出版社と書店と作家が憂鬱な電子書籍

ナナのリテラシー1

新宿なので紀伊國屋ブックファーストが近い。
欲しい本があったのでネットで調べてみようと思ったがブックファーストには店頭のBOOKNAVI端末で店内の在庫と棚の在処が判るようになっているが、オンラインになっていない。
新宿西口の書店ブックファースト新宿店|サービス
ブックファーストは、e-honで注文して店頭受け取りもできるがスパンがある。


紀伊國屋の方は、
紀伊國屋書店ウェブストア - 在庫を調べる
こんな感じで尊師の「なぜ僕は「炎上」を恐れないのか―年500万円稼ぐプロブロガーの仕事術」が紀伊國屋新宿南店の棚番:4F-06-04にある、とわかる。
これは便利。
欲しい本が決まってるならどこにあるのか判るのが一番いい。
検索結果から取り置きもできる。

「すいません、えーと、尊s...じゃなくてイケダハ○トさんの~」
と電話をかけて聞いたり店の人にも聞けるが、書名を口に出すことすらはばかられる本もあるし時間もそれなりにかかる。

こういう「客が店頭へ出向いて手に取りやすいシステム」を作って管理してるのも、さすが独自端末を作って売ってるだけのことはあるな*1と感じる。
棚と在庫の紐付けが意外と面倒だってのに。

電子書籍の値段は誰が決めるべきか?〜「電書再販論」に思うこと(前編) « マガジン航[kɔː]
電子書籍再販制度について。
再販制度と言うのは小売店ではなくメーカーが販売価格を決められるという制度のこと。
メーカーが販売価格を決めるとどの小売店でも同じ価格になるから競争が産まれない、というやつ。

まだこんなことをやってる。
そりゃあ電子書籍がダメなわけだ。


物理的な「モノ」ではないデジタルデータである電子書籍を販売する時には流通がいらない。
出版社には設備投資や資材など物理的な費用が掛からない(手前でやってるならサーバの維持費。スキャナー、新たな図版の構成や人材、ノウハウなどは別)。
しかし既得権益は守りたい、デジタルだがコピーされては困る、スキャンの手間や新たな端末への対応のノウハウや人材などに投資が必要になる。
電子書籍の割合が増えれば関わる人間が減るしリストラは避けられない(それは今だってそうだが)。
購入者は、端末があれば物理的スペースが必要ない(端末に左右されるということでもある)、店舗に出向かず在庫関係無しで24時間いつでも買える。
所有権がない、新刊が遅い、サービスがいつまで続くかわからないなど不満も多い。

とある出版社の電子書籍化を毎日観察してるんだが…やる気あんのか?
月に数冊ペースじゃ過去の既刊分なんて数百年かかるわ。


紀伊國屋の「店頭在庫の在処を客が直接オンラインで調べられる」システムは、書店として「ユーザーの利便性の向上」に一役をかってる。
ただ在庫がなければ店に来ない可能性だってある諸刃の剣(じゃあAmazonで…となるかも知れない)。
でもユーザーの利便性を考えればそれをやるのは正しい。
紙の本、電子書籍などさまざまな形態への購入に導線もできてる。


コンテンツは、誰のために存在するのか?

既得権益を守るためなのか。
出版業界で働く人々のためか。
作家のためか。
ユーザーのためなのか。

電子書籍を是非始めてくれと熱望した覚えもない。
なのに勝手に電子書籍を始めておいて勝手にいろいろ悪戦苦闘している。

「出版界の未来ガー」
しらねーわ。
それはユーザーには関係ない。
ラーメン屋の行列に並ぶのは美味いラーメンが食いたいからであって、ラーメン屋の未来や業界のことやバイトのシフトなんざ知らん。
再販制度なんてカビ臭いものを持ち出してやりたければやればいいが、ユーザーが離れれば終わりだって判ってるのかしら。

電子書籍がない?じゃあ代わりに本を…じゃなくてネットを読めばいいじゃない?
だって無料だもの。
飯は食わなきゃ死ぬが、本は読まなくても死なない。
電子書籍を武器にして、下がり続ける読書離れを食い止めなきゃならないのに、御すことも出来ない。武器どころか重しになってる。

電子書籍には可能性がある、ならその可能性を見せるのがまず先。
どれも、ただの紙をスキャンしたデータじゃねぇか。


書店は生き残りをかけて必死、出版社は既得権益を守りに必死、作家は不安。
作り手側は大概ため息。
一部の作家だけ個人で意気揚々。

で、ユーザーは呆れてる。


ハードカバー、ソフトカバー、文庫、新書。
そういう物理的な違いの中に「電子書籍」を含めて考えるのか、物理とは全くの別物として捉えるのか。
電子書籍に値段以外の付加価値を付けられるのか、それとも紙の本に付加価値を付けるのか。
売り方も流通も存在も違うものをどう扱うか。
なんだかそれすらもまだ定まってない、なのにやらされてる印象しか感じない。
「みんなやれって言うし、世間の流れだから始めたけどさー」

今までのパラダイム内で考えようとするからほころびしか出ない。

電子書籍をどうしたいのか、どうして行きたいのか、どうやりたいのか。
出てくる話がどれもこれも始めてみてから考えることなのかなぁ。
出版以外の企業で「去年始まった大プロジェクトをもう一度根本から…」なんて運び方してたら肩叩かれかねない。

ほんとこれからどうしたいんだろうね。
数年後には大量リストラ、出版社軒並み倒産、とか、ね。
\(^o^)/オワタ


音楽業界も似たようなものか……。
今週末は、読書三昧だけどな。

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*1:端末と関係ないけど姿勢として、ね。成功してるか否かは置いといて