小川一水「天冥の標VII 新世界ハーブC」

※ネタバレせざるを得ない
天冥の標Ⅶ

男性24905名。女性27339名。成人1029名。残存人類、52244名──第7巻のさらなる絶望

《救世群(プラクティス)》が太陽系全域へと撒いた冥王斑原種により、人類社会は死滅しようとしていた。
シェパード号によって《救世群》のもとから逃れたアイネイア・セアキは、辿りついた恒星船ジニ号でミゲラ・マーガスと再会する。
しかし混乱する状況のなかジニ号は小惑星セレスに墜落、かろうじて生き残ったアイネイアとミゲラは、
他の生存者を求めてセレス・シティへと通信を送るのだったが――
さらなる絶望を描くシリーズ第7巻


崩壊と再生。
大きな視点で見るなら被展開体ミスチフの掌の上で踊る<救世群>が人類に対して起こしたテロにより壊滅。ノルルスカインは一手仕損じ相変わらず羊の中から野次馬を気取ってる。被展開体同士の小競り合いは人類の存亡がかかるスケール。

強力な細菌、冥王斑を人類に対し兵器として使用し、パンデミックを引き起こす<救世群>。
セアキらは地下に逃げ延びそこで「生き延びた」人類として崩壊した社会の再生を行う。
いやはや壮大。
小川一水と言えば短編「ギャルナフカの迷宮」で「ミノタウロスの神話を思わせる地下迷宮に閉じ込められた人々がコミュニティを作り社会システムとして機能させる」物語があったりしたわけだけれども、今回もあの「社会と言うものが徐々に出来上がって行く様」を描いてる。
最初は理想と使命に燃えるスカウトらも事態の重さに疲弊し、強権を持ったり圧政を敷いたり。
その辺りも過去の歴史を踏襲してる。
君主制から民主制へと移行し、歴史を改竄しそしてでき上がった社会「メニー・メニー・シープ」が天冥の標Iの舞台。

時間の流れ通り、簡単に書けば
II→III→IV→V→VI(1、2、3)→VII→I(上、下)
という流れになるか。

「メニー・メニー・シープ」で起きていた謎がどのような経緯で起きたのか、遠い遠い歴史を逆に辿り描いてきた物語。
次巻では
II→III→IV→V→VI(1、2、3)→VII→VIII?→I(上、下)
II→III→IV→V→VI(1、2、3)→VII→I(上、下)→VIII?
が描かれるでしょうか。
宇宙を舞台に人類が滅び再生する姿を描く壮大な叙事詩も後半戦。
物語もあと少しで終わってしまうかと思うと少し寂しくも、愉しみにしております。

天冥の標Ⅶ天冥の標Ⅶ
小川 一水

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