復活したNINの「Hesitation Marks」を聴いた

ベストヒットUSAを観てたら小林克也がナインインチネイルズ(以下NIN)の紹介をしてたことがあった。

『このNINはインダストリアルロックと言う風に言われてるんですが、インダストリアルロックって言うのはまるで工場みたいに規則的で機械のような音が特徴的なロックなんですね云々』

つまりそれってテクノとかとどこが違うのかな~、と思ってたんだけど考えてみればNINの音って確かに規則的でデジタルで無機質なんだけれど、その逆にレズナーのボーカルはとても人間的で、初期のゴシックで激しくドロドロした感じは薄れて(シャロン・テート殺人事件があった家を借りてレコーディングした逸話だったり)、今や随分(外観も含め)マッチョになり、機械的なだけじゃなく人間臭い音を鳴らしてる。


そう言うマッチョ~筋肉質な音が機械的な音と同時に存在してるからこそ
「工場みたい」
と言われるのかもしれない。
機械的で無機質なだけの音なら他にもっとあるのだし。


Hesitation Marks(デラックス盤)

今回のレコードは、1年と少しの間フルタイムで労力を費やして完成させた。特に何の目論見もなく試しに書いてみた曲が、けっこう刺激的な音になってね。要するに、自分が面白いと思うことをやっているうちに、どんどん勝手に出来上がっていったという感じだ。どうしてなのか具体的にはわからないけど、そういうやり方にするのが自然だと思えたんだよ。新しいレコードが何故こんな仕上がりになったのかは、まだ自分でも説明できなくて、作りながら「これが正しい」と俺には感じられた、としか今のところは言えない。ただ俺はNINを常に、こっちの端からあっちの端まで自分が極端に走れるようなオープンな状態にしておきたいと思ってきたことだけは確かだ。もちろん、周囲がNINに期待するサウンドと、ある程度まで折り合う範囲においてだけどね。

http://www.barks.jp/news/?id=1000093996


NINの新譜Hesitation Marksを聴いた。
公式サイトでは音質にこだわりまくった変態バージョン(MP3, FLAC, Apple Lossless, and WAV)も手に入るので音基地の方は是非そちらで購入するのが良いと思う。NINは毎度やってるのでお馴染みか。
ただ今回は聴く環境に向けて音源を変えてあるとの事で、さすがにそこまでやってるのはレズナーくらいか。


ウチは、iTunesで買ったんだけど(過去に高音質で買ったけど結局iPhoneで聴くから)そちらではリミックス音源3曲とレズナーが語ってる音源40分がボートラ。
英語力に自信のある方はどーぞ。

視聴もたっぷりできるので気に入ったら買えばいい。


復活したNINは?
まず「Copy Of A」はフジのステージで披露したバージョンが素晴らしい。
これがリードトラックになるのかな。
やはりスタジオ音源は大人しく端正な印象。

フジでのパフォーマンスが素晴らしすぎて造り込んでる筈のスタジオ音源が少しかすむバイアス。


ライブって「CDそのままの音を再現する」んじゃなくって、ライブ感と言うかその時々にしか出せない音だったり環境観客のざわめきも含めたその場全体をひっくるめて「ライブ感」と言い、それが音源をさらに向上させて聴かせる。
昔、ギターレスバンドKeanの来日観に行ったらCD音源の再現が凄まじくて、ライブで聴いてるのにまるでCDみたいにきちんと綺麗に聴かせて
....あれ?じゃあCDで良くね?


ギシギシとげとげしくって激しく突き刺さるような音ではなくって、シンプルに聴こえる印象のトラックに複雑に計算された打ち込みがされてる。
ウケやすくノリやすい音ではなく円熟味、と言うとありがちで嫌いだけれど、しっかりとした音の連なりは一度活動を休止してHOW TO DESTROY ANGELSや映画のサントラを経て、再び戻ってきたトレント・レズナーがNINと言うものを振り返って向き合った結果の、最新のかたちが現れてる。
確かに音はマッチョなんだけど繊細、って言うアンビバレンツが面白い。

無機質で有機的、マッチョで繊細。
NINは、いつ聴いても面白い。
つまり買いですよ、勿論。
ヘジテイション・マークス
Hesitation Marks