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イマドキのファッション誌の生き残り方

読書 ファッション


雑誌「HUgE」が12月24日発売号で休刊 | Fashionsnap.com
男性向けファッション誌HUgEが休刊のニュース。
予想通りというか、早いと言うか。
HUgEは先日、サイズが小さくなりリニューアルしたばかりだったが、Twitter辺りでも評判は芳しくなく、どうなるかと見ていたんだが数カ月しか持たなかったらしい。
さもありなん。
誰がGoを出したんだか、疑問しか残らないリニューアルだったので当然と言うか必然と言うか。

ここでは、リニューアル後に回復したPOPEYEとリニューアルにしくじったHUgEを比較してみてみる。




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POPEYEの回復

まずこのグラフを見ていただくとよくわかる。
f:id:paradisecircus69:20141031152537j:plain
数字はJMPA発表の印刷証明付発行部数による。

グラフで言うと下降時期にある頃。
2012年5月号(4月10日発売)の表紙。
POPEYE (ポパイ) 2012年 05月号 [雑誌]
プレッピー、表紙はトムブラウン?(モンクレールか)
表紙にも、はっきり祐真朋樹氏の影響が強いのがわかる。
sukezane.net / INFORMATION


POPEYEは、それまでの高級なブランド志向を捨て2012年6月号よりリニューアル。
BRUTUSの元副編集長 木下孝浩氏を迎えてモードから「モノ」へと転換。
2012年6月号(5月10日発売)
POPEYE (ポパイ) 2012年 06月号 [雑誌]
ここで大きく方向転換をした。

ハイファッション、フォト、カタログ誌ではなくシティボーイと知識を中心に立て直し。
それまでのマルニ、ディオール、トムブラウンなどの高級ブランドからストリートファッションへと方向転換。
「シティーボーイのABC」と言われても、それなりの年齢の人間には今さら感が強いが、それを知らない世代からすれば一周回ってきた新しいもの。
これが当たる。

グラフに如実に表れているが、一時期は41,834部まで落ち込んだ部数が今年4~6月期には100,834部を記録。
多くのファッション雑誌がターゲットを若者から上の層へとシフトする中、POPEYEはこれまで通り若者をターゲットに、しかし物としてのカタログやブランドだけではなく、具体的なアイテムに関する歴史と知識、それらの裏付けを示すことで部数を伸ばした。
(若者向けプレシャス路線とでも呼ぶか)

この回復は、ファッション雑誌界隈で話題になった。

他にも「POPEYE」を買って読む若い男性は急増。コレクショントレンドをいち早く安価で市場に提供するファストファッションがおしゃれの出発点だった90年代生まれの若者たちにとって、「キャップは◯◯の△△」「パンツは◯◯の△△」など、アイテムとブランド、品番や型番を限定し、ストーリーなどうんちくやディテールを紹介している雑誌には初めて出合ったのだろう。

http://www.web-across.com/todays/cnsa9a00000adhd6.html?ra=1

HUgEの失速

反対にHUgEは2008年4~6月期には40,667部だったが右肩下がり。
2012年1月には21,000部でほぼ半分に。

そこで2012年4月号からリニューアル。
HUgE (ヒュージ) 2012年 04月号 [雑誌]
徐々にファッションよりもカルチャーやアート系などのコンテンツを増やした。
しかし部数は伸びず。
ここで創刊から関わってきたEATerが109号で手を引く。
HUgE (ヒュージ) 2014年 05月号 [雑誌]
2014年5月号よりサイズを小さく再度リニューアル。
コピーは「大人ファッショニスタ」

内容もファッション以外に高級時計や車など、これまでよりも大人の購読者層を意識した雑誌を目指した。
サイズを小さくしたのもAne CanやELLE Girlでの女性誌小型化の成功を受けてのことだったのかも知れないが、じゃあ右肩下がりなのはサイズの問題だったんだろうか?





しかしリニューアルは失敗。
小さくなった分高級感が無くなり、それまでのカルチャー的な側面も激減。
結果、下げ止まらず遂に休止に至った。

HUgEからTHEMへ

現在ファッション誌が売れないと言われるが、部数が安定しているLEONやLIGHTNINGのような一定年齢層をターゲットにした雑誌もある。
メンズプレシャスのように伝統と格式を前面に打ち出し、分厚く重い雑誌を出し続けたりもしている。

海外と違い日本のネット圏は、メンズファッションが弱く(スナップやストリートカジュアルはまだしも、特にモード系が)だからこそまだ雑誌にも伸びしろがあると思える。
知識や歴史などという点で言えばネットのファッション界隈は弱い。
そこをPOPEYEが埋めた。


かつてのHUgEのディレクター右近亨のTHEM MAGAZINE。

「かつてのHUgE」を再現したような、Vogue Hommeのようにアーティスティックな大判の写真が踊る紙面は、当然ながら旧HUgE読者にウケている。
知識ではなくて感性。
Them magazine (ゼムマガジン) 2014年 10月号 [雑誌]
Them magazine (ゼムマガジン) 2014年 12月号 [雑誌]

日本にはすでに、優れた実売誌がたくさんあります。これから必要なのは、
高いファッションセンスや知識、想像力を啓蒙できるような雑誌です。
「ファッションを買う」ための雑誌ではなく、「ファッションを創る」ための雑誌。
それが今、日本のファッションシーンに求められているファッション誌ではないでしょうか。
ファッションに限らず、アートやカルチャーも同じ視点で特集いたします。
なにがかっこよくて、なにがかっこ悪いのか。その哲学を明確に打ち出します。
テーマは自由に、そして決してブレることのないスタンスで、
多くの読者から美学を共感してもらえる雑誌。
Them magazineは、そんな雑誌を目指しています。

ABOUT US | THEM MAGAZINE

HUgEというのはかなり独特の雑誌。
VogueHommeすら撤退した、モード文化が薄い日本でモード推し。
音楽、カルチャー、アートも扱う。
アイテムの単価も高く、メンノンほど売れることは無いし、紙面はカタログと言うよりも写真集。
しかし購読者が衣類に注ぎ込むリソースは大きい。
大きく伸びはしないまでもニッチなそう言う層を捉えていたのに、リニューアルで小さくなりターゲットを広げようとしてそれまでのファンすら離れた。

価格もメンノンとPOPEYEが760円、MEN'S FUDGEが680円。
旧HUgEは800円、リニューアル後は680円。
THEM MAGAZINEは1,000円と大きく出てる。
(ちなみにシニア層をターゲットにしたMADUROは980円)

め、MEN'S Preciousってあのデカさで950円なのか……。
旧LOGINとかMAC LIFEくらいあるのに、アレ。

まとめ

個人的には、2005年ごろからHUgEを購読。
ファッションよりもカルチャーの割合が増え始め、数年前から買わなくなった。
気づけば小さくなり、気付けば休刊。
編集が離れたとか聞いて、案の定というか。

小さくなって、紙面があぁなって、休刊。
作り手はあのHUgEが出来上がって「これで大丈夫」と思えたんだろうか。
あれほど失敗したリニューアルもなかなか見かけない。


【関連過去記事】

TOOLS REAL STUFF for FUTURE CLASSICS  (HUZINE 1)