Chromeの目指すChromeBookとユビキタス

※たまにはこーいうのも
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「グーグル ネット覇者の真実」でグーグルのブラウザ、クローム開発について書かれたパートにこんな場面がある。

自分の父親にネットブックをプレゼントしたピチャイ*1は、父親はいつもクロームを立ち上げるだけで、それ以外のアプリケーションはまったく開こうとしないことに気づいた。もはやクロームは単なる「アプリケーション」以上の存在であり、クラウドへの扉を開く万能の鍵である。ピチャイはそう考えるようになった。地球上で本当に重要なすべての事柄はクラウドで見つけることができる。
(中略)
「OSという言葉をなるべく使いたくなかったんだが、実際にはクロームのことを常にウェブアプリのためのOSだと考えていた」とライナスアプソンは言う。クロームの提供が開始されると、ピチャイのチームは文字どおり、それをOSと見なして改良を重ねていった。ネットブック(最終的にはその他のあらゆる種類のコンピュータにおいても)を買ってもウィンドウズOSもリナックスOSも搭載されておらず、クロームだけで完璧に機能させることが目標だった。

グーグル ネット覇者の真実

とても面白い。
この部分で、クロームを開発した初期のころから思想的には、単なるブラウザとして開発を行っているのではなく、ユビキタスクラウドコンピューティングを可能にするブラウザの外観をしたウェブOSが目指す先だったということを示している。
Ubuntuよりも手軽に誰でも使える。
デスクトップにあるのと同じ感覚でウェブ上のファイルにアクセスできて、バンドルのアプリ感覚でブラウザのアプリが使える。
そう言う環境。

日本発売が期待されるChromebookの可能性を探る

これに対して気になるのがWindowsの動向です。マイクロソフトは昨年末より米国においてグーグルに対するネガティブキャンペーンを強化しています。その一環として、Chromebookが“本物のノートPCではない”ことを印象付ける、米国の人気テレビ番組を模した動画を公開しています。
(中略)
 マイクロソフトの主張によれば、Chromebookは典型的な“安かろう悪かろう”のデバイスということになります。実際、WindowsのノートPCにWebブラウザーとしてのGoogle Chromeをインストールすれば、Chromebookと同等の機能を利用できてしまいます。さらにWindowsノートなら、Microsoft Officeや豊富なWindowsアプリケーション、周辺機器などをフルに活用できることは明らかです。
MacであればMacOSの上で動くアプリケーションで囲い込む。
iTunesで音楽ファイルを、SafariiPhoneiPadでデータを同期、iCloudで端末のデータを一括管理し繋ぎあわせる。

ロームの目指すところはどんな端末であれクロームを使えばすべて同じ環境で作業が行える完全なユビキタス環境。
だからChromeBookと言う端末の形態に結実する。
もちろん現状はセキュアの問題やウェブアプリの動作に難があったりするけれど、クロームの目指す先と言うのは間違いなくブラウザの枠を超えてウェブアプリを含めたユビキタスを提供するOSなんだろう。
マイクロソフトの言う「本物のノートPC」というモノでは確かに無い*2
ChromeBookが目指す先にあるのは「クロームをOSとして機能させることに特化した端末」であって、旧来的なノートPCと同じではないし低価格で「安かろう善かろうのノート端末」を開発しているわけではないのだろう。
ブラウザを使ってネットにアクセスしているのではなく、ユーザーにインターネットそのものを使っていると錯覚させるブラウザと、全ての環境がクラウド上にあるネット環境。
それが叶うなら端末ごとのアプリケーションの必要性は下がる。
Google とVMware が提携、Chromebook にWindowsアプリやデスクトップ環境を提供 - Engadget Japanese

グーグル ネット覇者の真実
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グーグル社内の研究者が1年後の課題に取り組んでいると、ラリー・ペイジにそれより10年後の課題に取り組めとハッパをかけられることがあった。あるいはSF小説にしか出てこないような問題に今から取り組んでもいいかもしれないと言われることもあった。
(中略)
誰が見てもばかばかしいほど時期尚早だと考えるような進んだ技術を開発すれば、もはや誰にも追いつかれる心配はないというのがペイジの考え方らしかった。

グーグル ネット覇者の真実

Google、“空飛ぶ風力発電機”のMakani Powerを買収 - ITmedia ニュース

Googleが謎の人工知能開発スタートアップ企業「DeepMind」を500億円で買収 - GIGAZINE

Google X、“気球式インターネット網”プロジェクト「Project Loon」を発表 - ITmedia ニュース

グーグルはさまざまな企業を買収し膨れ上がっているけれど、こういう発想の先にだからこそ人工知能や気球を使ったネットワーク構想も出てくる。
海の上でも砂漠のど真ん中でも。
どんな場所でもネットにアクセスできるのならGoogle利用者も増える。
以前に新城カズマ氏が「われら銀河をググるべきや―テキスト化される世界の読み方」の中で

S「うん。実際、米国や豪州でもこの手のサービスは始めてたらしいし、今回もインドの各種NPOと組んではいる。にしても、これはすごいなー……ちゃんとGoogle的には商売になってるんだから。前にもGGGその05とかで書いたように、Googleはネット上の表面積が拡大すればするほどビジネスチャンスが増える仕組みになってるわけで」

X「それだけじゃないぞ、これは。ソロスが東欧に対してやろうとしてた/やっていることを、Googleは全世界に対してやろうとしてるんだ」

S「というと?」

X「人類社会の民主化促進だよ。べつにソロスもGoogleも、慈善や博愛だけでやってるわけじゃない。考えてもみろ。Googleのサービスによって体系だった情報を得て、それをもとに真面目に投票する人口がどんどん増えてったら、その社会に何が起きる?」

S「……中産階級が成立して、経済が発展する?」

X「少なくとも貧困由来の社会不安やテロのリスクは減るわな。でもって、いつの時代であれ、経済と社会が安定した時にいちばん得をするのは……そう、商人だ。ソロスやGoogleのようなタイプの人間/組織だ」

S「うーむむむ……昔は『GMにとって良いことは米国にとっても良いことなのだ』という有名な言い回しがありましたけど、もはや『Googleにとって良いことは人類にとっても良いことなのだ』ですね。しかも、それがGM破産寸前の今になって」

X「まあな。あそうか、電気自動車の次にGoogleが大々的に投資するネタが分かったぜ」

M「え、なんですか?」

X「全人類規模での劇的な識字率向上だよ。なんつっても、スクリーン上の広告をクリックしてもらうためには、字が読めたほうが断然良いからな。(ふと腕を組んで)……待てよ、もしかすると……例のGoogleBookSearchってのも、実はそのほんの一部にすぎなくて……」

http://d.hatena.ne.jp/sinjowkazma/20090407/1239088848

経済的に豊かになり、識字率が向上すればネットにアクセスする人間も増える。
ネットの利用者が増える=グーグルの利益につながる。
インターネット上で拡大するグーグルのために現実を変えようとし、個人や会社のデスクトップやアプリケーションすらも全て取り込もうとしている。
インターネットの索引として始まったグーグルはいつしかインターネットそのものになろうとしているのかも知れない。


ChromeBookの国内販売を正式に始めないものかね。
とはいえ今年は、RetinaMBA買うつもりだけどさ(マカーだし)。

*1:Google上級副社長スンダル・ピチャイ

*2:でもOneDriveのようなクラウドコンピューティングを発表しといて、旧態然としたOfficeだのOutlook入ってないとダメとか言うのは、ダブスタ