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”屋根のない収容所”ガザと自由を願うラップの力 映画「自由と壁とヒップホップ」

映画 音楽


映画『自由と壁とヒップホップ』予告編 - YouTube
中東、パレスチナのラップシーンを描いた映画。

イスラエル西部。
パレスチナ人の居住するガザ地区は巨大な壁に囲まれ、民族ごと隔離されている。
そんな中、米国ラップを聴き影響を受けたパレスチナ人の若者がガザでラップを始める。
歌うのは、パレスチナの置かれた環境、閉塞感、檻のような高い壁。



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歌って言うのは、パンクロックにしろそうですが社会的な意味性が強い側面がある。
かつてセックスピストルズは「アナーキーインザUK」「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」と英国や女王を皮肉り、ザ・スミスのモリッシーは「ザ・クイーン・イズ・デッド」と歌った。


他にもADF(AsianDubFoundation)やRATM(RageAgainstTheMachine)のようにウォール街でPVを強硬撮影し、ザックはアジテーションを繰り広げたり。

Rage Against The Machine - Sleep Now in the Fire ...

日本でも昔のフォークやロックは反戦・反体制を歌っていたけれど、いつの間にやら愛だとか恋だとか「キミとボク」を歌うのが主流になった。
清志郎のタイマーズやブルーハーツの頃はまだそういう社会的なメッセージを歌うバンドも多かった気がする。
解散してしまったSOFT BALL(秋茜)のように戦争を歌ったりするロックは今や稀有(切腹ピストルズ、R指定とか、か)。


ガザ地区と言う、民族ごと壁で封じ込めた屋根のない巨大な収容所。
西から東に移動するにも通行証が必要で、幾つもの検問を通らなければならない。
そんな特殊な環境で多くが貧困の中で犯罪に走り、麻薬を売って生きざるをえなくなる。


白人中心の資本主義社会の中で黒人が抑圧される中、サウスブロンクスからラッパーが登場し、パブリックエナミーのように反社会のメッセージを歌い始めた(パブリックエナミーはデフジャムなのでロングアイランドですが)。
抑圧された環境だからこそパブリックエナミーのチャック・Dが言った

Rap music is the CNN for black people.

と言う言葉にもシンパシーを感じる。
民族は違えども理不尽な差別と抑圧は同じ。
何の罪を犯していなくても「その民族に産まれたことを恨め」とばかりに劣悪な環境を強いられる人々。

劇中、登場するラップグループDAMとあとを追うように産まれたラップグループPR。
同じガザ内でもヨルダン川西岸地区から東へ移動するには許可証が必要。
二組はガザ初のラップフェスを企画するが双方の出会いを検問が阻む。


映画「シュガーマン 奇跡に愛された男」では、アメリカで売れなかったロドリゲスのレコードが南アフリカに渡り、反アパルトヘイトを願う若者らを中心に広まり、支持を得て、抑圧される彼らの反アパルトヘイト運動の支えになった。

抑圧された人々の社会において、音楽は果たしてどんな役割を果たせるのか。
音楽は、単なる娯楽として消耗されるだけのものではない。

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