“論理的にはありえない”らしい法月綸太郎「キングを探せ」

キングを探せ (講談社ノベルス)

寂れたカラオケ・ボックスの一室に、奇妙なニックネームで呼び合う4人の男たちが集う。なんの縁もなかったはずの、彼らの共通項は殺意だった。それぞれにどうしても殺したい相手がいることで結託した彼らがもくろんだのは、交換殺人。誰が誰のターゲットを殺すのか。それを決めるのはたった4枚のカード。そして、ひそかに実行され始めた殺人―。シャッフルされた完璧な犯罪計画に、法月警視と綸太郎のコンビが挑む!
今年のミステリ系ブックランキングで「ノックスマシン」が上位に入っている法月綸太郎氏の去年のベスト作品。
四人の人間が交換殺人を計画。
見ず知らずのそれぞれが殺したい対象をカードを引いてシャッフル。
犯行を行うも...というお話。

新本格ミステリは「人物が描けていない」と言われることが多い。
この作品を読んでも確かに人物よりもトリックや仕掛けに軸足があり、純パズラーと言った趣で、だからこそ人間的な面の描写は冗長にならない程度に薄く、しかしそれでいてミステリとしての面白味は堪能出来るようになっている。
つまりはミステリのパズル的な嗜好や技巧が好きであればとても楽しめるし、仕掛けでは無く人間性やドラマ性を重視する方には少し物足りないかもしれない。

「交換殺人」と言うもの自体が、かなりの残酷性(罪を逃れて見ず知らずの人間を殺す)を匂わせたテーマなので人間の残酷な面も充分に書きこまれてはいるんだけれども。
あ!っと驚かされる作品、と言うよりもその張り巡らされた技巧に唸らされる作品とでも言えばいいか。
さすがは“ミステリ”志向の強い「2013本格ミステリベスト10」で一位をとっただけのことはある(同年の「このミス」では8位)。


ちなみに

捜査上の機密を身内にばらす警視なんて、現実には”百万分の一の確率で”あるかもしれないが、”論理的にはありえない”。

Amazon.co.jp: キングを探せ (特別書き下ろし)の kazさんのレビュー

アマゾンのレビューからの引用だが、それは「論理」ではない。
それを言うならフィクションとかミステリと言うものは読まなくていいと思う。
まぁ、何を感じるかは勝手だけれど、レビューとして書きこむのはまた違うなぁ。
それを言い出すなら
「なーにが斜めに傾いた屋敷だ。建築基準法的にそんなものは...」
「海の上に巨大なピラミッドがあってその上に死体だとかナンセンス...」
「見ているのに見えていなかったとか妊娠20カ月の妊婦だとかバカバカしい」

それは“論理”かどうかが問題なのではなくフィクションをフィクションとして捉えられないのが問題なので、ノンフィクションと実録ドキュメントだけ読んでとっととクソして寝てください。
小心者の母子が殺人事件を捜査する警察の取り調べに耐えられるはずがないのに、そんな肝心の記述はどこにもない。読者をミスリーディングする著者のやり方があまりに卑怯だ。このくだらないトリックを除いたら東野の小説には何も残らない。哀れなものだ。

Amazon.co.jp: 容疑者Xの献身 (文春文庫)の kazさんのレビュー

「耐えられるはずがない」
...お、おぅ。
で、もうミステリ読まなくていいんじゃないかと祈るばかりであります...。


じゃーねー。
2013本格ミステリ・ベスト10