おたく+嫁+株+宇宙人=芝村 裕吏「宇宙人相場」

最初に書いておきますが、
面白かった。

宇宙人相場 (ハヤカワ文庫 JA シ 4-3)

家族と過ごす時間を持つため在宅投資家となった高野信念は、謎の日米中相場の乱高下に翻弄される。それには宇宙人の存在が……。


昨日の夕方に買って、一気に読みきった。



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主人公 高野信念は、筋金入りのアニオタ。

オタク趣味をやるために金が必要だからブラックな仕事についたが、金があってもアニメを見る時間がないことに気づき、声優のマネージャーになるが声優が好きすぎることに気づいて(いぶし銀の男性声優)退職。
仲間と萌え絵の抱き枕を販売する会社を立ち上げコミケで販売し業績はなかなか。

そんなある時、ちょっとメーテル入ったか弱い女性と出会いいつの間にか恋に落ちる。
か弱い彼女と結婚を決め、一緒にいる時間を延ばすことが最優先になり、在宅で出来る株取引を始める。
ここまでが導入。


宇宙人は要素の一つですけど、作品全体を見ると、おたくが恋に落ち結婚するまでの話。
あとは株取引のお話。

株といってもスカルピング(五分単位で株を買って売るを繰り返す薄利多売の手法)がメイン。
この辺の株話が面白いかどーかってのもあるんですが、株やったことある人なら色々と実体験とか思い出しつつ読めるので面白いと思う。
だよねー、損切りはホント痛いよねー、ナンピンとかやっちゃいそうでやばいよねー、とかとか。


株ってのはハイリスクハイリターン。
資本を持ってる人が一番強い。
昨日どっかで「若者は株をやれ」みたいな記事があったけど、あーいうひとはその辺がよくわかってない。
まだ理屈しか頭にないからああいうことが言える。
少ない資本で始めるとリターンは小さいし、リスクも小さいが、元々の資本が小さいのでダメージがでかい。

やってみれば一番よくわかる。
もっと金あったらもっと稼げるのになー。
こんなもんしか儲からない割にこんだけダメージとか痛すぎるだろ、とか。


お話全体の配合割合としては、
結婚話:4 株:3 宇宙人:2 おたく:1
ってところ。


著者の芝村 裕吏氏というとマージナルオペレーションで有名ですが、早川文庫ではヴァーチャルで右っぽい「この空の守り」とか戦車開発と国防を描いたこれまた右っぽい「富士学校まめたん研究分室」とかのライトなエンタメSFを描いていた。

今回の「宇宙人相場」はタイトルに宇宙人って入ってるしSFと思わせつつ、でも実態は経済小説っぽい読み口。
株初心者の人とか興味がある人とかだとかなり面白く読めそう。
作中みたいにサクサクうまくはいかないけれども。
ホント、相場は宇宙人が噛んでんじゃないかってくらい無茶な動きもするものなぁ。


リーマンとかライブドアショックとかあの辺を体験してると痛々しい記憶が蘇る。
なのでどちらにしろSFを期待して読むと少し違うかもしれない。
橘玲辺りのがっつりした経済小説は敷居が高いかなー、って人に良さそう。
ちょっと株をやりたくなる。

あと表紙は萌え宇宙人のイラストでもよかったんじゃないかなー。芝村裕吏「この空のまもり」を読んで考えるリテラシー - あざなえるなわのごとし