ブランドイメージと変化するデザイン



ブランドは、イメージをいかに造るかって部分にかかってる。
例えばラコステなんかは日本ではオッサンからお子様まで着てるポロシャツブランドのイメージだが、中国ではラグジュアリーな高級ブランドとして認識されてるのは有名な話。
【参考】ラコステが中国で成功している。シャネルやロレックスに次いでラコステがラグジュアリーブランドのベスト3に入ったのだ。そのわけは?/坂井直樹の“デザインの深読み”
ラコステは、2002年にデザイナーがクリストフ・ルメールになってイメージ戦略を変えた。
ラコステの伝統や大人向けのデザイン、ビジネスマン向けに襟が高くワニが小さいビズポロを出したり、ランウェイショーも洗練されたイメージを打ち出した。
その後、クリストフ・ルメールエルメスのデザイナーに就任したがラコステはルメールが造ったイメージ戦略をそのまま継承して現在に至る。


ブランドと言うのはデザイナーによって大きく変わる。
過去、ディオールのメンズデザイナーとしてエディ・スリマンを迎え“ディオールオム”が造られ一世風靡したが、その後エディが引退し代わりにクリス・ヴァン・アッシュが続投したものの“ディオールオム”は凋落した(伊勢丹のセールでは行列できるけど)。
メゾン・マルタン・マルジェラもマルジェラ本人が去り、マルジェラと言うブランドだけが独り歩きしている現在、そのデザインは確かにマルジェラのようだが過去のマルジェラを見ていれば、現在のその空虚さは否定できない(品質もね...)。
日本ならNumber(N)ineからデザイナー宮下が抜けた穴はとても大きい。



ディオールのデザイナーだったジョン・ガリアーノがユダヤ人への差別発言をして解雇された。
代わりにデザイナーに就任したのはラフ・シモンズ。
ジョン・ガリアーノのデザインはとても華美で絢爛豪華。
それに対してラフ・シモンズのデザインはミニマルで構築的。
デザイナーが変わり同じブランドでありながらデザインは一変した。
(上動画が2003年オートクチュール、下動画が2013/14オートクチュール


イヴ・サンローランエディ・スリマンをデザイナーに迎えた。

エディ・スリマンがDior Hommeの時に作り上げた細身のロックスタイルはやはり健在で、その前までデザインを担当していたステファノ・ピラーティと全く違う方向性をSaint Laurent Parisで打ち出してる。


海外ブランドに対するユーザー評価として10項目を設定し、現在の市場において高評価なブランドをポイント数で示したところ、1位は「ルイヴィトン(LOUIS VUITTON)」(16.3ポイント)、次いで「エルメスHERMES)」(14.9ポイント)、「バーバリーBURBERRY)」(14.3ポイント)、「グッチ(GUCCI)」(13.9ポイント)、「ティファニー(Tiffany&Co.)」(13.7ポイント)、「コーチ(COACH)」(13.5ポイント)、「シャネル(CHANEL)」(13.4ポイント)となり、定番ブランドが安定した強さを見せた。以上のブランドは国内海外ブランド市場における販売規模とほぼ比例しているため、ユーザー評価の高さが海外ブランド購買行動に直接的に結びついていると考えられる。

ルイ・ヴィトン、エルメス、バーバリー強し。海外ブランドのユーザーアンケート

日本で人気があるのはバーバリーらしいが、バーバリーとは言えクリストファー・ベイリーバーバリープローサムでは無くて、サラリーマン御用達のバーバリーブラックレーベルやブルーレーベル(三陽商会による日本独自のライセンス生産)。
【参考】三陽商会「バーバリー・ブラックレーベル」ウィメンズ販売終了へ
アレはバーバリーではなくって、ブランドイメージだけのバーバリー
だから安く手に入るし、しかしクリストファーベイリーのロックで遊び心のあるデザインはどこにもない。
名前に「バーバリー」と付いているだけ。



ヴィトンは、レディースは変わらずマーク・ジェイコブスだがメンズには、以前ダンヒルのデザイナーをしていたキム・ジョーンズが招聘された。キム・ジョーンズのデザインは男らしくスポーティなものが多いし、キム・ジョーンズになってメンズラインのデザインは明らかに変わった。
【参考】LOUIS VUITTON MENSWEAR SHOW WITH KIM JONES AT HANKYU OSAKA
ところが日本でのイメージはバブルの頃からの
「モノグラム、パチンコ屋、ドンキホーテ、DQN」
それが払拭できていない。
デザイナーが交代しようが興味の無い人にとってはそれが全てだし、残念ながらそういう先入観と薄い価値観でブランドってのは出来上がってる。
H&Mやフォーエバー21がファストファッションでありながらオシャレと言うイメージを上手く植え付けたのに対して、ユニクロがジルサンダーをゲストに招いたり高橋盾と組んでUUをやってもユニクロのイメージが上がらないように。
しかもブラックと言われイメージは地に落ちた。


固定化したイメージが付いてしまうと、それを払拭するのはなかなか難しい。
未だにサラリーマンにとってのオシャレは「バーバリーのビジネスバッグ」って人も多いし(バーバリーチェックの付いた鞄を見かけるとウゲッて感じだが)、ポールスミス使ってるからオシャレ、なんてのもよく判らない。


まぁすべては、丸井のせいなんだろうけれど...。
オシャレの好きな人間はデザインを見て買うが、ブランド好きはブランドの名前を見て買う。
そしてブランドの名前買いがブランドイメージを損ねる。
なにせブランドの名前が付いてりゃなんだっていいんだから。デザインなんてどーでもいい。
あのブランドのあのロゴが付いてるから高くて良いもの。
センスも何もない。
それが「LV=DQN御用達」なんてイメージを造る。
知らないんなら冒頭に挙げたツイート程度のもんなんだろう。


イメージなんてそんなもの。
流行廃り、移ろい易く、簡単に壊れる。
デザインを理解できるマイノリティじゃなくて、デザインなんて欠片も理解出来ないマジョリティを多く相手にしなきゃならない。
うまくいけばラコステにも、ヴィトンにもユニクロみたいにもなる。

ブランドのタグが付いたそこそこ普通のデザイン。
それが一番無難にウケる。
品質やデザインなんて解りゃあしない。
バーバリーのビジネスバッグなんてそのもの。
ハイファッション デザイナーインタビュー。