アイドルとロック、アシッドハウスとメタルと歌謡曲

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Youtube貼り付け多め
 
※この記事は
スタダ アイドル全体視点「ロックンロール→アイドル」
チームしゃちほこ「マッドチェスターの幻影 ~いいくらし~」
ももクロ「ネームバリューとその方向 ~サブカルと歌謡曲回帰~」

の3部に別れているので好きなところからどうぞ

ロックンロール→アイドル

スターダストプロモーションから、アイドル ももクロを出したのだけれど、ノウハウもなく、だからこそ周囲が考えない斜め方向の無茶なことが出来た、という背景はよくわかる。
守るべき歴史や伝統はない。

ももクロの成功で解ったのは「正統派のアイドル路線ではないサブカルやロック層の掘り起こし」
マニアックでニッチな方向に舵を切って
「かわいさやポップさではなく、複雑な楽曲で歌うB級感のある“アイドル”」
にも需要があると解った。

そういうももクロで得たノウハウを、後ろに続くアイドルグループに適用する(ジャニーズ方式ともいう)。
だからこそスタダのアイドルのトラックに独自性がある。


本来であればアイドルの曲は、アイドルの「歌声」を聴かせることを主眼としていて(楽曲全部を聴かせるようにはあまり出来ていない)背景のトラックはシンプルに出来てる。

ももクロでは楽曲に力を入れ、しかも甘いポップな音ではなく、たとえば2ndシングル「ピンキージョーンズ」ではAsianDubFoundationを思わせるジャングルが使われていたり

私立恵比寿中学「大人はわかってくれない」ではSoftballを思わせるせつない系パンクサウンドを鳴らしてる。

こういうアイドル→ロックのサウンド嗜好と言うのは、従来のポップで甘い歌謡曲などに慣れ親しんだアイドルファンからすれば未知の音であって今までにない感じがし、しかも従来のロックファンからすれば今まで聴いていた音をロックバンドではなくアイドルの曲で聴くことになるわけで、これも新しい音になる。

ロックが停滞し新しいものを模索できないまま過去を振り返り回帰し続ける中で、アイドルを仕掛けるスタダの大人たちが新しい音に挑戦する。
だからこそ面白いし、今盛り上がっているのだと思う。

そして次にチームしゃちほこが新曲を発表した。


マッドチェスターの幻影 ~いいくらし~


スタダがももクロエビ中に次いで今推しているチームしゃちほこの新曲「いいくらし」

ざっと聴けば長いディスコサウンドでも、聴く人にはど真ん中の音。


「いいくらし」ではアシッドハウスであることを前面に出している。
ナタリー - [Power Push] チームしゃちほこ「いいくらし」特集 (1/4)

咲良 そもそもアシッドハウスってなんなんですか?

吉田 1980年代後半にアメリカのシカゴで流行ってた、ディスコの延長みたいな……。

大黒 流行ってたんですか?

吉田 流行ってたんだよ。あのビヨビヨビヨビヨ鳴ってるのが(笑)。「いいくらし」もけったいに聞こえるかもしれないけど、当時のアシッドハウスはもっとヘン。これは歌モノとして一応Cマイナーというキーがあるし、ラップが入ったりする展開があるじゃない。当時のアシッドハウスにはキーも展開もなくて、ウニョウニョしたものを10分以上聴かされるの。それに雷の音がゴローン!とか(笑)

しゃちほこのメンバーが知らないのは当然として、アシッドハウスが流行したのは八十年代半ば。
その流れがイビザ島を経てセカンドサマーオブラブ、マッドチェスターと言う英国のグル―ヴ踊念仏の徒花に繋がる。


「いいくらし」を聴くと、アシッドハウスの定番シーケンサー(名機)TB-303のチャカポコと打ちこみにちょっとユルめのボーカルが乗っかる。

これを聴いて「うわ、歌下手だな」と感じるのは自然として、今の技術上手い歌なんて撮り直せるし直せるのに、それを行わない意図を考えれば連想するのはマッドチェスターに君臨したショーン・ウィリアム・ライダーを連想する(あの辺は基本、みんなヘタだけど特に)。

ハピマンことHappy Mondaysはvoのショーン・ライダーを中心としたロックバンド。
だらだらと下手なショーンの歌とユルユルと踊る元・麻薬の売人ベズ(ピエール瀧的な謎の立ち位置)、そして打ち込みにピコピコしたサウンドでグル―ヴとソウル・ファンク感をミックスした音を鳴らしてた。

そしてラップパートに入る前のTB-303独演&ディスコサウンドでお馴染み「LetsGo!」のサンプリング(この間奏かなりいい◎)。
ラップパートは、まるで吉幾三「俺ら東京さ行くだ」
そして4:20周辺の小室サウンド、ユーロビートを思わせる音。

6分の長いひとつの楽曲の中にアシッドハウス、マッドチェスターにラップ、ユーロビートなディスコサウンドと小室サウンド、そして吉幾三で綿々と続くこのカオスな80年代半ば~90年代の音を、2014年の今のアイドルに歌わせる、というのだからスタダの運営は頭がおかしいし、だから面白い。

そしてこれだけ方向性が詰まっているから長いのに飽きない。

※卓球がタモリTB-303を紹介している動画


ネームバリューとその方向 ~サブカルと歌謡曲回帰~


ももクロの「猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」」でマーティ・フリードマンがギターを弾いているのは有名だけれど、今度はイングウェイ・マルムスティーンが同曲を演奏するバージョンを発売すると言うニュースが今日流れてた。
ナタリー - ももクロ「猛烈宇宙交響曲」イングヴェイ参加Ver.配信へ
しかもB面には、NOISIAがリミックスした「LOST CHILD」も収録されるのだそうで、多分ゴリゴリのドラムンベースに仕上がっているんだろう。

イングウェイといえばメタル界のビッグネームだけれど、もともとももクロの楽曲にはNARASAKICOALTAR OF THE DEEPERS、特撮)や大槻ケンヂ、和嶋慎治(人間椅子)、ROLLYすかんち)や海外からイアン・パートン(ザ・ゴー!チーム)やダミアン・クーラッシュ(オッケー・ゴー)が作曲を担当していたりとロックリスナーには馴染みの面々が顔を揃えている。

さっきなんだけれどその話を某氏としていたところ

―――ももクロの曲をイングウェイが演奏るって! 
某氏「ふーん、すごいの?」
―――すごいよ。イングウェイといえば王者と呼ばれるくらい……
某氏「へぇ、でもこの前の中島みゆきの方がすごいんじゃない?」

……一般的にはこういう感じだよなーと思っていたんだけれど、最近のももクロの動きを見ると、
広瀬香美アルフィー高見沢、南こうせつ、そして中島みゆきなど、ロック好きよりもいわゆる「芸能界で名前が広く知られた」歌謡曲やポップサウンド寄りの(布袋寅泰にしろ鳴らす音はロックだけれど芸能人としての知名度が高い)名前が並び、しかも音も歌謡曲に回帰している。

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この辺りの流れは2ndアルバム「5th dimension」後で起きていて、「5th dimension」と言うアルバムがドラムンベースなどの打ち込みやラップなどかなり尖った音作りをした結果
ももクロ好きだけど音がロックすぎるよね」
「音が複雑すぎて方向性がわかんない」

といったモノノフの声に「サブカルやロックもいいけど歌謡曲もね」と言うアイドル・ポップス・歌謡曲としての王道サウンドを模索する流れに見えなくもない。

新曲「泣いてもいいんだよ」は中島みゆき作、しかも編曲にこれまた中島みゆきでお馴染み(他に徳永英明吉田拓郎など)瀬尾一三が担当していて、だから少し懐かしい歌謡曲な音に仕上がりとても聞きやすく、サブカルでロックな人間には物足りなく出来ている(とはいえカップリング曲「堂々平和宣言」のゴリゴリのラップ曲がサブカル層にグッと来るわけですが)。
ももクロ?」と言うひとにも「中島みゆきが作った」と言えばアピールになるし、サブカルロックに受け入れられる条件はすでに充分満たしてる。


そして今度はイングウェイ。


この辺はOZZFEST参加やベビメタの成功など見てのメタラーへの何かしらの布石の感じがして(正面から行っても、モノノフが溢れてもはやアウェイにならないと言うのは解ったので)面白い。

いいくらし<全国盤>