メインストリームとカウンターカルチャーと繰り返すBPMと

※慣らし運転中の戯言

James Blake - Limit To Your Love - YouTube
「高速化するJPOP」をどう受け止めるか 音楽ジャーナリスト3人が徹底討論(1/3) - Real Sound|リアルサウンド
BPMの低速/高速と言う話は常にあって、でもこれって時は廻るじゃないけどこれまでを見ると循環してるように思える。
例えば過去を見ればメタルが全盛で、メタルって言うのは200BPMがざらだったシーンで、メタルがメジャーになったところへインディーからオルタナティブなニルヴァーナ辺りがBPMを落とした曲を鳴らし始めた。
日本では歌謡曲が全盛のシーンに少々高速のインディからロックバンドが出現、
打ち込み中心の小室ファミリー、エイベックス全盛期を経て聴かせ系の「歌姫」が乱立したと思ったら今度は韓流~のデジタルな音。

Nirvana - Smells Like Teen Spirit - YouTube
打ち込みもエイフェックスらのドラムンベースとかジャングル辺りで高速化するけれど、最近はポストダブステップとか言われて、ジェイムズ・ブレイクとかブリアルとかアンビエント色の強いダウンテンポな楽曲も注目されつつあったりして、高速がメインストリームになればそこへ低速がカウンターカルチャーとして浮上するのがこれまでの世の常。
常にずっと一定の音楽が、一方的なベクトルで延々高速化/低速化を続ける、と言うシーンはあまり見かけない。



【MV】恋するフォーチュンクッキー / AKB48[公式] - YouTube
今は確かに高速の曲がもてはやされつつあるけれど、でも一方的にそうではなくって例えばAKBの「恋するフォーチュンクッキー」のようなミドルテンポの歌謡曲を思わせる音も受け入れる層は間違いなく存在していて、高速で情報量が過剰になりつつある音楽シーンに情報量を減らした「フォーチュンクッキー」のような曲が出て来ればやはり異彩を放つ。
「歳をとると演歌がしっくりくる」というけれど、そりゃあ若い頃はBPM200超えてようが情報過多でも処理し切れるけれど、歳をとって来れば当然情報処理能力は落ちるし、詰め込まれても聞き取れないし慣れないし、慣れるつもりもないし、だから情報を落としてその分情感だとか風景だとかそういう観念的な嗜好に落ち着きはじめる。


志村けん「ウーマンラッシュアワーのネタは聞き取れない」 | 世界は数字で出来ている

志村けん:THE MANZAI2013で優勝したコンビいるだろ?

上島竜兵ウーマンラッシュアワーですね。

志村けん:アイツら、なんなの?

枡田絵理奈:凄い早口ですよね。

志村けん:全然、何を言ってるか分からないの。ウケてるんだけど、分かってウケてるのかな?

落語なんて1ネタ数十分が普通。
クレージーキャッツらも登場して、一つがっちりと作りこんだものをテレビでやってみせる。
そこへ中田ダイマルラケットから夢路いとし・喜味こいし師匠らの漫才。
いわゆる演芸ブーム
今からすればまったり遅いけれども。

そこへ漫才ブームが到来。
お笑い第二世代のB&Bやツービートらが高速の漫才で人気を博する。
テンポはさらにさらに早い。
短くて早い方がテレビに向いてる。

次に出てきたダウンタウン。
ネタはシュールで、テンポはとても遅い。
色々テレビのお笑いが変遷して、今度はウーマンラッシュアワーの高速ネタ。


元々、いつの時代も高年齢層向けにメジャーのエンターテイメントが台頭しない。
いつも若者がもてはやして、それでシーンが盛り上がる。
とはいえウーマンラッシュアワーが時代の旗手になってお笑いシーン全体が高速化するか?と言うとそれは微妙。
今はテレビも斜陽で多様化してるからシーン全体が一方的に流れることもなさそうに思える。


ドリフは、漫才ブームの漫才師らよりも前の流行。
そりゃその時代からお笑いやってる志村けんが見ればウーマンラッシュアワーは早くて仕方ないんだろうし、情報量も処理しきれないんだろう。

ドリフみたいに毎週、あるいは特番でそのグループだけが一時間や二時間の番組内で細部まで作りこんだ複数ののコントを延々やる、なんて言う番組は今やほとんどない。
バナナマン、東京03に、バカリズムにしろ単独ライヴでやる長尺ネタとテレビでやる単発の省略ネタは、演じるテンポも違うから印象が違う。
ボキャ天、レッドカーペットなんて簡略化の極みだしテレビ番組も短いネタを詰め込む方を重視したシーンがあった。
バラエティやお笑いも今はそこまで高速化してないが、そこへ超速のウーマンラッシュアワーが出てきて目立つ。


テレビのバラエティだって昔のアイドルだって
「早くて何言ってんのか判んない」
と言われてた時代もあるわけで。


とはいえ音楽にしろ長尺で重いコンテンツよりも短くて軽くて情報量が詰まっているものは好まれるし、高速化は避けられないのかも知れない。
今は多様化していて一つのシーンが一つのBPMで占められることは少なくなったけど、それでも数年後には「なんか2013年頃ってめっちゃ早かったよなーwww」とか言われてるかもしれない。
いつの時代にも時代のBPMとは違うリズムで鳴らしてる存在はいるもので、シーンが同じように傾倒するかどうかは別として、アークティックモンキーズみたいに180BPMくらいの曲を若さ全開でやっても他が追従しないこともある。

Arctic Monkeys - Do Me A Favour - YouTube

将来、低速で「情感」を重視する音を鳴らす時代が来たらその時にボカロシーンは変わらず高速でやってんのか、それとも不気味の谷を越えて(人間的かどうかはさておき)数値化の難しそうな情感すら表現してるのか。

ボカロは低速で情感を表現する方が難しそうに思うし、逆に高速化は容易。
それを音楽シーンと比較しても少々きついんじゃないだろうか。
他に影響を与えていても、ボカロシーンはボカロシーンとして単独で考える方が自然に思えるけれども。

慣らし運転、雑感はこんな感じで。
プロデューサー―音楽シーンを駆け抜けて