“ラノベの神祖” 菊地秀行について

「あなたがライトノベルと思うものがライトノベルです。ただし、他人の賛同を得られるとは限りません。


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ラノベの定義はよくわからないが、まだ萌えやラノベという言葉が生まれていなかったころの少年向け小説といえば緑の背表紙の朝日ソノラマ文庫であり、夢枕獏菊地秀行だった。
ジュブナイルという棚に置かれていた「ラノベ的なもの」。
最近のラノベ語りからは外されやすい菊地秀行について軽く概要だけ。


菊地秀行は、1982年「魔界都市<新宿>」にて作家デビュー。
クトゥールー神話、B級ホラーに造詣が深い。
弟は、ジャズミュージシャン菊地成孔でエッセイにも登場する(映画など兄の影響をかなり受けてるらしい)。
菊地成孔氏は歌舞伎町に住んでるらしいが、兄弟そろって新宿好きなもんだ。
以下、氏の代表作。


吸血鬼ハンターD

吸血鬼ハンター5 夢なりし“D”
貴族(吸血鬼)の支配から人間が免れた遥か未来。
人間は、貴族が生み出した魔物と戦いながら細々と暮らしている。
力が衰えたとはいえ貴族の力は絶対。
そんな世界で貴族を狩る吸血鬼ハンターのDの活躍を描くアクションシリーズ。

初めて読んだのはいつだったか。
このころの天野画が素晴らしい。
確かこれをきっかけに菊池秀行作品を読み始めた。
B級映画のテイスト満載。
SFとジュブナイルの差は科学的考証の有無かも知れない。

吸血鬼ハンターD - YouTube

トレジャーハンター八頭大

トレジャー・ハンター八頭大 ファイルⅠ: 1
トレジャーハンターの一族 八頭大を主人公に宝探しの冒険譚を描くシリーズ。
画像は新版。
トレジャーハンターというとトゥームレイダーララ・クロフトを連想する人が多そうだけれど、八頭大はララ・クロフトよりジェームズボンドに近い。
最先端科学、あるいは地球外の技術を使ったガジェットを操り、遥か過去にエイリアンが残したお宝を巡ってアクションが繰り広げられる。
太宰ゆきは、峰不二子みたいな存在。

魔界都市<新宿>

魔界都市〈新宿〉完全版 (ソノラマノベルス)
新宿区のみを襲った巨大地震“魔震(デビルクウェイク)”により生まれた亀裂で外界から切り離された新宿を舞台に木刀“阿修羅”と“念法”を操る十六夜京也を主人公に描かれる。
これが菊池秀行のデビュー作。
超常能力を操る敵と主人公の戦い、テンプレートはすでに確立してる。

Demon City Shinjuku (Jap.) RU sub. - YouTube
アニメにもなってる。

魔界都市ブルース

魔界都市ブルース 妖婚宮 (ノン・ノベル 849 魔界都市ブルース)
魔界都市<新宿>で、チタンの糸を操り副業で人探し屋(本職はせんべい屋)をする秋せつらを主人公にするシリーズ。
これ以降、チタンの糸を武器にするキャラが漫画によく出てくるようになったっけ。
こちらはNONノベルなので、他のシリーズよりお色気度高し。
魔界医師メフィストを主人公にしたスピンオフなども多い。
菊池秀行らしい「残り数ページで広げまくった風呂敷を一気にたたむ」強引な手腕も味わえる。

妖神グルメ

妖神グルメ (The Cthulhu Mythos Files2)
菊池秀行版、クトゥルフ神話に連なる一譚。
実に菊池秀行っぽい読み口でアクションも満載。
クトゥルフファンでも納得できる小ネタも多い。
神を料理しようって言う発想がすげーですわ。

風の名はアムネジア

風の名はアムネジア (ソノラマ文庫 (260))
風が吹き人類が記憶や文明をすべて「忘れて」動物と化した未来。
脳の強化手術を受けていたため、人間であることを忘れなかった主人公ワタルが旅をするロードムービー
ジュブナイル、というかSFロードムービーのような読書感、充分読み応えあり。

こちらもアニメになってる。

その他

妖獣都市 スペシャル・エディション [DVD]
「妖獣都市」(アニメは川尻善昭監督)や「ブルーマン」「妖戦地帯」「淫蕩師(エロです、エロ)」などなどノンシリーズやミニシリーズも多数。
見ただけで惚けてしまう美形が登場しまくり、超能力、魔力、なんでもござれ。
今のラノベと比べれば、かわいい少女よりも毛がふっさふさの妙齢のお姐さまとか股間を濡らして出まくるけれども(で触手が飛び出る、みたいな)、山田風太郎的で荒唐無稽でバラエティに富んだエンターテイメント冒険活劇小説という意味で菊池秀行はラノベの源流にいるよなーと思うのだけれど(ジュブナイルを遡るとコナン・ドイルなどにも行ってしまうな)。
古本屋あたりだと安く手に入るのでお勧め(とくに初期のトレジャーハンターとかDとか秋せつらの短編とか)。
60歳越えて現役で新作出しまくってるのもすごいし、既刊数が異様に多い。
邪神艦隊 (The Cthulhu Mythos Files)