漫画「食戟のソーマ」に見る“美味しさ”の表現

食戟のソーマ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
面白いと聞いていた「食戟のソーマ」を読んだ。
電子書籍なのでまだ1巻。

主人公 創真の父親は超一流の腕を持つ料理人。
父親は、ある時店を畳み海外へ行ってしまう。
創真は、超一流料理人を輩出する遠月茶寮料理學園へ入学。
「その学園で生き残れないようじゃオレを越えるなんて笑い話だな」
いつか父を越えて一流料理人になるのが夢の創真は遠月茶寮料理學園の中で料理を学び、戦う、と言う風なお話。
料理バトル、学園もの、お色気、色々揃ってる。


「エロ漫画で鍛えました」がヒシヒシ伝わる画力は高いし、キャラも判りやすい。
伝統と格式張った正統派のフランス料理、ガストノロミーを学んだ敵役。
そんな中、下町の食堂の息子が作る主人公の料理の方が美味い。

主人公って言うのは、はぐれもの。
半沢直樹」半沢は他の銀行員とは違う。
「ドラゴンボール」でも悟空は他と違う。
「HUNTERxHUNTER」でもゴンとキルアだけが子供であとは大人。
主人公は特別、主人公はだから強い。
そう言う理由付け。

編入して来て演説して
「(学校の)てっぺん穫るんで」
なんてシーンは不良マンガのワンシーンそのもの。
一つの法則に縛られた学園に入って来る転入生。
学校の法則に縛られず、価値観も無視する存在。


中に「食戟のソーマ」の原型になる読み切り短編が入ってる。
料理対決。
テーマは卵料理。
敵が作るのは牛肉の旨味がたっぷり出たオムレツ。
それに対して創真が作るのはタマゴふりかけ。

一流のイタリア料理に対して三流の下町の定食屋。
材料も敵は一流の材料、主人公はスーパーの安売り。
しかし気取った料理に対して、庶民の料理が勝つ。
この番狂わせがバトルマンガ王道の構造。
だからそこに「勝つ理由」が必要になる。
主人公だから勝つ、では話にならない。


漫画での「威力」をどう表現するか。
過去にも書いたが、ドラゴンボールならかめはめ波で月を吹き飛ばす。
「うわ!月が吹き飛ぶくらいの威力なのか?!」
対象物を描く事でそのものの威力は表現される。

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味を表現するのは難しい。
包丁人味平」ならケレン味たっぷりのトンデモ調理法で「こんなおかしな料理は無い」と料理に特別感を出し、その上で食べた相手が愕然とする。そのリアクションで「あの料理法でそんなに美味くなるのか?!」と料理法を補強して美味さを表現した。
現実で味平カレーがそんなに美味い訳が無い。
(だって醤油入れて寝かせたカレー)

美味しんぼ」なら材料のうんちく。この材料は北海道のどこどこの何々でこれだけしか取れない希少なモノで、それを使って云云かんぬん...。
どれだけ美味い料理なのかの根拠を言葉で表す。
これだけこだわった、これだけ伝統的な、これだけ希少。
だから美味い。

ミスター味っ子」なら味王が口から光を放ち、龍と一緒に天へ昇り、超次元へ行き、骨折した足も瞬間で治る事で美味さを表現した(アニメ版)。

食戟のソーマ」ではカイジなんかと同じ福本伸行的(或いは味っ子的)比喩表現(アナロジー)で美味しさを表す。
料理マンガの正統進化と言うか王道。
アナロジーは根拠を必要としない。
食べてこんな風に感じた。それを表現するのに理由はいらない。

「この味はまるで...天使の羽根で愛撫されているかのような」
手羽の煮汁の煮こごりの感想を表現するのに、素っ裸で天使に羽根で撫でられて感じちゃっていやん...。
本当はそんなセクシーさは必要無い筈だが。
だって鳥ダシの煮こごりでっせ、あんた...。

他にもぶっ◯け風表現とかフェラ◯オ風表現とか。
「もっと...その ください...!」
びくんびくん。
料理食べると内股になってる...何を閉める必要が...。
恍惚となって失神する。


食と性ってのは意外と結びつきが強くて、だから裸の女性に刺身を盛りつける女体盛りとか股間に酒を溜めるワカメ酒とか。
この「食戟のソーマ」でのアナロジー+お色気っていうのは、正しい選択。
食によって性欲が刺激される表現になると言うのは真っ当だし面白い。
ジャンプでも直接的過ぎるエロは(ある程度はいいけど)あまり好まれないが、エロを匂わせるだけなら全然許容範囲。

まだ1巻なので食戟もこれからだし、ここから面白くなるのだそうで、来月の四日に電子書籍の2巻が出るのを楽しみにしとります。

それにしてもコテコテの金髪巨乳すなー。
ガーター巻いてるくらいウエストの細い薙切えりな。
他の女子を徹底してまな板にして際立たせてる。
食戟のソーマ 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)
Cooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)