ロック好きの為の名盤案内#1 ビースティ・ボーイズ「ライセンスト・トゥ・イル」

ライセンスト・トゥ・イル

白人ヒップホップの草分け的存在のトリオだが、元々はザ・ヤング・アンド・ザ・ユースレス名義のパンク・ロック・バンドであった。しかし、ヒップホップ・ミュージシャンたちとツアーを行ったりなど交流を深めていく中で、その音楽性をロックに取り入れた結果、ラップロックのひな形とも言えるサウンドが出来上がっていった。その他数多くの独創的な功績を残しており、現在までにヒップホップからロック、さらにクラブ・ミュージックにまで渡って広大な影響力を持つ大御所である。

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ビースティボーイズが革新的なのは、いわゆる黒人ラップの押さえた歌唱では無くラップであるにも拘らずその声がパンクままって言うのが素晴らしいんだと思う。

パンクロックは、歌が上手くもメロディがキレイでもない。
ファションは、ピンで留めたガーゼのシャツにレザーのパンツ、鋲の付いた首輪を付けて髪型はモヒカン。
鍵十字を付けたレザーライダース、七色に染めた髪の毛。
リチャードヘルからピストルズで萌芽し、UKパンクNYパンクハードコアパンクへと様々に亜種が生まれた。
クラッシュ、ラモーンズ、ダムド、バズコックス。
マイナー・スリート、スーサイダル・テンデンシス、デッド・ケネディーズ
(歌詞の内容は別として)破壊的でユースカルチャーとしての「若さゆえの無軌道さとかアナーキズムとか」そういうものをない交ぜにした突き刺さるような音がパンクで、それをヒップホップのように語ったのがビースティボーイズだった。

パンクロックからヒップホップへのアプローチ。
だからいわゆるギャングターラップのような「ドラッグ、酒、犯罪、メイクマネー」の文法に無く、リズムも黒人のそれとは大きく違う。


デビューアルバム「ライセンス・トゥ・イル」。
プロデューサーは、リック・ルービン。
(最近の仕事はカニエ・ウェストの「イーザス」。これも面白い音になってる)
発売当時はRUN DMCのウォークディスウェイが1986年8月に発売され全米チャート4位を獲得。
そんな同年に発売されたこのアルバムは全米1位を獲得した。

当時のおバカなステージ。
パンクロックから始まりヒップホップをやってるビースティらしいミクスチャーなステージになってる。
今となってはこういう音も当たり前だけども。
今さら聴きかえしても格好良い。
まだまだトゲトゲしいビースティの若さが詰まってる名盤。


ロックは聴くけど、ラップは聴かない。
そういうリスナーの多くはいわゆるトラックの音に馴染みが無く、ラップ独特の歌唱法(語るように早口でまくしたてる)のが合わない事が多いと思うが、ビースティはパンクロックのように歌い語り、トラックもロックのそれに近くって(ツェッペリン、サバス、クラッシュとか色々サンプリングしてる)だからとても聴きやすくなってる(筈)*1

黒人がラップをやるのが当たり前。
だから白人がやってみせて、しかもトラックにロックをサンプリングして、リズムも歌詞も黒人のそれとは違う。
白人のラップなんて猿まねでB級、でもカッコ良くて気持ちよければそれで良いし、独自のアプローチを徹底して極めて行く事でビースティボーイズは他と違うグループとして生き残った。


最近、ジャズ界でロバート・グラスパーが注目されてるが、イーストコースト~ジャジーなヒップホップの系譜と違いジャズ側からアプローチしているからこそ面白い音を鳴らしている訳で(モス・デフとの来日なんてすごいよなぁ...)ビースティ~もヒップホップ側からではなくってパンクロックからのアプローチでヒップホップを始め、両方の文脈を保ったまま自分らの音を作り上げていったからこそ評価されるんだと思う。

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*1:もうラップは当たり前に聴いてるからその辺の違和感が解らないが、昔そうだった筈