2014このミス一位だからって「ノックス・マシン」は、誰もが読んで面白い訳じゃ無い

ノックス・マシン  電子オリジナル・コンデンス版 (角川書店単行本)

1.犯人は物語の当初に登場していなければならない
2.探偵方法に超自然能力を用いてはならない
3.犯行現場に秘密の抜け穴・通路が二つ以上あってはならない(一つ以上、とするのは誤訳)
4.未発見の毒薬、難解な科学的説明を要する機械を犯行に用いてはならない
5.中国人を登場させてはならない (これは中国人という意味ではなく、言語や文化が余りにも違う他国の人、という意味である)
6.探偵は、偶然や第六感によって事件を解決してはならない
7.変装して登場人物を騙す場合を除き、探偵自身が犯人であってはならない
8.探偵は読者に提示していない手がかりによって解決してはならない
9.“ワトスン役”は自分の判断を全て読者に知らせねばならない
10.双子・一人二役は予め読者に知らされなければならない

ノックスの十戒 - Wikipedia

法月綸太郎氏の「ノックス・マシン」を読んだ。
このミスの一位ということで期待して読むと...確かに面白い。
かなり読者を選ぶ、というかすくなくとも普段は村上春樹とか読んでるけどたまにはミステリでも読んでみるかなーと思って手に取る作品では絶対無いし、ラノベばっか読んでるからたまにはミステリとか言うヤツでも、と手に取るのにも勧められない。
基本的に「本格ミステリベスト」も「このミステリー」も両方「普段ミステリを読んでいる読者が面白いと思う今年のミステリ本」のランキングなのでこう言う作品が一位をとっても納得は出来る。
新本格好きに伝えるとするなら大森望絶賛」
これで判ると思う(一部の方には)。
本格ミステリ、本格SF、両ジャンルの歴史に残る必読の傑作
――大森望氏(「本の旅人」4月号)

神林長平の「言壷」や量子力学、あるいは黄金時代のミステリ...クイーンやクリスティ、ノックスなどを読んでミステリもSFモ好き、という人が未読なら是非手に取って読んで間違い無い。
ミステリを使ったSF中編の趣が強い。
以前にこのブログで、
あざなえるなわのごとし殺人事件 - あざなえるなわのごとし
という拙作を挙げた。
中身はHTMLを使ったメタミスなんだけれども、「ノックス・マシン」もこれと同じようにミステリのタームを使ってSFを書き上げる作品、とでもいえばいいかも知れない。
量子力学や量子重力理論などの衒学趣味もあるし、もちろんミステリに関しても色々出て来る。


文字が全てオンライン上にあり、文章の自動生成プログラムが人間以上に完成度の高い物語や文章を作り上げる未来。
研究者ユアンは研究において「ノックスの十戒」を使うことを思いつく。
ノックスの十戒」とはミステリにおける「これは犯してはならない」というルールのようなものだが、五番目の「中国人を登場させてはならない」があることによりナンセンスと判断されそれを使おうとは誰も思ってはいなかった。そこでユアンは解決法を思いつくのだが...。


こう言う物語を読むと新城カズマ氏の「われら銀河をググるべきや」を思い出す。

われら銀河をググるべきや―テキスト化される世界の読み方 (ハヤカワ新書juice)われら銀河をググるべきや―テキスト化される世界の読み方 (ハヤカワ新書juice)
新城 カズマ

早川書房
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グーグルは世界中の紙媒体の情報をオンラインに取り込もうとしている。
識字率の向上、それはグーグルの利益に直結し、グーグルが文字を取り込みグーグルの領域を広げることでグーグルがウェブそのものになろうと...まぁ、色々そう言った面白いことが書かれているんだけれども「ノックスマシン」で描かれる量子コンピューターが使われている近未来でオンラインにすべて文字が取り込まれている未来というのもなかなかゾッとするもの。


上海大学のユアンは国家科学技術局からの呼び出しを受ける。彼の論文の内容について確認したいことがあるというのだ。その論文のテーマとは、イギリスの作家ロナルド・ノックスが発表した探偵小説のルール、「ノックスの十戒」だった。科学技術局に出頭したユアンは想像を絶する任務を投げかけられる……。
本格ミステリとSFの美しき「融合」がここにある。異形の奇想中編集!
※本電子書籍は、紙書籍『ノックス・マシン』から「ノックス・マシン」「論理蒸発―ノックス・マシン2」の2篇を収録した電子オリジナル・コンデンス(凝縮)版です。
とあるように電子書籍Kindle)版は単行本版の
1.ノックス・マシン
2.引き立て役倶楽部の陰謀
3.バベルの牢獄
4.論理蒸発~ノックスマシン 2
のうちの1と4だけを詰め込んだものだそう。
なのでほぼ半額で売ってる。
ノックス・マシン