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冒険ロマンの始まり 野田 サトル「ゴールデンカムイ」

マンガ

ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックス)

『不死身の杉元』日露戦争での鬼神の如き武功から、そう謳われた兵士は、ある目的の為に大金を欲し、かつてゴールドラッシュに沸いた北海道へ足を踏み入れる。そこにはアイヌが隠した莫大な埋蔵金への手掛かりが!? 立ち塞がる圧倒的な大自然と凶悪な死刑囚。そして、アイヌの少女、エゾ狼との出逢い。『黄金を巡る生存競争』開幕ッ!!!!

これは面白い。




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日露戦争。
激戦の203高地で鬼神のごとく敵を打ち殺し、生き残った「不死身の杉元」
しかし上官に逆らったかどで放り出され、杉元は一獲千金を夢見て北海道で砂金採りに赴く。
そこで知り合った男から、杉元は妙な話を聞く。

アイヌ族が大量の金塊を蓄えていた。
だが、それを一人の男が奪い去った。
男はある時、捕まり投獄される。
同房の男らの背中に金塊の在処を示した地図を刺青として入れた。
刺青をされた男らは脱獄し、今どこかに潜んでいる、と....。


主人公らの動機って意外と重要。
たとえばワンピースなら求めるのは「海賊王ゴールド・ロジャーが隠したひと繋ぎの秘宝(ワンピース)」なわけだけれどそのワンピースで得られる経済的成功を狙っているわけではなく、ワンピースを手にすることによる海賊王と言う称号(手にすることで認められる)という漠然とした概念であって、金銀財宝を手にすること自体ではない。
主人公の動機が「金に物言わせて愛人80人でパコパコウハウハですわ―wwww」だったら感情移入しづらい。
もし「金目当て」の海賊だったらもっと生々しい物語になる(ワンピースは義賊的な側面が強く、バトルマンガの構造ですし)。

ゴールデンカムイでの目的は、しごく単純に黄金。
このストレートな目的の背景に「過去に思いを寄せた女性のために」と言う動機があった上で読者は主人公に感情移入できる。
一次の目的は他のライバルも変わらないわけだが、敵側は「金目当てに躊躇なくひとも殺す」という設定を行うことで感情移入できる主人公らと切り分けをしている。
同じ金目当てでも感情移入できる主人公らと非道な敵という明確な分け方。

この辺がファンタジーな(日露戦争後の北海道)世界でありつつも、そこで繰り広げられる冒険ロマンが甘っちょろいものではなく血で血を洗う大人の論理として進んで行けるようになってる。


最近のマンガはすぐに「特殊な能力が~」という安易な逃げ方をするんだが、主人公の「不死身の杉元」は別に念の力を使って助かったわけでも無く、実はとある惑星からやってきた宇宙人っで尻尾が生えているわけでも無く、全身に傷を負いつつも生き残ったただの強い人間。
その普通の人間がアイヌの少女と北海道の自然を舞台にサバイバルをしつつ、アイデアや運や駆け引きを駆使して、恐ろしい敵をかわしつつ金塊の地図の入れ墨をした囚人を探して冒険を繰り広げる。

途中挟み込まれるトラップの仕掛け方などのウンチクも面白く「マスターキートン」とか「冒険野郎マクガイバー」などを連想させる。
財宝を隠した刺青の地図なんてスペースコブラ以来じゃないですかw

どことなく今っぽくない、ちょっと昔のdkwk感あふれる中身が中だるみ無くテンションを維持してる。
二カ月連続刊行だそうで、しかも二巻はさらに面白いとか……。
かなりおススメのシリーズ。

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