昼ご飯一緒にしちゃった、みたいなのが書いてあると、随分微笑ましい。
なんだその三段論法は 笑

まぁ、今どきのガツガツしたライフハックなら「朝活だ!」「自己を高めろ!!」とか言うところ。

「お風呂に入ってる時とか、起きたての時にアイデアが浮かんだりするよね」

なんて書いてて「なるほどー」と感心するより「そーですねー、おじいちゃん」って感じ。
まぁ、30年も前からこういう賢い人が言ってる事を今どきの自己啓発とかライフハッカーは言い直してるだけだってのがよく判る。
ホントくだらない。


◆◇◆◇◆


「お前らに思考法を教えてやる!」
みたいな押し付けがましい感じは無く、上から目線でもなく
「私はこうやって考えるし、思考を整理してアイデアを生み出すにはこういう工夫があるんじゃないか?」
外山滋比古っていう人の、現代ならライフハックなんて言うテクニックに昇華する前の、自身の思考から生み出した知識とアイデアの整理と発想法のかたちがここに書いてある。
その原型は効率化なんかじゃなくアイデアを生み出す、思考と忘却と、アイデアを書きとめるノート。
手書きでコツコツノートを書き、スクラップして、それを整理する。
そして必要のない事は忘れるのも大事。
お風呂でホゲーってして、お昼近くなってご飯を食べる前にアイデアを思いつく。

これが「思考する」って事の基礎なんだと思う。
だからこれを読んで「薄い。足りない」と言うのはそもそもがおかしい。
足りない部分は自分で考えろって事なんだよ?
教えてもらわなきゃ考えられないなら、何のために「考えるとは?」って書いてあるんだ?
グライダー型はどこまでもグライダー型。
偉そうなレビュー書いて悦にいってる人には解らない。

外山氏の経験と知識から書かれた思考のための道しるべ。
読みやすいし、前のめりなライフハックが嫌いな方にお勧めの一冊だと思う。

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*1:表現技法