暴走する渇望と承認されたい欲求の果て 映画「ゴーンガール」


映画『ゴーン・ガール』予告編 - YouTube

※途中から、ネタバレありです
※観に行ったのに、アップせずに下書きのままだったもの。レンタル開始なので参考にどぞ


映画「妖怪ウォッチ」にたかる子供の群れで混み合うチケット売り場を尻目に、祝日にも関わらず平日みたいな入りの「ゴーンガール」を鑑賞。
原作未読、予備知識なし。
クリスマス時期に観に行く映画ではないですねー。
実にフィンチャーらしい、高クオリティの面白い映画ですけど。

5回目の結婚記念日に、ニック・ダンは妻のエイミーが失踪したと知る。警察と過激化する報道からの圧力によって、ニックの温厚な人柄のイメージが崩れ始める。彼の浮気と不確かな行動に世間はある共通の疑問を抱き始める。「ニック・ダンが妻を殺したのではないのか?」
ゴーン・ガール - Wikipedia



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まず主演ベン・アフレック。

ベン・アフレックといえば「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」でのマット・デイモンの地味な友達くらいのイメージだったのに、気付いたらすっかりいい役者になっていて、今作でも失業して田舎に引き込み、妹の店で昼間から飲んでる夫をうまく演じてる。
失踪した妻を探すシーンでのシャツの脇汗。だらしない身体、無精髭。
デニーロ・アプローチなんだかそこそこ脂肪のついた身体をパーカーに押し込んで、ダンガリーシャツにデニムとか、洗練さの欠片もない感じがイケてる時期/イケてない今を演じ分けてるダメ男の演技には注目。

ロザムンド・パイク演じる妻エミリー。
冒頭、ベン・アフレックのモノローグで頭をなでられあおり見る顔と、最後の顔との落差。
あの雰囲気だけですっかり世界が変わってしまう感じが素晴らしい。


※ここ以降、ネタバレありです

ネットの不在

見ていて思っていたのが「ネットの存在感の薄さ」

最近の映画やドラマにはともかくネットが登場する。
フェイスブック、ツイッター、ブログ。
しかし今作の一番大きなメディアはテレビ。
ウェブはエイミーの失踪を知らせるウェブサイトのアドレスと、会見の反応を見るときに利用される程度しかない。
ある意味テレビが助演くらいの位置を占めてる。


ロザムンド・パイク扮するエイミーは、幼い頃から母親の描く「完璧なエイミー」と自身を比較しそれでも劣等感を抱いて育ってきた。

ハーバード卒でNYでライターとして成功しても、その渇きは満たされない。
虚構の物語と比較し、自身を虚構として演じ続けてきたエイミーにとってみれば失踪計画もライフワーク。
自身の終わりの物語として失踪事件を仕立て上げるが、モニターの中で「愛する妻が行方不明になった愚直な夫」ニックの姿を見て、エイミーはニックの元へ帰る。
理想的な夫婦を演じるために。


「フェイスブック」を撮ったフィンチャーが、ネット全盛の今にあえてネットを描かず、テレビメディアを中心にこの作品を描いたっていうのはとても示唆的で、エイミーの行動原理はネットで肥大し続ける承認欲求と同じもの。
エイミーの行動原理は、誰からも自分が認められたいという根源的な渇望。
自分が虚構の「完璧なエイミー」を越えて。
そのためにモニターの中の理想の夫、ニックの元へ戻る。
現実のニックではなく、モニターに描かれた「失踪した愛しい妻を探す愚かだが悲劇にくれる夫」を求めて。

エイミーは、ニコール・キッドマンが主演した「誘う女」の主人公を連想させた。
地方局のお天気お姉さんである主人公が有名になるために邪魔になった夫を殺させる。
虚栄心、承認欲求。
突き動かすのは金でも無く名誉でも無く、誰かに関心を持って注目されたいという気持ち。
加害者であれ被害者であれ。

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