英国謹製健康優良不良少年 vs エイリアンの団地決戦「アタック・ザ・ブロック」

アタック・ザ・ブロック [Blu-ray]

ロンドンの貧しい公共団地(ブロック)に住む不良キッズたち。荒(すさ)んだ毎日を送る彼らは、毎晩のように仲間たちと集まって騒いでは街の住民を困らせていた。
ところがある夜、とつぜん空から降ってきた無数の凶暴なエイリアンの襲撃をうける。
大混乱になる街。これまで味わったことのないリアルな恐怖に襲われながらも、恋人や家族を守るため、いつしか不良キッズが街を救うために立ち上がる。
原付バイクで逃げ周り、花火でかく乱、ニンジャ刀でひと突き…知恵と勇気を結集し、決死の覚悟で最後の反撃に出る!
イギリスのコメディアン ジョー・コーニッシュの監督初作品で出演はニック・フロスト
コメディ要素ありかと思いきやゴリゴリのB級SFアクションに仕上がってる。
突然空から隕石が落下。
落下点にあった車を漁ろうとしたストリートギャングのモーゼスらが宇宙人(生物)と出会いとりあえず凹って殺す。
...最悪のファーストコンタクトだなー、と思ってたら次々宇宙人がやって来て主人公らを追いかけ回す。

AKIRAの鉄男、金田のような健康優良不良少年グループ。
スクーターに股がり、金属バットや日本刀、花火を武器に宇宙人らと戦うが次々やられて行くのは少し意外。
主人公が子供だから生き残る、というルールは適用されないらしくガツガツ食われる。
通常なら警察を呼んだりして展開が変わるんだけれど、主人公らが公共団地に住むストリートギャングだけに頼るわけにもいかず自分たちで何とかしなきゃならない。
これがアメリカなら銃を撃ってBANGBANGBANGが常道だけれど、英国ゾンビ映画の名作「ショーンオブザデッド」でもゾンビ相手にレコードを投げて戦っていたようにイギリスは銃社会じゃないから大変。
拳銃で死ぬ宇宙人ならアメリカじゃ役不足
だから酸を撒いたり、拳銃が効かなかったりする。

宇宙人...獣は毛むくじゃらで黒くて牙だけが光っている。
アンクルというミュージシャンのPVの後半に真っ黒ではをカチカチ鳴らす怪物が出て来るのだけれど、それを思い出した。

UNKLE - "Eye for an Eye" Global Underground ...
痛快なアクション、という訳ではなく、人死にも多く出るし、クールで残酷なのもイギリスらしくブラック。
コメディアンの監督が撮ったというイメージで観るとシリアスな中身に驚く。
ただの公共団地の廊下が、充満する花火の煙のせいで異空間に見える演出も面白い。
周囲が見えないだけで一気に不安感が増す。

タイトル「アタック・ザ・ブロック」のブロックとは公共団地のこと。
イギリスでも経済の格差が大きく低所得者層が住む公共団地を根城にストリートギャングがいて、そんな彼らを手足に使って麻薬をバラまく人間が存在する。
警察にも頼れずどんな恐ろしい敵が来ても逃げ込む先は自分たちの団地しかない。その団地を守るために戦わなきゃならない。
イギリス国旗が象徴的に出て来るのも何かシニカルなイメージ。
銃社会じゃないから日本刀で戦うのも格好良かった。
主人公のモーゼスがデンゼル・ワシントンっぽい顔立ちで主人公映えする。

Amazonのレビューに

チンピラが正義漢ぶってエイリアン退治。

人物酷い…強盗集団
CG酷い… エイリアンというよりお粗末ゴリラ
ご都合主義酷い…エイリアン倒したから英雄!

総合☆0でもいいです


Amazon.co.jp: アタック・ザ・ブロック [DVD]の 雑食 "草"さんのレビュー

こう言う的外れな感想が載ってたんだけど、どうしてストリートギャングの少年らが主人公で最後は英雄みたいになるかといえば、彼らが「周囲の環境によってギャングになっている」からなんですよね。
本質的には悪い人間じゃないし仲間思い。
だから宇宙から侵略者がやってきて戦う時には悪でもなんでもなく、人間として立ち向かい仲間を守る。
貧困層が住む公共団地を舞台にしてるのは、イギリスの格差社会が生んでいる子供らへ悪い影響を与える環境への批判の意味がある。
根っから悪いギャングは、だからこそグチャグチャにやられるわけです。

映画『アタック・ザ・ブロック』予告編 - YouTube