奇想の人「ウィリアム・キャッスル」

人間の脳はおかしなものでおかしなものとおかしなものを結び付ける。


昨日、帰りが遅くなった。
遅い時間なのに薄暗い路地で子供が遊んでる。
夏休みだからか、それともオレにしか見えてない何かなのか。
まるでトワイライトゾーンだなぁ...(たらりらたらりら~♪)。

あれ?トワイライトゾーンのナレーターって誰だっけ?
モノクロ時代のトワイライトゾーンは好きで全部見てるって言うのに。
あれ?誰だっけ?
タモリじゃないし、レナード・ニモイじゃない。
ウィリアム・キャッスルじゃない...。
「トワイライトゾーン ナレーター」
検索してあぁ、ロッドサーリングだ、と判ってスッキリした。


ん?
ウィリアム・キャッスル
なんで思い出したんだ?
先日ニッポンダンディに出た: 岡田斗司夫が言ってたんだっけ。
ウィリアム・キャッスルは検索すればエピソードが山のように出てる。
ハマープロダクション、ロジャー・コーマンみたいなB級なイメージもあるけど。
今の若い映画好きは知らない人も多そう。
ウィリアム・キャッスルっていう変人の話を知らない人に少しだけ。


映画監督ウィリアム・キャッスル
1914-1977年、アメリカで活躍。
ローズマリーの赤ちゃん」のプロデューサーとしても有名。
ウィリアム・キャッスルで一番馴染みがある「燃える昆虫軍団」

U局でよくやってた。
最近はあまりやってないかも知れない。
アタックオブザキラートマトと同じで役者がワーキャー言って逃げまくるだけ。
バカでかい昆虫が見た目気持ち悪い上に、燃える。
こちらもキャッスルプロデュース。


まぁ、B級なんだが奇想の人だった。

「ティングラー 背すじに潜む恐怖」は、モノクロの映画なんだが、バスタブから死体が出てくる血まみれの赤い色だけカラーで見せたり。
白黒映画なのに、急にワンシーンだけ真っ赤だから観客は当然驚く。

映画中、ティングラーと言う寄生虫が客席に向かって走るように見せて(予告編1:40の辺り)観客の椅子に電流を流して驚かせた。
観客として映画を観ていた幼いスチュアート・ゴードンは、突然の電流に驚いて映画館から自宅まで走って逃げ、その影響からか後に有名なホラー映画監督になった、なんて言う逸話もある。

映画「デモンズ」とか「アクエリアス」なんかでも同様の「映画館に閉じ込められ次々殺される映画を映画館で観る」っていう入れ子構造があるけど原点はウィリアム・キャッスルなんだろう。
ロバート・ロドリゲスが映画「スパイキッズ」で4Dとか言って観客席に臭いを撒いたりしてたが、勿論ウィリアムキャッスルの影響。


他にもサスペンス映画を見に来た観客全員に生命保険をかける事で「もしこの映画を観てショック死したら保険金を払います」と宣伝にしたり、初めに観客に投票用紙を渡し映画の終盤近くにウィリアムキャッスルが登場「この後悪役に罰を与えるエンディングが観たいか?」投票させエンディングを観客に選ばせる、なんてのもあった(投票用紙蛍光塗料で書かれており、観客が掲げた用紙をスクリーンの中のウィリアム・キャッスルが数えてみせると言う演出)。
リメイクもされた「13ゴースト」では青と赤に色分けされた「GHOST VIEWER」メガネ(3D風メガネだが当然そんな技術は無い)が観客に渡されて赤いフィルム越しに映画を観ると幽霊が消えて、青いフィルム越しだと幽霊が浮かび上がる(...暗記用のチェックシートと同じ)と言う仕掛け。


ジョー・ダンテ「マチネー 土曜の午後はキッスで始まる」

この映画にはウィリアム・キャッスルをモチーフにした映画監督が出てくる。
この作品も面白い。


ちょっと話はそれるが、奇想と言えば日本にもいる。
作家 泡坂 妻夫。
氏のミステリーは物語だけではなく本に仕掛けを作ったりする。
B・S・バリンジャー「歯と爪」の結末部分が袋とじになっていて「袋とじを切らずに出版社に送り返せば返金を保証する」と言うのは有名だが、泡坂氏は「生者と死者」で16ページごとに袋とじにして袋とじを破らないでそのまま読むと短編小説になり、袋とじを破ると長編小説になると言う仕掛けをやってみせたり(消える短編小説)、他にも「しあわせの書」にも大胆な仕掛けがあったりする。
ちなみに竹本健治氏の某作にもごにょごにょ...。

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※Amazonに出てる「生者と死者」の古本は袋とじ開封済ばかり...確かウチに一冊未開封があった気が。

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こういう
「物語の中だけではなく物語そのもの、あるいはその外側」
メタなところまで考え策を凝らし、観客や読者を楽しませようっていう発想。
そういう作品はB級でも、古くても価値は高いと思う。

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