韓国にとっての北朝鮮という仮想敵国「同窓生」

同窓生COMPLETE EDITION (初回限定生産版) [DVD]

T.O.P (from BIGBANG)主演のアクションドラマ。汚名を着せられ殺された工作員の父親が原因で北朝鮮の収容所に監禁された兄妹。兄は妹の命と引き換えに、韓国に潜伏し暗殺指令を遂行する工作員になるよう命じられ…。



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ももクロ主演の「幕が上がる」はアイドル映画と呼ばれたりしてるわけですが、こちらは韓流アイドルT.O.P (from BIGBANG)が主演で、ガチガチにアクションをやってる。その辺はもうアイドル映画というかきちんとしたスパイアクションになってて感心する。
というか、今までの「アイドル映画はクオリティが低くても当たり前」という価値観の方が歪んでたのかもしれないが。

工作員だった父親と同じように韓国へ送り込まれる主人公。
普通の高校生として日々を過ごし、合間に工作員として裏切り者を始末する。

ところでこれを観ながら考えていたのが先日観た「サスペクト 哀しき容疑者」
こちらも同じように主人公は、北朝鮮の特殊工作員。
自分の妻を殺した相手を探し韓国内で戦うというストーリー。

映画『サスペクト 哀しき容疑者』予告編 - YouTube

どちらも主人公は北朝鮮から来ているが北朝鮮に絶対的な忠誠を誓うわけではなく、「同窓生」の場合は妹のために、「サスペクト」の場合は妻を殺した敵討ちを行う、政治ではなく個人の事情が優先している。
しかも戦う相手はどちらも韓国vs北朝鮮ではなく、北朝鮮の内部抗争、権力争いや内輪揉め。
私利私欲に取り憑かれる上層部に政治的な事情で振り回され、個人の事情で戦う。


映画が公開されるのは当然韓国だけど、主人公の動機が「家族愛」「家族を亡くした悲しみ」だからこそ観客らが感情移入できるようにできている。
人間である限り家族への気持ちは国が違っても同じ。
もし主人公の動機が「金正日への忠誠心」だったら観客が感情移入できない。
「金正日への忠誠心」は敵の動機。
だからこそ主人公は、冷徹な殺し屋ではなく個人を優先する人間的なキャラクターとして描かれる。


この韓国にとってリアルな「仮想敵国 北朝鮮」という存在は、かつてアメリカのスパイ映画にソ連のスパイが登場したのにも似ているが、ロシア人とアメリカ人ほどの民族の違いがないからこそ主人公が北朝鮮の工作員でも成立する。
アメリカ映画なのに、ロシアのスパイが主人公でアメリカの観客が感情移入するというのはなかなか難しそう。

日本でこういう映画を撮ろうにも具体的にリアリティのある「仮想敵国」というのも設定が難しく、だから嘘っぽくなってしまう。
日本国内で銃撃戦をやれば途端、西部警察みたいに「日本風のパラレルワールド」にするしかない。
「韓国に北朝鮮の工作員が」という実際に起こってもおかしくないバックボーンがあった上で超人的な「北朝鮮でとてつもない訓練を受けたスーパー工作員」というキャラを配置することで上滑りせずに映画が成立するんだろう。


映画『同窓生』予告編 - YouTube

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