ファッションと言う悪魔に魅入られた男「ビル・カニンガム&ニューヨーク」


映画『ビル・カニンガム&ニューヨーク』予告編 - YouTube

彼に撮られることこそが、ニューヨーカーのステータス! ビル・カニンガム現在84歳。NYのストリートでファッションを撮り続けて50年。

現在84歳にして、ニューヨーク・タイムズ紙の人気ファッション・カメラマンのビル・カニンガム。世界中のファッション・ピープルから愛され、尊敬を集める彼の私生活や仕事ぶりが初めて明かされる・・・

ストリートで写真を撮り続ける老人ビル・カニンガム。
結婚も恋愛もせず、ただひたすら写真を撮り続ける。
食事にも興味はないし、住むところにもこだわりはない。
事前に安い食事を済ませ、豪華な料理の並ぶセレブなパーティでは何も食べずにひたすら撮影。
住居には写真の入ったキャビネットが並び、倉庫と化している住居で眠り、お金にも興味はなく、NYタイムスという一流の新聞でコラムを持っているのに質素な生活をして、ただひたすら写真だけを撮り続ける。

自身が着るのは、掃除夫用の丈夫な上着。
カメラが擦れてすぐにダメになるから数千円の上着で充分だと語る。

写真家 アンリ・カルティエ=ブレッソンの撮った、水たまりを飛び越えようと走る一瞬をとらえた写真は有名だが、あれと同じくビル・カニンガムの撮るファッションの写真には生きている躍動感がある。
多くのファッションフォトグラファーが撮影する写真は被写体をまるで美術品のように撮影するが、ビル・カニンガムの写真にはキレイに着飾った女性が雪道で悪戦苦闘していたり、あるいは急に雨が降ってきてゴミ袋をかぶった女性、なんて写真もあったりする。
ストリートのリアルなファッション。
着ている服が高いか安いか、なんていう基準ではなくビル・カニンガムが見て「美しいか否か」
それしかない。
だから幾ら有名な女優でもビル・カニンガムのお眼鏡に叶わなければ撮影はしないし、年齢性別関係なく誰であれ美しいと感じればシャッターを切る。
NYタイムズ ビル・カニンガムの連載「ON THE STREET」

誰のものでもない、自分の中の「美」と言うものを求道した果て。
何ものにも左右されず、人生において他の欲求がない。
ファッションとそれを記録することに対しての欲求が純化した存在、それがビル・カニンガム。

生きる上で、たくさんお金を稼ぐために生きる人は多い。
しかしお金はあるだけで充分、あとはただひたすらファッションと写真。
そういう目標を掲げる生き方は例え憧れても、目指すのは金持ちよりも難しいかも知れない。

求道者、あるいはファッションと言う悪魔に取りつかれた老人。
ビル・カニンガム&ニューヨーク [DVD]