宮崎駿監督引退だそうで

宮崎駿氏が引退を表明した。
「風立ちぬ」も観てないし、今さらもうアニメ語りの大御所がどうせ寄ってたかって「宮崎駿論」をここぞとばかりに出してくるだろうし、正直何も語る気にもならない。
あまり思い入れが無いんだよなぁ。
なので以下、与太話と印象(大した中身じゃない)。


そもそも不器用な監督って印象がある。
例えばルパン三世の第二シリーズでは
「死の翼アルバトロス」
「さらば愛しきルパンよ」

をやってる。
確かに両方面白い。
「さらば~」の偽ルパンなんて押井守がやりそうな構造をしてる*1
でもコナンだし、ラピュタなんすよね。

ところが、いまやルパンの世界より現実の世界の中のほうがあこぎになってしまったじゃありませんか。もっと悲惨に、もっと複雑怪奇に。もうルパンがいくら銃口むけてもダメですよ。そんなことは無意味です。それでもルパンはワルサーをにぎりつづけている。
なんにむかって、どこに向けて撃っているんでしょうね。

新ルパン三世における宮崎監督の意図②


アルバトロスはギガントだし、さらば~にはロボット兵ラムダ。
ハードボイルドなルパンは偽物と言われて宮崎駿が思う「主人公とはかくあるべき」というルパンがホンモノとして登場する。
でも本来の第一シリーズのルパンって随分クールなイメージなんだけど。

カリ城のルパンは、ルパンの着ぐるみを着たコナン。
「なんと気持のいい連中だろう」
カリ城で銭形の「とんでもないものを盗んで云々」後のセリフ。
ルパンと言う永遠のモラトリアムをグルグル回り続ける彼ら向けて言った台詞。
でも彼らはルパンでは無くコナンとその一党。
そりゃあ気持ちの良い連中だわ。

自分が表現したいものがあり、それに合わせてキャラを変える。
主張は曲げない。
キャラだって自分好みにしなきゃやらない。
ルパンなんてキャラクターは終わってる。
だからルパンの着ぐるみを着たコナンを主人公にした。
宮崎駿はずーっとメカとボーイミーツガールだった。


で、ラピュタなんすよ。
ラピュタのバルスはだから盛り上がる。
パヤオお得意のボーイミーツガール炸裂。

日テレが組んで、そこから勢いがついた。
「もしも空を飛べたらはははぁん~♪」
なんて安田成美が歌ってるCMが流れてた。
ラピュタは、飲み物だってコラボがあったんだから。
当時からあんなにメディア戦略やってたアニメ映画ってあんまりないんじゃないだろうか。

テレビで年に何度か何かしら放送される。
あの時間帯に映画としてアニメ放送があるってのはイメージが強い。
昔はネットも無かったし。
今だってアニメ映画がテレビ放送される事なんてまずない。
宮崎駿の知名度がぐんぐん上がる。
アニメファンでなくても知ってる。
ヲタクでなくても観て恥ずかしくない。
宮崎駿のは放送していい。
宮崎駿はすごい監督なんだ。
タレントが声優をやってるぞ、ユーミンが主題歌歌うんだぞ。
視聴率も取れる。
何年もかけてそーいうイメージを作り上げた。
誰も疑わないアニメ大監督。


押井守のアニメ映画なんてご家庭に向けて放送できませんぜ 笑
今さら「ビューティフルドリーマー」無理だし「立ち食い師列伝」も厳しい。
「ダロス」を深夜にやってせいぜい。
パトレイバー実写版に合わせてP1はやるかも。
P2は無理。
東京における虚構の「戦争」状態を目的とするテロ、なんて。
P1も虚構だけどあんまり理解出来なくてもイングラム一騎打ちするし判りやすい。


だったら後継者はサマーウォーズなのかなぁ...。
エヴァはアニメ映画としてテレビ放送した事があるけど対象が限られる。
日テレが欲しいコンテンツは万人ウケするアニメ映画だろうから。
時かけとかサマーウォーズの方が、エヴァとラブ&ポップよりコンテンツとして使いやすい。


パヤオ紅の豚で「大人」を描こうとしたけど結局、最後はコナンになる。
ボーイミーツじゃなくって女の子だけ成長して男は豚になって最後はコナンとジムシィで殴り合い。
ラピュタにしろナウシカにしろ魔女宅にしろハウルにしろ、女性が強いってのがパヤオの作品。
女はすごい、女は偉い、頭が上がらない。
...パヤオはストレートに自身を出さない人だから豚にしたりする。
そこここに出ちゃうけど。
ところが風立ちぬで人間を人間として描いた。


日本を代表する「アニメ映画監督像」と言うパブリックイメージを作り上げた宮崎駿と言う人が引退するのは大きな事。
お疲れ様でした。

日テレも数年は再放送で回すんだろうなぁ...。
半藤一利と宮崎駿の 腰ぬけ愛国談義 (文春ジブリ文庫)

*1:押井守にルパンの依頼が舞い込んだ時には全て虚構の話を撮ろうとしたのは有名