まちがいだらけのSEOテクニック

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photo by Obra Social Caja Mediterráneo

2014/3/20 山梨県甲州市 ぶどうの丘イベントホールにて
※講演会書き起こし風


(観客の拍手の中、スーツを着た細身の男性が、舞台上手より登壇)
(舞台中央に置かれた椅子に鞄を置き、客席に向けて一礼)

えー、本日はお集まりいただきましてありがとうございます
今回「まちがいだらけのSEO」と題し、これから少しお話をさせていただきたいと思っております。

SEOとはなにかご存知ですか?
どなたかに答えていただきましょうか…。
(右手で客席の方を指しつつ)
……えー、では、そこの、右の、メガネをかけた…そうです。
(客席男性が「グーグルで検索したときに上に出る方法?」と答える)
なるほど。

SEOとは、日本語では検索エンジン最適化、
英語で略さずに言えばサーチ・エンジン・オプティマイゼーションと言います。
検索エンジン…グーグルが有名ですが、キーワードを使いインターネットで検索を行った際に他のサイトよりも自分のサイトを上に表示させるために使う技術、それをSEOと言います。。
その方の言われた「グーグルで検索したときに上に出る方法」というのは間違いではありませんね。


さて、これをもう少し簡単にしてみましょう。

例えば、Aさんがとあるスニーカーを買ってブログに感想を書いたとします。
そのAさんのブログ記事には「スニーカーは履き心地がよかった」「サイズは他のメーカーのモノと比べると小さめだった」「ひと月ほど履いてみたが買って正解だった」などの情報が書かれていたとします。

次にそのスニーカーと同じモノを買いたいBさんがいるとします。
買う前に買っている人の感想を調べる、というのはよくありますよね。
Bさんは検索エンジンを使って「スニーカー」「履き心地」「サイズ感」などのキーワードで検索します。
するとAさんのブログが一番に表示されました。
Bさんの求める情報はスニーカーに関して買った人の感想ですし、Aさんのブログはそれにマッチしてますよね。
これがグーグルの考える健全な検索エンジンです。

ここへSEO大好きなアナタが登場します。
アナタはアフィリエイトを貼ったり、広告を貼ったりしてブログを作りました。
内容はスニーカーについての「いいかもしれませんね」「おススメです」という売り文句。

しかし検索エンジンで順位がよくありません。
アクセス数が低い、売り上げもよくない。
そこでSEOテクニックを駆使します。

再びスニーカーを買いたいBさんが登場します。
Bさんは検索エンジンを使って「スニーカー」「履き心地」「サイズ感」などのキーワードで検索します。
するとアナタのブログが、Aさんがスニーカーの感想を書いた記事より上に表示されました。
おめでとうございます。
最適化成功です。

しかしアナタのページにはBさんの求める情報はありません。
Bさんが求めているのは「スニーカー」「履き心地」「サイズ感」という誰かの感想ですよね。
ネットでスニーカーを買いたいわけじゃないんだけれどもSEOテクニックの結果、アナタのブログが表示されたわけです。
この場合アナタのページは、グーグルからすればスパムと呼ばれる検索順位をテクニックで狂わせる存在です。

正しい検索順位と言うのは検索した人間が求める情報と最もマッチした情報が上位に出るのが健全ですしそれを目指しています。
ユーザーもそれを望んでいますよね。
ところがSEOというテクニックを使うことでこれを変動させるわけです。


先日、ネットを見ていたら「SEOだけで生活する」と言ったようなタイトルのブログを見つけまして。
見てみますと
「今日は100ブログを作ったので明日もさらに100作るつもり」
などと書いてあるんですよ。
検索エンジンで引っかかるキーワードをちりばめ、それぞれのブログに広告を貼る。
そういうブログを大量に作るのが、この方にとっての「SEO」なんでしょう。
誰から見てもスパムですが胸を張って「スパムやってます」と言うひとが少ないのは面白いですね。
ネットには、気づかずにスパム行為を堂々と宣言してる方もよく見かけるんですがね。


ダイエットをしたい方は多いですよね。
会場には…(客席を見渡す仕草)…えー、いらっしゃいませんが(客席少し笑)
栄養のバランスを片寄らせずに食べる。
適度に運動をし代謝を上げる。
これをやれば体重は落ちるんですよね。
人間の身体と言うのはそういう風に出来ています。

食べるから太る、食べなければやせる。
運動すればやせる。運動しないから太る。

ところが「食べたいがやせたい」「運動したくないがやせたい」
そういう矛盾した、ワガママを叶えるためにダイエットの本はあるわけです。
効率的に、いかに運動しないで、いかにお腹いっぱい食べてやせるか。

「自分のページに価値はないがそれでもみんなにアクセスさせたい」
これにSEOを使うのはダイエットと考え方は似てますよね。
だからインターネットには「SEO教えます」というページが山ほどあるんですよ。
奥さんが山ほどダイエット本を買っても旦那さんは笑ってはいけません。
同じことをやってるんですから。


えー、さて……
(椅子に置いた鞄から何か取り出す)
こういう本があるんですが。

グーグル ネット覇者の真実
阪急コミュニケーションズ (2012-08-31)
売り上げランキング: 3,935
「グーグル ネット覇者の真実」という本で、グーグルと言う企業がどのように生まれ発展したかについて書いてありまして、とても面白い本ですよ。
客席に読まれている方、いらっしゃいますかね?
(客席でいくつか手が上がる)
……何名か、いらっしゃいますね。
もしSEOをやるのであれば一度読んでおくのもいいかもしれませんよ。
分厚いですが、かなり面白いです。

さて、この本の中から少し紹介したいと思います。
(手に持った本を開き読み始める)

グーグルがユーザーから支持された理由のひとつに、検索エンジンスパムを効果的に遮断してきたことがある。しかし、ネットユーザーの大多数がグーグルで検索を行い、アクセス数が一極集中するようになると、検索ランキングで上位に食い込めるキーワードさえ見つければ、数百万ドル規模のビジネスをウェブサイトで展開できる。サイトの運営者たちはグーグルのプロセスを分解し、そのメカニズムを分析することで、人工的にページランクを押し上げるための大量の時間とエネルギーとコンピューターの専門知識を駆使するようになっていた。
その工程はSEO検索エンジン最適化)と呼ばれた。
たとえば、あなたが泊まりたいホテルの名前を検索したとしよう。検索結果の最初のページには肝心のホテルのウェブサイトは登場せず、代わりにホテル予約を専門とする企業のサイトばかりがズラズラと表れたことはないだろうか。これこそがSEOの仕業であり、グーグルの実効性を確実に損なっている。
グーグルは、元々離れた場所にある情報を回線で結びつけ、同じプロトコルで通信し、情報と情報が繋がることで新たな情報になるという集合知、データベースのための索引として存在を始めました。
ハイパーリンクで繋がることで、一つの情報だけではありえない新たな角度や視点を持つようになるわけです。

キーワードを入力すれば、求める情報が手に入る。
ユーザーが求める情報にマッチしていればいるほどランキングで上位に表示される。
これがグーグルの求める健全な「検索ランキング」です。
しかし、この健全な「検索ランキング」に対して技術を使って順位を変えてしまおう、というのがSEOなんです。
覚えておいてくださいね。


ただSEOのすべてが悪いわけではありません。
みなさん全員が「スパムをやってるんだ!」と言っているわけではありませんよ。
誤解のないように。

本来なら上位に表示されるはずのページが検索エンジン最適化されていないから低く表示されてしまう。
あるいは表示されないということもあるんですね。
この場合、ページがランキングで中身に応じた順位に評価されるために「最適化」してあげる必要があるわけです。
最適化することで順当なものにしてあげる。
言わば情報の「健全化」ですね。


さて、みなさんが求めるSEOというものは「広告を貼って100個作る」スパムSEOでしょうか。
それとも「本来なら評価されるべきなのに順位が低いから上げる」健全なSEOでしょうか。
その区別は、とても簡単です。

自分がユーザーになって検索し、もし自分のブログが表示されたらどんな気持ちがしますか?
そのブログに自分の欲しい情報はありますか?
それとも見たくないスパムですか?

この公演ではスパムまがいのSEOに関しては、何も教えることはありません。
お話したいのは価値あるページをお持ちの方が知るべき検索エンジンへの最適化の知識です。
それはページの価値を上げることではありません。
元々ある価値を正当に評価させるための健全化の手順です。
中身の伴わないページのランキングを上げるテクニックを知りたい方はどこぞのメルマガなり、SEO教本を読みください。

えーと、お願いします……。
(舞台少し暗くなって、後方スクリーンにウェブページが映し出される)
ネット広告の訴求力をPV数ではなく注目度合いで決める「Attention Web」という考え方 - GIGAZINE
(客席に向かって)みなさん見えますかね?大丈夫ですか?
先日、このような記事がありました。
GIGAZINEと言うサイトにある記事ですが。
この記事は、これまでの「PVが多いページに広告を貼る」などのネット広告の常識が実際を伴っていないという指摘なんですね。
最近ではこのページで言われているように「ページの価値の向上」だと言われはじめています。
裏を返せばそれだけグーグルの検索エンジン技術が向上しごまかせなくなり、SEOをかじった素人によるスパムまがいの行為などが増えすぎた結果言い始めたんですけれどね、残念ながら。

この記事より一部引用しましょう。

「時は金なり」という格言の通り、時間というのは何もしなくても減っていく限られた資源なので、人はネット上にあるコンテンツで時間を消費するとしてもより良質な物にこそより多くの時間を割くはず。であれば、素晴らしいコンテンツを生み出しているサイトやサービスに人が集まることでそのサイト・サービスの価値が高まって訴求力の高い広告媒体となり、広告が集まることでサイトやサービスにお金が入ってさらに多くの優良コンテンツが登場することにつながっていくのではないか、とハイリCEOは述べています。
えー、当たり前の話ですね。
つまり元々グーグルの目指す「健全な検索ランキング」での評価を正当に目指そうじゃないか、ということを最近になって改めて認識してるわけです。
「中身が伴わないページをテクニックだけで上げる」
そういうやり方は古い、ということです。


ここからは、健全化をご希望の方にだけお話したいので一度休憩を挟んで…そうですね、15分後に始めたいと思います。
トイレに行かれる方はどうぞ。
それではまた。
(スーツの男性が客席に向けて一礼。観客の拍手の中、下手より退場)


※この記事はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません