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ヨルタモリの正しい鑑賞法


迷走?「ヨルタモリ」にガッカリする理由 | 日本人が知らないテレビ学 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
まだ二回目の新番組(しかも初回だけで書いてるエッセイ)で「迷走」とか言っちゃう程度の記事を載せてる東洋経済こそ迷走だと思うんですが。




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風化

先日、相棒を見てたら松尾貴史がホームレス役で出てた。
お、キッチュだ、と思って観てたけど最近のひとはなぜキッチュなのかも知らないし朝生のモノマネも知らない。

松尾貴史 ものまね 朝までナメてれば - YouTube

他にも中村有志だってテレビチャンピオンのひととしか思われてない。
竹中直人も俳優と思われてる。

田口浩正なんかもそうでしょう。

パントマイム-風船 - YouTube


笑いながら怒る人 - YouTube


テンション 1992年 - YouTube

この前、ビートたけしは知ってるけど、ビートきよしは知らないって人もいた。
つまりツービートを知らない。

タモリは、もともと夜の顔。
「音楽は世界だ」「今夜は最高!」
インテリジェンスがありつつも、そこにベタとかゲスい笑いも出来る。
夜のサブカル的なにおいの強いひとをお昼の顔に起用したから当時は画期的だったし「タモリ倶楽部」でニッチな企画をやってる方がタモリというひとの本質に近しい。

夜のタモリ

初回からゲストが能町&大友良英。

大友良英氏と言えばあまちゃんで広く知られつつ「題名のない音楽会」でノイズ趣味を披露して周囲がどん引きという基本サブカル寄りな存在。

題名のない音楽会 大友良英 - YouTube
能町は、クボみねヒャダで深夜レギュラー。
”ヨルタモリ”ロゴのタモリの似顔絵も久保ミツロウが書いてる。
演出も、クボみねヒャダと同じ木月洋介が担当。


世間的なお昼の顔の”タモリ”と能町&久保にとっての”夜のタモリ”って微妙に違っている。
今回のヨルタモリは圧倒的に後者。
同じ夜でもタモリ倶楽部ではゲストと企画に軸足があるのに対し、ヨルタモリはタモリというコメディアンに軸足がある。

二回目のゲストなんて井上陽水なのにトークは数分しかないサブ。
メインは、タモリのリップスライム従えた「中国語風ラップ」と放送大学の教授。

能町が主張するわけでもなく、スタジオパートでは宮沢りえが和服のママを演じ、とはいえメインは常連客のタモリと流れるVTR。
大学教授のパロディネタも放送大学で見かけるようなテンプレートで


この和歌をパロって見せた。

教授は最初は声がすごく小さくて大丈夫かおい、って声量なのに下ネタに入り始めると声のトーンと声量がでかくなるってところも細かい演出で、あーいうそれっぽいものをやると本当に上手い。
初回もなんちゃってフラメンコを披露してたけれども、あの辺の芸って最近では年に一度の「徹子の部屋」でしかやらない。

タモリさん 博多うどんを外国語で解説 - YouTube

サブカルなコメディアン”タモリ”

ヨルタモリってタモリという「コメディアン」への回帰番組。

司会ではない、コメディアンタモリのお家芸を観る番組。
タモリ
でなければスタジオパートのタモリもタモリ自身で良いのに(タモリがよく来るバーで井上陽水と語ると言う設定でいい)なぜか大阪のエセ関西弁の社長役で登場してる。
あれも何度かに一度キャラが変わっていきそうな気がするし(博多弁の不動産屋のおやじとか)、大枠としてあそこもコントパートになっていて、その中に小パートのVTRパートがある、と言う構造になってる。


しかもコントのVTRが流れるたびにタモリが退出する。
本来収録だから出ていかなくたっていいんだけど、あそこで出ていくことで生放送感が出る。
早着替えしてコントやってますよ、風。
スタジオパートがダラダラしててもそのまま流す。

生のコメディ・バラエティ番組って昔は多かったんだけど、今はガッツリ作り込んだワイドショーくらい。
いいとも!は珍しい生のバラエティだった。
そして夜に、生じゃないけど生っぽい演出で番組をやって見せてる。

・昼の生→夜の生
・司会→コメディアン

昼タモリじゃなく夜のタモリである。
「タモリの〇〇」じゃない。
夜のタモリの芸を見る番組だからこそ「ヨルタモリ」
まんま。

ところが、「ヨルタモリ」は、タモリさんのトークショーではなく、「徹子の部屋」ならぬ「りえのバー」。宮沢りえさんを中心とするトークショーだったのです
迷走?「ヨルタモリ」にガッカリする理由 | 日本人が知らないテレビ学 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

なーんも観れてない。
もしタモリ司会のトークショーなら店主は宮沢りえじゃなくてタモリでいい。
東洋経済のエッセイストが想定するようなのだと、こんな感じ。

・タモリが経営しているバーに夜ごと訪れるゲスト、そこで繰り広げられる軽快なトーク

これだったらゲストのトークを引き出してそれっぽい番組が出来る。
タモリの司会はもはや名人芸。
でも、これだったら長尺のテレフォンショッキングでしかない。


そうじゃなく、あえて宮沢りえという司会慣れしていないひとを狂言回しに据えて、レギュラーもこれまた回さない能町。
ゲストはさまざま来るが特にメインと言うことでもなく扱われる。

司会として回さない、コメディアンとしてのタモリが登場する。こちらがメイン。
脚本がしっかりあってやるわけじゃなくセミドキュメンタリーでタモリと演者に任せつつ、あとは作り込んだタモリのコントパートが流れる。
得意の音ネタと、あとコントがもう一つ。

スタジオパートだってウレロみたくがっつり作り込んだコントにしてもよかった。
でも、あえて何もないことにして、その分コントVTRに意識が向かうようにしてある。
回せない司会者だから、それなりにタモリが暴走してそれなりに収める。
タモリは回せる司会者なら好き放題暴走も(太田光的な)出来るけど、そこまではやらない。

能町も、宮沢りえもタモリを鑑賞する観客としての役割。
ダウンタウンのガキの使いで七変化って企画がありますが、アレで言えばタモリ七変化と捉えると役割が解りやすい。
ただこのバランスは初回のうちで徐々に崩れていくでしょうが。

なにせ現状誰もスタジオを回せてないw
あのグダりも夜っぽくて面白いと思うんだがなぁ。

原点回帰

島田紳助が以前に、いつか司会じゃなくて竜介と漫才をしたい、と発言してて、でも紳助は引退し、竜介は亡くなってしまった。

タモリも司会ではなく、誰かに司会を任せてコメディアンとして出演する番組をやりたかったんだろうし、久保みねヒャダのスタッフであればその辺も当然ながら考えて単なるトークショーではなく、トーク出来る余地もありつつ、しかし独りコントもがっつり観れる

「いろんなタモリを味わうタモリ鑑賞番組」

それを目指したのがヨルタモリだったんではないかな、と思うんですがね。
賛否両論でも、マス向けじゃなく、ニッチでギークなタモリっ子層が喜ぶような。
そういう番組なんだと思いますけどね。
もうゴールデンで視聴率ガー!っていう番組をやるのはしんどいんだろう。

なのでタモリのコメディアンとしての側面を観たい人には嬉しいし、そうでないひとには微妙だと思うので、別に万人が面白い必要は無い。
だからこそのあの時間帯。


かつての、夜の、コメディアンの、サブカルなタモリが好きにやる。
「明日も観てくれるかな?!」じゃなく好きな人が「観たければ観れば?」
そういう番組。
深夜一時くらいにやれば、もっとしっくり来たかもしれない。
タモリ学 タモリにとってタモリとは何か?