病んだ国の病んだヒーロー「スーパー!」

スーパー! スペシャル・エディション [Blu-ray]

冴えない夫フランクは、セクシーでイカれたドラッグディーラーを追って彼の元を去った妻を取り戻すために、クリムゾンボルトに変身!
お手製のコスチュームを身に纏い、エッチでクレイジーな相棒ボルティーと共に危険地帯の犯罪に立ち向かう。
すべては愛する妻のため。でも世の中、思い通りにはいかないもの。想定外のエンディングに向け、クリムゾンボルトは猛ダッシュ!
やっぱり男はつらいよ…。遠い昔に定められた不変の掟。子どもに猥褻な行為はしない。列に割り込んだり車に傷をつけたりしない。もし掟を破ればクリムゾンボルトが許しません!!!

アメリカは、スーパーヒーローものを実写化することが多くて、最近の有名どころでは「キック・アス」や「ダークナイト」にしろそうなんだけれども、基本ヒーローと言うのは人を殺さない。
殺してしまうとその時点でヒーロー自体が悪になってしまう。
基本的にスーパーヒーローが行うのは法に基づかない超越的な自称”正義”による「私刑」であって、だから警察にも追われる。
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で、この「スーパー!」では冴えない中年がある日神の啓示を受けて(神の声はミュージシャン・監督のロブ・ゾンビ)元ジャンキーの妻を取り返すべくスーパーヒーローの扮装をして街へ出て悪党の頭をレンチで殴る。
何だかいろいろとヤバい。
「神の啓示を受けて」って辺りは旧作だと処刑人のブチ切れた一家が確か神の名の元に悪党を殺しまくってたが、こちらも「神が言うんだから正しい」と言うことでレンチで殴りまくる。
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この映画って神、麻薬、犯罪、暴力嗜好の若者、セックス、コミックなどなど、いわゆる近代アメリカ的文化のごった煮で、相棒ボルティ役のエレン・ペイジのブチ切れっぷりは
「アニメやコミックでこんな暴力的な若者になるんですよ」
と遠回しに言われてると感じるくらい感覚がおかしい。
アメリカって病んでる。




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主人公の妻役に、リヴ・タイラー(見事に生活に疲れてる感)。
悪役には、あのケヴィン・ベーコンにマイケル・ルーカー(ウォーキング・デッドのメルル・ディクソン)と配役の妙。

この映画って基本的に悪のケヴィン・ベーコンらは確かに悪いんだけども(ある日突然リヴ・タイラーを麻薬漬けにして連れ去る)、主人公の屈折した暴力性とキレ方が斜め方向におかしいので感情移入の仕方がよくわからない。
「アンブレイカブル」の主人公の「ヒーローの必殺技はチョークスリーパー」ってのもすごかったが、レンチで殴るのが標準で、最後は爆薬を作りウルヴァリンばりの鉤爪を付けて乗り込み悪を斬り裂き爆殺する展開は、爽快と言うよりも「イッてるなー」とか「ヤバいなー」とか。
わざとグロ描写多め(ゲロだの頭吹き飛んだりなどなど)。


殺人に対する禁忌感が薄いヒーローごっこへのニヒリズムな現実。
病める国アメリカに正義の味方なんて、ブチ切れた変態イカレ野郎しかいません、と言うことで。

Super - Official Trailer [HD] - YouTube