負ケルトワカッテ、ナゼ戦ウ 映画「立候補」

映画「立候補」 [DVD]

2011年11月。橋下徹が仕掛けた40年ぶりの大阪府知事市長W選挙。大阪は橋下維新か?反橋下か?まっ二つに割れ、
沸いていた。そこに現れた場違いな泡沫候補たち。スマイル党総裁「マック赤坂」、二度目の府知事選「高橋先生」、
7歳の娘をもつ61歳「中村パパ」。なぜ彼らは300万円の供託金を支払ってまでして、敗北必至の選挙に立候補するのか?
伝説の政見放送外山恒一」、泡沫の最高峰「羽柴秀吉」も外野参戦。この映画は、歴史に残ることのない、
存在を消し去られた敗者の記録である。


泡沫候補、と呼ばれる人々がいる。
日本スマイル党総裁 マック赤坂羽柴誠三秀吉などなど。

2011年大阪府知事選挙。
背景に大きな政治団体を持たず支援を受けず孤立無援で戦う。
候補者は皆同じ300万円の供託金を払いながらも、それぞれに扱いが違うし泡沫は泡沫。
マックのように音楽を流しゲリラ的にパフォーマンスを行い、あるいは街角に一人立って挨拶して回る。
そして街頭演説など一切せず出馬だけしている岸田修(劇中は顔にボカシが入る)。
選挙に当選するのが「目的」ではなく、選挙という「手段が目的」になっている候補者。
もちろん当選はない。



この映画はマック赤坂を中心とした選挙活動のドキュメントだけれど、マック赤坂に直接なにも聞かない。
職安で仕事を探していて給料が良かったからという理由で運転手兼秘書になった人に話は聞いても、マックには出馬の真意も勝てるかどうかもなにも聞かない。

───マックさんは今、本当に幸せですか?
「……幸せだよ。幸せに決まってるだろ。愚問だな。愚問だよ、それは」

窓の外を見ながら、吐き捨てるように言った。
───でも僕にはときどき、マックさんが、すごくさびしそうに見えます。
「……お前は根本的に間違っている。幸せというのは、主観的なんだよ。俺が幸せだと言えば、幸せなんだ。自己暗示と言ってもいい。……そりゃ俺にだって、悩みや苦しみはあるよ。悔しくて、夜も眠れないこともしょっちゅうだ。だけど、孤独だということは、自由だということだ。コインの裏と表のように。俺は孤独を食って、力に変える。お前がどれだけ『戸並は不幸だ!』と叫んでも、無駄だよ。意味がない」

───だったら、マックさんは、誰かと幸せを共有することはできるんですか?
「本当に好きなやつとは……いや、共有したいという気持ちなんかないよ、究極的に言えば。人間最後はひとりで生きて、ひとりで死ぬ。所詮は、自分ひとりなんだ。人生は孤独だ」

戸並誠はなぜマック赤坂となり選挙に出て落選を繰り返したのか3 - エキレビ!(4/5)

落選してもまた出馬しまた落選する。

選挙演説。
自民党公認候補の演説会場。
アウェイの中「マック帰れ!」とののしられる。
支援者らは高々と日の丸を掲げ、マックを睨みつけ自分たちの応援している候補者に拍手を送る。
異様な光景。


そんな中、周囲のヤジに対してマック赤坂の息子がキレる。
息子は、劇中インタビューでも父親の政治活動に対してよくは思っていないと答えていたが、実際に演説の現場で周囲からヤジられ怒鳴られ邪魔扱いされ何百人の群衆からマックに浴びせられる冷たい目線に「息子」としての顔を見せる。
「(父親は)独りで戦ってんのや!」
と叫ぶ息子の声は、大勢のヤジにかき消される。


元総理、現役総理が応援に駆け付け、そういう候補者は当選する。
そして誰も応援しないマック赤坂はやはり落選する。
ではマックはどうやれば当選できるのか。

パフォーマンスをやめて政策だけで勝てるか。
ミカン箱に一人乗ってスーツ姿で演説しても多分勝てない。
政策で選ぶ、とよく言うがその政策が上手く行っているなら今頃世の中はもっと良くなってる。
選挙の時だけの「政策」「理念」「人柄」
誠実さ、なんてわからないのに。

※2007年時点で充分これですが……。
マックが、色ものでなかったとしても選挙で勝つには「後ろ盾」が必要。
幾ら誠実でも、理念があっても後ろ盾がなければ勝てない。
それが今の民主主義、選挙。


マック赤坂なんてあんな不真面目なやつが選挙に出るなんておかしいだろ」という声も解る。
しかし、日の丸ひるがえし迷彩上下着た連中に支援され、SPが周囲を囲む候補者が正常だと言うのもおかしい。
民衆の代表である人物を選び「国、地方の政治を良くするために」代表を選ぶはずの選挙が、一方ではパフォーマンスや名誉や、あるいは何やら宗教や、思想や、大人の事情で黒々としたものが蠢き金が動いてる。

最後に

マック赤坂に一票を入れる、と言うのは勝てない候補に一票を投じると言うことで、それは「あのパフォーマンスに対しての投げ銭」だけではなく「今の政治に対してノーと言いたいから」一票を投じると言う意味を持っているように感じる。
あるいは「当選するのがマックだとしてもなにも変わらない」と思ったのかもしれない。

マック赤坂に一票を入れる、その数万票には意味がある。

色々とイタい映画だった。
マック赤坂のスレスレの狂気と淋しさが見える。
かなりおススメ。
面白かったし、とても切ない。


ところで出馬だけして一切選挙活動を行わず、映画の取材に対しても顔にボカシを入れろ警察呼ぶぞ、と言っていた岸田修が29,487票。
この29,487票は何なんだろう。

この放送に賛同したのかしらね。