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読者への挑戦状 長江秀和「出版禁止」

出版禁止

社会の暗部を暴き続ける、カリスマ・ドキュメンタリー作家の「心中事件」。相手は、有名女優の妻ではなく、不倫中の女だった。そして、女だけが生き残る。本当は、誰かに殺されたのではないか?「心中」の一部始終を記録したビデオが存在する。不穏な噂があったが、女は一切の取材に応じなかった。7年が経った。ひとりのルポライターが彼女のインタビューに成功し、記事を書き上げる。月刊誌での掲載予告。タイトルは「カミュの刺客」。しかし、そのルポは封印された―。いったい、なぜ?伝説のカルト番組「放送禁止」創造者が書いた小説。

深夜のフジテレビには実験枠があって、かなりトリッキーな企画やドラマをやってる。







カードゲーム「ヌメロン」「カルコロン」や「人狼~嘘つきは誰だ?~」、ゴールデン昇格した「逃走中」。
そして不定期にとある部屋に仕掛けられた隠し撮りの映像が流れ、最後に驚愕の展開があるフェイク・ドキュメント「eveのすべて

1/15 by eveのすべて - YouTube


そして「放送禁止」
「放送禁止」も「eveのすべて」と同じドキュメンタリー風のドラマ。

「放送禁止」シリーズ予告篇集 - YouTube
一見通常のドキュメンタリーと見せつつ、そこに見切れていることやセリフの端々に裏に隠された暗部が見えるという二重構造になっていて、隠された部分が見えた瞬間、それまで見ていたドキュメンタリーの見過ごしていた部分によってすべてが変化し、全身鳥肌が立つような感覚を覚える。
先日、劇場版も公開されましたが。


そんな「放送禁止」のディレクター 長江秀和の元に、とあるルポライターが書いたと言う心中事件に関する取材原稿が届く。
とある事情でお蔵入りになったその原稿に書かれていたのは……。


昨日本屋で購入し、一気に読んで今朝読了。
なかなか面白かった。
特にミステリ読み、「読者への挑戦状」が好きな諸氏向き。
ひとの描き方だの心理描写だの言い出すといろいろあるでしょうが、パズラーとして読むほうがいいかと。


どこまでネタバレになるかわからないけれど、今のところ真相が解ってないので(笑)感想を書いてみると、構造としては、

出版禁止と言う本>カミュの刺客(取材原稿)

という作中作、二重構造になってる。
ルポライターが心中事件の生き残りである女性にインタビューを行う。
脳内でのキャストは、壇蜜桜井幸子と言った風のちょっと影がある感じがちょうどいい。
関係者に話を聞くうちに記者は心中事件自体について疑問を抱き始め……。

トリックがあるとすれば取材の記事原稿部分。
錯誤があるとすれば地の文での錯誤誘導……叙述トリック
書き方なぞに、気にしながら読んで行って、ひとつは気づいた。
この仕掛けに関しては某有名な海外ミステリ作品で使われた過去がある。

とはいえ、そこは後半でネタバレしてる。
なのでこの本としては種明かしがあって、一旦は終わっている。


そこではない、最後まで明かされない謎と言うのがさらに残っていて、それが見えないから読み終わっても何か引っ掛かったままで終わる。
そう言う感想文もネットに上がっていたけど、それは第一段階で……。
草稿部分の冒頭に「ルポを読み返していて~」と作中のルポライターが自分の原稿のとある部分について語る。
それが真相への鍵。

んー?どこだ???
......読み返してみても、んー???
「放送禁止」でもトリックがわかった瞬間、世界が溶解するように、この作品でもそう言う構造があるのだろうけれど....ヒントは出されてるのだけれども……わかはしくれなり。

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