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”マトリョーシカ的日常”流書評作成術を試してみる

書評を100記事以上書いてきたので、そろそろ書き方を公開する。 - マトリョーシカ的日常
ウチは読書記事を100も書いてない、ノウハウもないので参考にしてみよう。

要約、引用、あなたが言いたい事、関連。書評はこの四つの要素を満たせばいい。その本には何が書かれているか、印象に残ったフレーズ、あなたは何を言いたいか、関連した話という風に文章を展開していくのだ。

 要約は僕が書評を書く上で一番苦手な箇所だ。教養本でも小説でも、筆者の文章を自分の言葉に変換する作業は疲れる。はじめから完璧に書こうと意識しないほうがいい。教養本なら「これは○○について書かれた本です」、小説なら「これは誰々が○○をした話です」と一文で言い切ってしまうのもありだ。

(中略)


 引用文から言いたい事をひねりだそう。「面白かった」「感動した」では全く伝わらない。例えば「『君主論』が言う理想的なリーダー像はフリーザだ」という感じで。言いたい事は決まってしまえばあとはつらつらと筆を進めるだけだ。自分の話にもっていこう。

 自分語りをしよう。読者は書評に一般論を期待しない。「あなたがどう感じたか」を知りたいのだ。

 そういうわけで、関連は「言いたい事」に関する自分の話を書くといい。また、今まで読んだ本に共通項が見つかればそれを抜き出してもいい。参考文献を重ねていくと、記事が立体的になり信頼性がぐっと高まる。


何かを切り捨てて「生きる」と言うこと 小川一水「フリーランチの時代」 - あざなえるなわのごとし
ちょうど今日書いた読書感想文がある。
大して出来もよくない感想文なので、これを改変してみよう。

まずマトリョーシカ的日常さんの言うポイントは、
・要約
・引用
・あなたが言いたい事
・関連

「フリーランチの時代」は短編集でテーマは「生きる」ということか。

元記事では「フリーランチ→革新→捨てるもの」について書いた。これは短編「千歳の坂も」の印象が強い。
もし表題作や「Live me Me」なら「フリーランチ→革新→人が人として成立する要件」と言う切り口にもなる。

つまり自分が自分であるために必要なのは何か?と言うこと。
自分が自分として生きる、その際に何が必要で何を選び何を捨てるのか。
まー、こんなめんどくさいことを書けば読まれない。


マトリョーシカ的日常さんにはなかったがこの
「読まれるために書くか、書きたいから書くか」
によって書き方は大きく変わる。
後者であればネタバレも気にしなくていい。難しくても構わない。
しかし前者であれば読ませ方やネタバレ、あるいは読ませる手管なども必要になる。

ここでは「書評のノウハウ大公開」だから前者だろう、と推定する。
ポイントに従うと、
・要約:生きることをテーマにしたSF短編
・引用:

「生きる?それとも死ぬ?」
「……生きたい」
「いいえ、希望を訊いてるんじゃないの。選ぶの。生きる?死ぬ?」
「生きるわ」

小川一水「フリーランチの時代」

・あなたが言いたい事:生きるとは何なのか
・関連:時砂の王

とりま芯はこんな感じ。
で、ここから組み立てる、と。


フリーランチの時代
小川一水「フリーランチの時代」は5つの短編からなる短編集。

どれも今より未来だったり、あるいは進んだ技術が登場する。
今でない時代、ここでない場所、ここには無い技術。
さまざまな世界が描かれる。
どの短編もそこに人間が生き、そして生きるために何かを選ぶ。
生きるために必要なモノは果たしてなんだろう。

表題作「フリーランチの時代」では近未来の火星が舞台。
地球外生命体と接触した人類はフリーランチ…食べなくても生きられる体を手に入れる。

「Live me Me」には事故にあい脳だけが生きた状態で新たに機械の身体を得る女性が描かれる。
機械の身体を動かし機械を通して世界を見る。それでも彼女は「生きて」いるか。
そして自分とは一体なにか。

「Slowlife in Starship」では宇宙が舞台。
宇宙船の閉鎖空間にいれば食べることに困らず生きられる世界。働くのは趣味でしかない。
産まれ、何も困らず生活をして、そんな世界で生きるとはなにか。

「千歳の坂も」では不老不死を実現できる技術が広まり、国から不老不死であることを強いられる。
死ぬ権利は奪われ、自殺は禁じられる。死ねない世界での死ぬ権利とは何か。
その世界で生きることの意味は何か。

「生きる?それとも死ぬ?」
「……生きたい」
「いいえ、希望を訊いてるんじゃないの。選ぶの。生きる?死ぬ?」
「生きるわ」

小川一水「フリーランチの時代」

飛浩隆「廃園の天使」には、人間相当のAIが登場する。

グラン・ヴァカンス 廃園の天使Ⅰグラン・ヴァカンス 廃園の天使Ⅰ
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自ら思考し行動する。ただAIらは「仮想リゾート数値海岸」で生き続ける。
死はない。
あるのはプログラムとして破棄されるだけ、データとしての死。

人間は生きている。
当たり前のように自身を自身であると認識し、ここにいると考え疑問を持たない。
Cogito ergo sumは盤石。
しかし自分が自分であることに必要な条件は多くない。

人間が人間であるための部品が決して少なくないように、
自分が自分である為には、驚くほど多くのものが必要なのよ。

他人を隔てる為の顔、それと意識しない声、目覚めの時に見つめる手、
幼かった時の記憶、未来の予感、それだけじゃないわ。

あたしの電脳がアクセス出来る膨大な情報やネットの広がり、
それら全てがあたしの一部であり、あたしという意識そのものを生み出し、

そして同時にあたしをある限界に制約し続ける。

GhostInTheShell 攻殻機動隊

「生きる」のか「生きている」のか「生かされている」のか「生きなければならない」のか。
単に産まれただ死なないだけの死ぬまでのヒマつぶしを「生」と呼ぶのか。
「フリーランチの時代」で描かれるさまざまなかたちの生きる姿には、そんな自分の「生きていること」そのものを改めて考えさせる力があるように感じる。

童子(わらべ)の時は語ることも童子のごとく、思うことも童子の如く、論ずることも童子の如くなりしが、人と成りては童子のことを棄てたり。
今我ら、鏡もて見るごとく、見るところ朧なり

コリント人への第一の手紙 第13章



固い。
いや、これ読まないな、うん、読まないわ。
もっと軽く書かないとダメね(途中飽きた)。
しかもブレてる。
いつも要素が多くなっちゃうんですよねー。
ひとの方法論は難しい。


フリーランチの時代
本当だかウソだか知りませんが「フリーランチ」ってのがアメリカであったそうで、ビールとか酒を注文するとランチがタダで食べれる。
そこで注文してタダのランチを食うんだけど味付けが辛い。辛いからさらに酒を注文するので店が潤う。
「フリーランチ」ってのはそんなうまい話はない、っていう意味もあるんだそうでしてだからノーフリーランチと言われる。

ところが見返りを求めない「フリーランチ」がもしあったら?というのがこの短編集『フリーランチの時代』なんですね。
今までの時代が「ノーフリーランチ」 タダめしなんてない
そしてここで描かれる時代は「フリーランチ」 タダめし食い放題

火星人のおかげで飯も食わなくていい、死なない身体になった未来の話(フリーランチの時代)に始まり、事故にあった女性が機械の身体で生きる様子を描き(Live me Me)、宇宙に進出した人類は人に会わず宇宙船に引きこもってれば生きられるようになってて(Slowlife in Starship)、不老不死が国で推奨されたもんだから死なせない役人と死にたい老婆のラットレースが始まる(千歳の坂も)。

ずーっと死なない、死ねない世界では死にたくなるし、生涯働かなくても生きられるなら働きたくなる。
人間ってのは、ない物ねだりでアマノジャクなもので。

「生きる?それとも死ぬ?」
「……生きたい」
「いいえ、希望を訊いてるんじゃないの。選ぶの。生きる?死ぬ?」
「生きるわ」

小川一水「フリーランチの時代」

一度産まれたら死ぬまで食って食って食って食って生きるわけで、それがある日「食わなくていい」「死なない」となれば、生きるために行ってたかなりの部分が必要なくなるわけだけど、じゃあ死なないし食わなくていいなら食わないかと言えば味覚のために食うのかね。
それはもう子供を作らないのにセックスの快楽だけを得たい、ってのと同じですね。

不老不死はいいけど、死なないなら一人じゃなくて誰かと一緒がいいねぇ。
否リアで非モテで不老不死で生き続けるなんて何の拷問ですかそれは。

……おや、誰か来たよu


マトリョーシカ的日常”式書評作成術は難しいねー。
もともと材料挙げて書いて行くタイプでもないからなー(だからダメなんだが)。
ま、のほほんとやってみます(小並感)。