時間遡行SF小川一水「時砂の王」面白かった

時砂の王
ハリウッドで映画化の動きもあると言う小川一水「時砂の王」読了。
面白いとは聞いてたが、確かに面白い。
さすが小川一水。

〈時をめぐる大いなる戦いの果てに――著者が満を持して挑む、初の時間SF〉時間線を遡行して人類の完全なる殲滅を狙う謎の存在。絶望的な撤退戦の末、男は最終防衛ラインたる3世紀の倭国に辿りつくが……

 



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古代の日本から物語は始まる。
彌与=卑弥呼が謎の怪物に襲われ、間一髪のところで未来から来たと言う“使いの王”に救われる。
“使いの王”によれば、未来の人類は謎の地球外生命体...ETに襲われる。
戦いの中、人類は過去遡行の技術を開発。
時間を遡り技術を整えまだ未発展のETを迎え撃つ“使いの王”
しかしETも過去遡行の技術を手に入れる。
過去を改竄しようとするETを撃ち滅ぼすために“使いの王”は過去を遡り続け、戦い続け彌与の時代に辿り着いた。
彌与“使いの王”は、邪馬台国の兵を率いETと戦う、てなお話。


時間遡行を行い過去の時代へ遡り、進軍してくる未来からのETを迎え撃つ、んだが行く先々の時代でうまくいかない人間のエゴ。
国の利益とか駆け引きとか、地球規模の危機であれ国家主義に走って、ETに滅ぼされるしかない人類は、でもまぁそんなもんだろうなぁ。
過去を改竄するたびに未来が書き変わり、無かった未来が発生し、あった未来の枝からは切り離される。
過去に遡れば遡るほど枝は増え、しかし未来から時間遡行軍(人類が生き延び、時間遡行技術を手に入れ軍隊を作り過去のETを撃ち滅ぼす)はいつまでも現れない。何かしらの事情で時間遡行の技術を手に入れない、軍を作らない未来、もしくは滅びてしまう未来しか作られない。
元の時間には永遠に戻れず過去に遡り続け戦い続ける壮大なストーリー。

主人公の“メッセンジャー”オーは人間ではないけれども、遥か未来に恋人と呼べる人を置いたまま過去に遡る。
しかしその時間には永遠に戻れない。

時間は、樹のように細かい枝に別れている。
ETがやって来ないよう、やってくるETを迎え撃ち、人類が発展し時間遡行軍を作る未来の枝を別けるために過去に遡る。
未来から時間遡行軍がやって来ないのなら、その時間枝に未来は無い。
いずれ必ず滅びる。

いつまでも、どれだけ戦っても、その時代の人間に振り回され、何度人類が滅びてもグッドエンドにならないのは、ゲームセンターCXで有野課長が何度も何度もゲームを繰り返しても一向に終わらないのと同じ。しかし番組のゲームならギブアップで終わるが、無理ゲーを何度も繰り返し、人類が滅ぶたびにリセットを何年も何十年も何百年も何万年も押し続けるのはひたすら不毛。
歴史は人間が作るのに。


ハリウッドで映画化だそうだけど、どれだけこの哀しさとか切なさを表現するのか。
雪崩打つようにやってくる怪物の群れ、は映像的に面白そうだけれど。
ざっくりした映画になりそうな...。

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