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タイムライン戦線未だ陥落せず

ツイッターってこじらせやすいよな、と思ったので書いた創作
1.
水の代わりに言葉が流れるツイッターのタイムラインは、もし川で例えるなら、どぶ川。

目の前に相手がいると立場や関係性があって、それなりに気を遣い言わないことがあったりもするが、ネットの回線を通じて繋がる赤の他人や有象無象には好き放題言えるらしく、言っても実害がないから打ち込む言葉がとげとげしくなり、そういうエゴで川面がドロドロと濁っていく。







年齢性別住んでいる場所も関係なくほぼタイムラグなしで繋がってしまう魔法の大河。
ガンジス川だってドロドロだものな。

2.
そんな中、目立つツイートが流れている。
とあるアカウントがいて、そのアカウントはそれほど際立ったツイートをするわけではないが、RTする(拡散)ものは、とても秀逸できらりと光っている。

つまりセンスがいい。

自分で何かを言うよりも、石みたいに価値のないツイートが無数に流れるTLから宝石のようなひとつのツイートを見つけ出すセンス。
Aをフォローして随分経つが自分のツイートがRTされたことはない。
Aに認められたことが一度もない。

フォロワーの数も、Aは数万人にフォローされているが、オレは数十人しかいないし、ほとんどがスパム業者だか、フォローしようかとTLを見に行っても「この化粧水を使ってからお肌のトラブルはさよなら!気になる人はここ→goo.gle/……」短縮アドレスが続いているツイートが並んでいて、がっかりして放置するか、ブロックするかどちらかで、遂には「毎日エロ美少女♡」なんて言うエロ画像専門アカウントにフォローされ、エロいツイートなんかした覚えもないのだけれど、さてどうしたものかとTLを見てみると拾い(つまり遺法で)まくったあはーんうっふーんな女性のエロ画像が並んでいるのを見てさすがにこれはヤバいと軽めに股間をさっと触れて。
あーいうアカウントは引っ掛かる人がいるから存在するのか、それとも引っ掛かりそうだから存在するのか、前者ならがっかりだし後者なら読みが甘いと言えるし、とはいえまぁ前者なんだろう、と思いつつとりあえずブロックしておく。
露骨にスパムだし。
一応そういう感じでリテラシーは高いぞ、というアピールは必要だろう。
せっかくフォローしにきたときにフォロワーを見て
「え?「毎日エロ美少女♡」と相互フォローww(兵庫県Fさん35歳)」
「うわ「毎日エロ美少女♡」だって。オッサン最悪(東京都Kさん23歳)」
そう受け取られても困るからな、うん。

3.
Aなんだけれど、まったくRTされないので好みの傾向を考えて、リアルタイムにアクセスしていそうな時間を狙ってツイートを流すがやっぱりRTされない。
とはいえ「ねぇ、RTしてよ」と言うのもおかしな話で下手すりゃあブロックされる。

たとえばある日、堀北真希に似た雰囲気のある小顔の花屋の店員さんに恋をしたとして、もし、気になるなら、とりあえず花を買いに行って、とりあえずブーケとか、そこから話しかけて何とかお近づきになろう、とかそんなマンガもあったし、そういう手も使えるだろうが、ツイッターでフォローしあっている関係性でしかなく、その相手に近づくも何も近づいたからってRTしてもらえるわけじゃなし、直接的な手段が何もなくてとても難しい。

そもそもAは同姓で、多分ツイートやアイコンからしてオッサンだと思うので(美少女の二次元アイコンだが)、そういう淡い恋心みたいな比喩は美化しすぎだが、だからといって例えば、銭湯に通っているとして、脱衣場でトランクスではなくなぜかふんどし姿の彼がすごく気になるので、お近づきになるのに自分もふんどしを締めて、そのふんどし良いですねどこのですか?オレのはですね……なんて聞いてお近づきに、などと言うのも方向性がまた違うし、さすがにそれはクラクラしてくるし想像するのもちょっと勘違いされそうで避けたい。
連続でツイートしてもなんだか気持ち悪いやつみたいだし、学生なんかが「Yo!」「ほかてら」「っっっ」みたいに息をするような意味のないツイートをしているのもそれはそれで何か違う感じがするし、だからと言ってわざわざ社会問題についての意見を連続でツイートしてオレって賢いんだぜイケてるんだぜオレってすごいぜと飾るのもそれはそれで虚しいしそれが虚しいと思わない人間にしかできない芸当だろうし、それはやりたいことでも何でもない。

4.
多分、RTされなくても何一つ困らない。

RTされることに意味なんかないのは解っているし、とはいえ他の誰かにRTされてもときめかないが、そのAにRTされればときめくだろうというのは想像ができるし、大事なことなので二度言うがこれは恋ではなくて、もっとアグレッシブな、そう、闘いと言うか、矜持と言うか、以前見かけた承認欲求とか言う言葉がそれっぽい雰囲気なので多分それだろう。
なので今日もまた今っぽい話題を独自の見解でいい感じの視点でツイートをするんだが、やっぱり全くもって一切構ってもらえない。

5.
しかもお盆のせいかあまりツイートが流れない。
ひとがいない。
流れないからいつまでも自分のスベった感じのツイートがいつまでもそこにある。
いい感じに言ってるはずなのに、ファボも、RTもされず、ずーーーーーーっとそこにある。
つまり上手く言えてない。

何も狙っていないツイートはなんとも思わないが、狙いに行って外したツイートほど恥ずかしいものはない。
狙いに行ったどころか置きに行ってんじゃね?
あるいは前にも見たわ―とか、

「人気ツイッタラー目指してるのかもしれないけど、上手いこと言おうとしてスベるのって超恥ずい」

とか言うツイートが流れてきて、え?これってオレ?オレのこと?
いや、え?オレ?
いやいやいやいや。ちがうよな……オレ??
もう狙ったツイートもしちゃだめっすか?だってこれが限界ですよ?
こんなもんですよ、オレのセンスなんてさぁ。
人気ツイッタラーめざしてないって、ほんとほんと。

6.
だからやっぱセンスなんだよ、センスっっ。
上手く言おうとするんじゃなく、自然に上手く言っちゃうんだよ。
意識しないままで自然と無意識に脳に浮かんだそれとない言葉をさらっと書いてみるとあれよあれよと言う間に広まっていっちゃう。
溢れちゃうから、言葉で、そういうのがさ。
だから自然と人気が出るんだろうなぁ。
「あれ?今のツイート上手かった?」
「え?めっちゃRTされてる?ファボられてるけど、全然そんなの意識してなかったよーマジで?」
「うわーフォロワーもめっちゃ増えたわ―。でも全然面白いことなんてツイートできないよー?」
「ホントにいいの?んじゃあフォロー返ししようかなーw」


あ、フォロワー減った。

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