ボカロによるシューゲイザーカバーアルバム「シューゲロイド」に感じる違和感


ナタリー - マイブラ、ジザメリをボカロが歌う「シューゲロイド」発売

90年代に全盛を極めた海外シューゲイザーシーンの名曲の数々を、ボーカロイドを使ってカバーするアルバム「シューゲロイド」が1月22日に発売される。

このアルバムにはMy Bloody Valentine、Ride、Slowdive、Pale Saintsといったシューゲイザーを代表するバンドや、その源流と言えるThe Jesus And Mary ChainSonic Youthなどのカバーを11曲収録。轟音ギターによる本格的なシューゲイザーサウンドと、ボーカロイドのはかない歌声で名曲に新たな魅力が加えられている。

マイブラなどシューゲイザーの名曲をボカロでカバーしたアルバムが発売になったのだそう。
Teenage Fanclubの「Star Sign」がシューゲイザーか否か?とか(Teenage~をなぜ選んだ...)気になるところもあるがさておき、Youtubeの試聴音源を聴いて違和感を感じた。


シューゲイザーと言うジャンルは一説には「芸大での学生が(観客では無く)靴を見下ろしながら俯いて演奏する(内向的なイメージ)」ところからからシュー(靴)ゲイザー(凝視)と呼ばれ、ギターとノイズ、そして囁くような優しいボーカルが特色。
例えばマイブラの音は、ウォールサウンドのように、曲を構成する音の隙間をノイズ音で埋めることで成立してる。
主旋律となるギターが太く鳴り、それと同じ軸上に何重ものノイズを重ねる。
とげとげしく激しい分厚い嵐のようなノイズ音の連なりの中、ウィスパ―ボイスと呼ばれるビリンダのヴォーカルが聴こえると、リスナーはそのノイズの激しさの中に美しい優しさと癒しを見つける。
防風と雷が荒れ狂う嵐の中で毅然と咲き誇る一輪の花のような存在。
ただなよなよしいのではなくノイズの中にあるからこそウィスパ―ボイスは一層輝いて存在を示す。
マイブラの...ケヴィン・シールズの音ってのはそういうものだと思ってる。
そんなエキセントリックな音のオブジェクトを目指したからこそ、アルバム「ラヴレス」は製作費が25万ポンドもかかりクリエイション(レーベル)を倒産寸前に追い込んだのは有名な話。

ノイズ音ってのは、無機質でトゲトゲしいからこそそこに拒否感を覚える。
ノイズも音であり、それを使って音楽を奏でる事が出来るというノイズミュージックの理屈は理解できても、暴力温泉芸者アレック・エンパイアの演奏を聴いて一見さんが素直に理解はしづらい。
そこに判りやすい主旋律が欲しい、明確なメロディとリズムが欲しい。
シューゲイザーではウィスパ―ボイスがそれに相当する。


ところがこのカバーアルバムの場合、その有機的な筈のヴォーカルをボカロでやってる。
ボカロの声にも慣れたとはいえやはり不気味の谷を越えてはいない。
無機質なノイズの中に、無機質なボカロのボーカルが加わったら、これはもうシューゲイザーとは別物。
聴いてみてもボーカルが与えてくれる感覚が変わってしまってる。
元々名曲ばかり、カバーもキチンとやってる。
ただコレジャナイ感が否めない、不気味の谷を越えていないボカロ声。
これはこれで楽しめばいいんだろうけど「ボカロでカバー」と言うよりもリメイクとか言うニュアンスの方が近い。


買いもしないで視聴だけで書いてるんでもちろん的外れの可能性もある。
シューゲイザーは、なんだかんだ音がセンシティブなので、カバーは難しい。
シューゲロイド