あざなえるなわのごとし殺人事件

※一発ネタ

行は一瞬で終わった。
あっけないものだ。私は笑みを抑えきれなかった。
抜け目の無い男。
けれど今回ばかりは間抜けだった。
あれほど注意したのに。

そんな男がこれほどあっさり死ぬとは。
凶器を隠して私はこの部屋から抜け出すことにした。
この完全に閉ざされた部屋から。


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photo by Ricardo Machado - creative studio

「アナタが犯人ですね」
“探偵”と名乗る男はいきなりそう言った。
その言葉に一瞬で汗が流れ出るが、表情を変えずに耐えられた筈だ。
「何を根拠にそんな事を?どこかに証拠でも?」
バレる筈は無い。
「被害者の身体にはとても大きな傷口がありました」
“探偵”はいう。
「そんな大きな凶器なら持ち歩くだけで目立ったことでしょう。しかしアナタは上手く隠した」
何を言おうとしているんだ...この“探偵”は。
「これをご覧下さい」
“探偵”が私に示したのは事件記事のHTMLだった。



<span style="font-size: 200%"><b>犯</b></span>行は一瞬で終わった。
あっけないものだ。私は笑みを抑えきれなかった。
抜け目の無い男。
けれど今回ばかりは間抜けだった。
あれほど注意したのに。
<!--ナイフ-->
そんな男がこれほどあっさり死ぬとは。
凶器を隠して私はこの部屋から抜け出すことにした。
この完全に閉ざされた部屋から。



「上手く隠したものですね。<!---->タグに隠せば表からは見えなくなる。ソースまで捜査は及ばないと考えたんですね」
ぐっ。
まさかそんなに簡単に見つかるなんて...。
「し、しかし被害者の傷はナイフで付くような小ささのものではなかった筈だ!」
「えぇ、そうです。傷口はとても大きかった。だからあなたはナイフに<span style="font-size: 200%"><b></b></span>タグを付けたんですよね。今やってみましょう」
“探偵”と名乗る男はから<span style="font-size: 200%"><b></b></span>を外しナイフに付け替えた。
私がやったように。
ナイフ
「この大きさなら被害者の傷口とも一致します」
こいつ...ここで始末するべきか...いや、まだ。
「し、しかし現場は密室だった筈だ。どこにも出入り口は無い」
「いいえ、出入り口はありました。誰でも目に付くところに。もう一度記事を見てください...判りやすく色を変えましょうか」

行は一瞬で終わった。
あっけないものだ。私は笑みを抑えきれなかった。
け目の無い男。
れど今回ばかりは間抜けだった。
れほど注意したのに。
<!--イフ-->
そんな男がこれほどあっさり死ぬとは。
凶器を隠して私はこの部屋から抜け出すことにした。
この完全に閉ざされた部屋から。





「脱出口がありました。アナタは犯行後、ナイフから<span style="font-size: 200%"><b></b></span>を外し、<!---->を付け隠し抜けあなから抜け出した。違いますか?」
「だ、だからと言って私が犯人である証拠にはならない」
私は震えながらそう言った。しかし“探偵”はあっさりと
「いいえ、あなた以外ありえない。このブログの“管理人”であるアナタでない限り誰にも記事のHTMLを書き換えたりは出来ない!!」
...そうだ。
私は“管理人”の立場を利用してHTMLを書き換え犯行を行った...。

こいつは生かしておいてはいけない。
“探偵”と名乗るこいつも...。
「無駄です」
まるで心の声が聞こえたように“探偵”が言う。

「アナタに私は殺せません。アナタは“管理人”だが本当の管理人では無い」
...こいつは何を言っているんだ。


「我々はこの記事に書かれた字ですよ、“探偵”も“管理人”も誰かがこの記事を読んだ時、脳の中に発生する疑似的な存在に過ぎない」
滔々と“探偵”が語るが私には意味が解らない。
何を言っているんだろう、こいつは。

「二人とも実在なんてしません。それが証拠にアナタにHTMLタグを書き換える事なんて出来ない。ただの“管理人”でしか無いあなたには。本当の犯人は私にこれを語らせている管理人そのヒトです。しかし私には管理人を捕まえることも糾弾することもできない。私もまた管理人が書きこむ虚構でしかないからです」

全く理解出来ない。
狂人の戯言のように“探偵”が語り続ける。
「この事件、いやこの世界は全て管理人の想像の中。突如
f:id:paradisecircus69:20131122144731j:plain
意味の判らない画像を挟む事だって出来るんですよ。しょせん操り人形です」
ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん
ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん
ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん
ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん
ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん
頭の中に呪文のように鳴り響く。

私は“探偵”の頸を思いっきり絞めあげた。
ひゅう、と喉を鳴らし、抵抗することも無くあっさり“探偵”は死んだ。
いや、最初から“探偵”なんていなかった。
“管理人”もいない。
私もいない。
私は。
私は狂っているのか。
いや、狂っているということになっているのか。
誰が仕組んだんだ?私は誰だ?
いや何だ??

私は何をすればいいんだろう。
オチか?
オチを付ければいいのか。


おや、誰か来たようだ...。
ミステリーズ《完全版》 (講談社文庫)