あざなえる管理人講演「“ブログで飯を食う”に感じる違和感」

証明が暗めの舞台の上。
中央に置かれた講演台の上MBA
そのデスクトップが舞台後方のスクリーンに映し出されている。



THA BLUE HERB - Road to the Underground ...
会場にTHA BLUE HERBが流れる。
舞台袖からグレンチェックのスーツを着た細身の男が登壇、MBAの傍に置かれたマイクを手に取る。

挨拶

えー、「はてなブロガーズ・ミーティング」に来られた皆さん。
はじめまして。はてなブログにて「あざなえるなわのごとし」というブログをやっている管理人です。

(ヤジと共に何かが投げ込まれる)

……あ!物は投げないでください。
えーと、騒ぐと周囲の迷惑になりますからね。

(客席からヤジっていた金髪の若者が警備員に連れ出される)

……はい。えー。
某ブロガーさんですね。
ネットで炎上はいいですけど現実で騒ぐとあーなりますね。

さて本日講演依頼を受けまして、こうやって登壇したんですけれども。
みなさん知らないとは思うんですがね、ウチのブログ。

講演依頼も執筆依頼も、いつでも受けるんですが、いただいたこと無かったんですよ。
BLOGOSも声掛けられたこと無いですからね、えぇ。
ガジェット通信さんくらいですよ、ほんと。

(客席の一部 笑)

今回、講演のお話いただきまして始めてお話しするんですが。
そこそこお金を頂けるんですね、こういう講演って。
知りませんでした。

ブログで儲けるということ

MBAを操作し某ブログをスクリーンに映す)

これとかですね。
そんなに大それた有名ブログでもなく凡百のそこらへんに転がってるブログの管理人が「ボクは仕事辞めてブログで食べていくことにしました」とか書いてるんですけれど(最近騒いでるあの嫁云々のひとじゃないですよ)ブログからの収入は低くて儲けは講演会でしゃべったりSEOとかね、それでお金をもらったりするそうなんですね、この人に言わせると。
読みながらいろいろと疑問符が並びましたねー、これは。

「どこにでもあるようなブログしかやってない」
「知名度もない、金銭的に成功してない」

そんなひとに話を聞いて何の役に立つんですかね。
さんざ弱小プロブロガーの苦労を語った挙句、ではどうしたかが記事になくて。

(ブログの記事を下にスクロールさせていく)

……代わりに最後「メルマガ定期購読への案内」がありまして。
(客席 笑)
これがオチかよ、と。
実際がどうなんだか、よく解りませんけどね。

大体、この手のブログの寒々しさはなかなかのものでして。
関西人的には「お前何さまやねん」というツッコミを入れずにはいられないわけですが。

うさんくさいブログってのはどこにでもありますね。
日にいくつも見かけます。

成功と方法論と

たとえば講演会をやると聞いて、大企業の社長が
「経営戦略」「現在の会社規模になるまでの話」
をするなら、そりゃあ聞きたいね、説得力あるね、って思います。

大手ブロガーってのは成功した大手企業みたいなものですね。
どんなやり口かは別として、それで大きな規模にしたわけですから。
ノウハウとか経験値の蓄積もそれなりにあるでしょうからね。

でも名前も聞いたこともない見たこともないような、どこかのよくわからないブログ主が偉そうに出てきて「ブログで収入を得る秘訣はですねー」なんてやってる話を真面目に聞ける方々はどう考えてるんですかね。

社員が入社一年で「ウチの会社というのは~」と会社と経営について登壇して厚顔無恥に偉そうな雰囲気を漂わせて語るようなものなんですけどね。
誰が語ってるのかわかってんのか?と。
わざわざ金払って参加して、聞いてる方々がすごいと思うんですよね。

村上春樹が、作品や執筆について語るならそりゃあ満員御礼でしょうけれどもね。
新人賞とったこともない、某ノベルス辺りから一冊佳作を出してる作家が「執筆の秘訣は~」って語ってるのを聞きたい、ってんですから、いやほんと下には下がいるものですね。
まず、そういう需要があることに驚きますが。
結局、世の中はハッタリっていうことですかね。

……皆さんが感じてる、私への疑問はもちろんスルーですよ。

(客席 笑)

ハッタリと看板

MBAを操作し別の某ブログをスクリーンに映す。管理人のプロフィール欄を拡大)

えー、とあるブログのブロガーです。
こんな風にですね。
「○○万PVブロガー ○○○○」とかね。
名乗ってるのが寒いですね。

作家が自分で「○○万冊突破のベストセラー作家」なんて自分で書いてたら寒いでしょう?
「観客動員○○万人の記録を樹立した名監督」って自分で書かないでしょう笑

でもね、ブロガーのマニュアル本には「自分をブランド化しよう」って項目があるわけです。

「オレは○○万PVのブログをやってるんだから、すごいんだ!偉いんだ!」
「メジャーなブログなんだ、ということでそれが本当になる」

そういう説得力を持たせたいわけです。
ネットの上はハッタリが効きますからね。
だからそういうバカなプロフィールに誰もツッコまない疑問を持たない。
あぁ、そんなんだ、すごいなー、へー、ぼくもそうなりたいなー。

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ネットは言葉の世界ですから。
言ったもん勝ち、看板を掲げたもの勝ちです。
「オレってすごいんだ」と延々言い続ければ何となく叶ってしまうのがネットですから。
別に独自性なんてなくても、ありがちであれ人と違うことをやってれば、それを持ち上げる人間が現れて、それなりのコミュニティを形成してしまう。

別に面白い必要もありませんからね。
キャッキャウフフで持ち上げられてるブロガーって大概面白くないですよね。
……えー、これもブーメランはスルーです。

100人に1人

舞台に立って何かができるわけでもなくて能力がなくてもいい。
ただネットで何かを書いてそれに「面白い」と思う読者が一人でも現れればいいんですよ。
99人がブーイングをつきつけて、1人が面白いという。
だったら200人には2人面白いと思うひとがいる。
1,000人なら10人いるわけです。
10,000人なら100人ですよ。100,000人なら1,000人。
1000人に支持されれば立派な勢力ですから。
でも999,000人にはブーイングなんですけどね。
だからバカでもできるし、才能がなくたっていいわけです。

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炎上商法を支えてるのは、実はこの「100人の中の1人」なんですよね。
燃えてるだけじゃいつか消えるだけです。
だからこそ燃えて名前が知られてるうちに仲間、信者を増やすわけです。
「みんなが批判しても支持する支持者」
これはとても強いわけです。

(某ブログ記事の炎上してるブコメ欄を表示させる)

えー、一例ですが。
これを見ていただくと解りますけど、ほとんどが批判的なコメントです。
中身がアホですから燃えてるんですが……このように
「勉強になった」
「確かにその通りだしこれをこうやって書けるのはすばらしい」

こういう勘違いコメントが、ブックマーク数百の中にいくつか混ざるんです。
これが先ほど言った「100人の中の1人」ですね。

独自性だとかね、文才とか、クリエイティビティなんてね。
そんなのないブログでも有名なの山ほどあるじゃないですか。
どっかからゲームだのの攻略情報とか引っ張ってきてそれを貼り付けてるとか。
海外の面白ニュースとか個人ブログの画像とか動画を貼り付けてるだけで、別にそれってそのブログでなければ得られない情報でも何でもないんだけれども
「PV数=金=正しさ」
というパラダイムに生きてる彼らはなんであれPVが貰えるならいいんです。
「PV=戦闘力=権威」
ですからね。
クリエイティブの欠片もないですけどね、えぇ。

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100万PVの面白ニュースブロガー

どっかのネタをコピーしてまとめて、それをTwitterで広げた薄っぺらい関係性にばらまくとバズるんですね。
まとめサイトだと叩かれますけど海外の面白ニュースとか無許可でコピペしても海外には伝わってないですからね、セーフなんですかね?あれ。
よく見かけますけどね。
キチンとしたところは許可も取ってるでしょうけど。
「面白ニュースってお前が面白いわけじゃねーよ」っていうね、えぇ。

薄っぺらいハッタリと心のない関係性。
それらが機能するのがネットのセカイなんです。
そして金を稼ぎ、その上手く行った方法論を語る。
方法論を真似するすより、SEOとかノウハウを語る方が金になる。

カリスマだのなんだの言っても情報商材ですから。
ネズミ講みたいなピラミッド構造が見えますね。

そんなパラダイムはいやですけど、それを支えるバカが多くいるんだから仕方ない。
やり口があざとくても、汚くても稼いだもん勝ちですから。

まぁ、ブログにフェアプレイだとか正しさなんてありません。

情報商材とピラミッド

ただ「不労所得を得たいよー、お小遣いが欲しいよー」というお父さん方とか、年金暮らしで時間が余ってるオッサンとか主婦とかニートとか学生とか、そういう人らがブログで稼げると聞いてそういう「やりくちなんかどうでもいいからネットで金を稼ぐ方法」のひとつとしてブログを選択する。
自己啓発の近くに置いてあった「ブログで飯が食える」とか提唱しちゃってる本をたまたま読んで、自分もできると勘違いしちゃったサラリーマンとかね。
SEOとかブログ初心者向け記事を読んでそのままやっちゃうような……見かけますよね笑

そりゃあブログなんて誰だってできますよ。
コンテンツの品質やオリジナリティを問わないのであれば。

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ネットでこれほど自己啓発とか情報商材が蔓延するとは思ってなかったですね。
確かにカモを探すには一番いい場所なんですね。

そういうひとらが、ブログで儲けるピラミッドの最下辺に参加するわけです。
あの手の「ブログで飯が食える」「SEOを攻略して儲ける」本が与えた「ネットの情報品質の低下」に対する害は大きいです。
ああ言うことを叫ぶ人らには、スパム掃除をやっていただきたいくらいですがね。

(某有名ブログ。ブログで稼ぐことを語っている記事を表示)

こういうひとらがそれを提唱する。
自分は上手く行った、食えるぞ、ブログやろうぜ!みたいな。

読みたいブログと稼ぎたいブロガーと

そうするとブログに対して品質とかコンテンツとしての面白さを求めてる「読者」からすれば、あぁいう
「自分が食うためにやってるブログ」
「金を稼ぎたいからやってるブログ」
「ともかくPVがあればいいとしか思ってないブログ」
「PVを単なるアフィリエイトの単位としか思ってないブログ」

は読んで非常にムカつくわけです。
そういうブログを読みたいなんて思ってない。

あれは読まれるために書かれているのではなく「読まれて稼ぐため」に書いてる。
読まれるのは稼ぐためですからね、えぇ。
だからPV数が大事だし、PV数こそがマンセーなわけです。

書き手と読み手、そもそもの求めてるものと価値観が違う。
読み手の求めてるものがそこにない。

「○○はこう思った」
「面白いと思ったら拡散お願いします」

あれって誰が考えたテンプレートなんですかね笑

お前がどう思おうと知ったこっちゃねーわ、と。
拡散拡散うるせーわ。やりたきゃ勝手にやるわい、と。

ブログにはね、日記としてやっている人、自分のクリエイティビティを存分に発揮して独自性を出す人、いろいろといるわけです。
ただ軸として「金」「承認欲求」などそれぞれに異なるし、読んでいるとその記事の裏に、そのブログが
「何を軸にしているか」
がわかる。
解るからムカつかれる、そっとタブを閉じられる。

ただ同じ軸を持ってる人間が支える。
ブログで稼ぐピラミッドは無数の人間が支えてるんですよ。
ピラミッドの外の読者からすれば
「こいつバカなの?死ぬの?」
「お前はオレらを数としか見てない。金稼ぐことしかないのか?」

と燃やす対象にだってなるわけですがね。
関係ないですから。

その手のブログに限って「読者のみなさんは~」とか言いたがるのが面白いですけどね。
あれもマニュアルに書いてあります。

まぁ、その程度のひとはすぐに消えますけどね。
今のネットの「儲けられるブログの方法論」って今のブログだから成し得ていることであって、じゃあこれから先もずっといけるか?というとどうですかね。
読み手からすれば、ブログなんてなくても生きていけるし、読まなくても困りませんけどね。

まとめ

最近、ブログで稼ぐことを語ってる人も多く見かけるんですけどね。
勝手にすりゃあいいんですが、なんてのか、薄いんですよ、いろいろと笑
その辺が、なんかこの人らにとってのコンテンツとかPVとか個性って何なんだろうなーって思うわけです。
読み手としては「ブログで食う!」なんて「○○を退社しました」くらい興味ないんですけどね。
同じブロガーとしても興味ないです、えぇ。
同じ?……いや、同じじゃないんですね、多分。

(ブログ「あざなえるなわのごとし」を表示)

ただ誤解しないでいただきたいのはブログで稼ぐことは否定してないんですよ。
ウチにしろお小遣いはもらえてますからね。
とても生きてはいけないですが、電子書籍くらいは買えていますから。
でもだからってそれを叫ぶのは違うよなー、という。

ディズニーランドは夢の国。
夢をお客さんに与えてその対価を受け取ってる。
もしブログが独自のコンテンツで「面白い」と感じてもらいたいなら、その裏にある「稼ぐためのテクニック」「ブログで飯を食う」なんて言い始めるのはいかがなものか、と。
ディズニーランドに行ったら門のところに
「今月の来場者数」
「総売り上げ」
「園内での購買率」

なんて表示してあったら一瞬で夢から覚めますけどね。
ヨザーみたいに「秒速で億を稼ぐ」というのと変わらないハッタリなんで……。

(舞台袖から何か言われる)

……えー。
次の講師の方が、お待ちのようなのでこの辺で切り上げたいと思います。
次は「個人系ニュースブログの現在」ですよ。
面白そうですね。
最近、人狼ばっかりやってるみたいですが笑
アイコンとの違いに驚かないでくださいね。

それではまたどこかでお会いしましょう。

(拍手の中、講師一礼。舞台袖に消える。代わりに司会者登場)

えー、次は「個人系ニュースブログの現在」につきまして。
講師は、まなm
カリスマニュースサイト管理人が15年続けたシンプルな情報収集術 (impress QuickBooks)