グルグル回る復讐の渦 「復讐者に憐れみを」

復讐者に憐れみを デラックス版 [DVD]

パク・チャヌク監督による“復讐三部作”の第1弾となる、『オールド・ボーイ』の原点とも言うべきバイオレンスアクション。ソン・ガンホ、シン・ハギュン、ペ・ドゥナという錚々たるキャストを迎え、3人の男女が織り成す壮絶な復讐劇を描き出す。R-18作品。

パク・チャヌクの復讐三部作と言うとハリウッドでもリメイクされた「オールドボーイ」「親切なクムジャさん」
そしてこの「復讐者に憐みを」

この作品だけなぜかあまりスポットを浴びておらず、動画配信にもない。
のでDVDレンタルした。


面白いのに動画配信にないのもよくわかった。
ここから結構ネタバレ。




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『復讐者に憐れみを』 日本予告篇 - YouTube

尾を食らいあう蛇

リュ(シン・ハギュン)は、姉の手術代を稼ぐため、首になった会社の社長の娘を誘拐することを企てる。
社長パク(ソン・ガンホ)は金を用意。受渡は成功するが、誘拐事件を知ったリュの姉は自殺。
リュは、絶望の中、姉の死体を埋める。
が、最中、社長の娘が溺れて死んでしまう。

無残な娘の死体。
パクは、娘の誘拐犯への復讐を決意する。

ソン・ガンホの復讐は、明確に幼い娘の敵として。
ハギュンの復讐はまず自分の腎臓と手術代を騙し取った連中へと向けられる。
もともと騙し取られていなければ誘拐を行うことも無かった。
そしてそんな中、ハギュンを手助けした恋人の(実際、当時付き合ってたらしいが)ペ・ドゥナがソン・ガンホの手で殺され、ハギュンの復讐はソン・ガンホへ向けられる。

復讐は何も産まない。
死んだ人間も生き返らない。
復讐だけがグルグルと回り続け、死体は増え続け、無為な殺意だけが増え続ける。
復讐が終わっても何一つ残らない。
何もかも失ったソン・ガンホが最終的に復讐の渦の中で、さらなる復讐によって破滅するのもむべなるかな。
尾を食らいあう蛇は最後にお互いを食らい無になる。

死体の意味は

金属バットで殴り頸動脈を刺しアキレス腱を斬るようなガッツリと山のような残酷描写。
水に浮かぶ子供の死体。警察によって解体されメスで切られ電ノコで開胸され、棺桶に入れられ焼かれる。
ペ・ドゥナの耳に電極付けて通電させる拷問シーン(失禁してピクピク震えるのは電気マッサージ機を使ってたらしいが)などなどそりゃあ動画配信に乗せるのも躊躇う血まみれの仕上がり。
面白くないわけではないのにもったいない。
特に子供の死体に関しての徹底した描写(棺桶の中で焼かれるところまで)描く扱いは執拗な意志を感じる。
死んでしまえばその死体はモノでしかない。
ソン・ガンホの目の前に死んだ子供が現れてもそれは彼の中の幻影。

バラバラにしてゴミ袋に突っ込んだ死体や頭を潰されたモノ。
この作品での雑で無残な死体の扱いや描写は、生きている人間にとっての死人と、物理的な死体とを描いて見せてる。


パク・チャヌク監督 初期の傑作の一編。