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西尾維新 初の電子書籍「掟上今日子の備忘録」

電子書籍 ミステリ 読書

掟上今日子の備忘録

掟上今日子――またの名を、忘却探偵。すべてを一日で忘れてしまう彼女は、事件を(ほぼ)即日解決!あらゆる事件に巻き込まれ、常に犯人として疑われてしまう不遇の青年・隠館厄介(かくしだてやくすけ)は今日も叫ぶ。「探偵を呼ばせてください――!!」スピーディーな展開と、忘却の儚さ。果たして今日子さんは、事件の概要を忘れてしまう前に解決することができるのか?

久々に、と言うか珍しく西尾維新が正面から「探偵小説」を書いた作品。
とはいえ西尾維新なので当然のごとく普通の探偵ではない。

しかも西尾維新作品初のKindle版対応/初・電子書籍と言うことで(原作などは除く)、14日に書店でフラゲできるのにスルーし、あえて15日に電子書籍版でダウンロードしてみました。

Kindle端末だと白黒(モノクロ)なのは仕方ないところか。
iPadなら表紙もカラーになるはず。
f:id:paradisecircus69:20141015101941j:plain
とはいえ、こういうVOFANの綺麗なイラストの装丁で、本の裏まで見れないのは何か勿体ない感じがしなくもない。
一枚絵を表から裏にかけて使ってるようなカバーの場合特に。




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※以下、特にトリックのネタバレは無いが全体の構成に関してはバレあり


掟上今日子は、一日分の記憶しか保てない探偵。
寝てしまうとそれまでの記憶が無くなる。
やっぱり普通の探偵じゃない。

映画「メメント」で主人公ガイ・ピアースが体中に入れ墨をしたりしてましたが、あれと同じく、掟上さんも体にマジックでいろいろ書いてる。

「メメント」予告編 - YouTube
(ちなみにメメントでは記憶が10分しか持たない)
左手に
「私は掟上今日子。25歳。置手紙探偵事務所所長。白髪。眼鏡。記憶が一日にごとにリセットされる」
と書いてあり表紙絵にもその書き込みが見える。
寝て全て忘れるたび、それを見て自分が何者か気付く。

語り手(ワトソン役)は、行く先々で厄介事に巻き込まれる体質を持つ隠館厄介。
ただ日常生活を送っているだけで事件に巻き込まれ、犯人扱いされ探偵を呼ぶ。
一応作中では「いろいろな探偵を呼ぶ」らしいのだけれど、この本ではもちろん掟上今日子だけ。
掟上さん、かわいいので惹かれてるらしいが一日しか記憶が持たないひとと恋愛は難しそう……。


短編集で各章題は、

  1. 初めまして、今日子さん
  2. 紹介します、今日子さん
  3. お暇ですか、今日子さん
  4. 失礼します、今日子さん
  5. さようなら、今日子さん


の五編。
後半は連作風なので短編+中編と言った感じ。

なにぶん、寝てしまうとデータがリセットされてしまう探偵だけに連続殺人事件などは起こらず失せもの探しが中心になる。
ポー「盗まれた手紙」「黄金虫」の趣向。

朝起きてから寝るまでの数時間が勝負ですから。
前日までの証拠集めだとか推理だとかそういう蓄積が出来ない。
美容の天敵なので出来るだけ徹夜や夜更かしはしたくないそうですし。


「初めまして、今日子さん」では、研究所から無くなったデータの入ったSDカードの在処。
「紹介します、今日子さん」では、盗まれた百万円の代わりに一億円要求される謎の脅迫電話。
などなどあるが、どれも各話に登場する脇のキャラクターについて深く描かれることはなく、トリックや謎を描いてそれを解決する部分と掟上という一度寝るとすべてリセットされてしまう探偵という特殊性を際立たせることに注力されている。
その辺りがトリックの出来云々で語れない部分でもあり、キャラが立つ西尾維新らしいミステリと言ったところ。
森博嗣のミステリもそうですが、

トリック < キャラクター

まだ紹介編と言った感じなので、続きも有りそうな雰囲気。
掟上さんが記憶を失い探偵になった経緯や黒幕、過去にどういう人物だったのか、などこれから続くのかもしれない。
とはいえ「魔法少女りすか」も終わってないし「悲報伝」の~伝シリーズも順調に長引いてる。
また新しいシリーズ……。
新本格魔法少女りすか (講談社ノベルズ)
もし掟上の長編が出るなら殺人事件かも知れない。
扱うのが連続殺人、となれば寝るわけにもいかないだろうし

「徹夜で殺人事件に挑む!寝るな掟上!睡魔と犯人に負けるな!」

こんな感じか。
面白そうなので是非期待したいところ。


ようやく西尾維新作品の中で一作だけ電子書籍になって、同時発売の零崎人識は全て文庫のみ。
今回「掟上」だけが書き下ろしの独立した作品だったので、なのでしょうけども。

いち読者的には、是非電子書籍化を進めていただきたいな、と。
西尾維新は分厚い作品も多いので、ね(特に「~伝」は)。

【関連過去記事】
西尾維新「悲痛伝」を読み終わった - あざなえるなわのごとし
西尾維新「悲惨伝」を読み終わった - あざなえるなわのごとし
西尾維新「悲報伝」を読み終わった - あざなえるなわのごとし
西尾維新「非業伝」を読み終わった - あざなえるなわのごとし

零崎人識の人間関係 零崎双識との関係 (講談社文庫)