少年マンガの「修行」とエリート・血統思想

gannbarenai.hatenablog.com
んー、思ったところを少し。
そもそも「努力」とは何の行為か。

実は少年マンガにあるのは、エリート思想だったりするんですよ。
何もない一般人が「努力」だけをするってマンガはあんまりない。

「天賦の才、素養」
まずそれがありき。
それを伸ばすため(読者への理由づけとして)に「修行」と言う行程が描かれる。




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進撃の巨人

進撃の巨人(16)
進撃の巨人、主人公 エレンは巨人化する力を有してる。

これは努力や修行で乗り越えられる要素ではない。
天性で持っている素養。
エレンは、ストーリー開始の段階で既に特殊な存在。

分かりやすく修行編というのはないかもしれませんが、そもそも1巻で訓練してたりするんですよね。
巨人になれるようになったあとも、それをコントロールできるようにしようとするなど、修行編という形ではなくとも、努力しているのは読んでいて伝わってきます。

そしてその力をコントロールすべく修行を行う。
この巨人「修行」が前半にない理由は後段で。

ドラゴンボール

ドラゴンボールでも、悟空は戦闘民族サイヤ人と言う出自。

まず産まれのアドバンテージがあり、その天賦の才を修行により伸ばしていく。
人間からクラスチェンジした努力の人ジェロニモなんてのはレアケース。

悟空とクリリンは同じようにスタートを切るのに、最終的に天賦の才には敵わない。
人間と言う種の強さを極めたクリリンの遥か上を行くサラブレッド悟空。


ヤムチャなんてアレですから……。

バトルモノのパワーインフレ

HUNTER X HUNTER32 (ジャンプコミックス)
以前にバトルマンガのパワーインフレについて書きましたけども、バトルマンガは、

敵を倒す→強大な敵が→修行→パワーアップして倒す→強大な敵が→修行→

というループ構造によってパワーが際限なくインフレすることを指す。
とはいえバトルマンガの全てがインフレするわけではない。

インフレしないバトルマンガとしては、ジョジョのような能力モノ。
特殊能力や、奇想や発想、敵の裏をかき駆け引きで勝つもの。
勝利の理由に関して「力、精神で勝った」と言う理屈が必要ない。
力よりも頭。
ジョジョ、幽々白書の禁句、遊戯王などで使われる手管。
(ダービー戦での承太郎の「ブラフ(根性)」と言う理由は違うかもしれないが)


進撃の巨人に露骨な修行とパワーアップが必要ないのは、インフレ構造自体が必要ないからすね。
次々出てくる巨人に勝ち続けやがて巨大巨人との戦いに……と言うマンガの構造ではない。
トーナメント方式なら必要かもしれませんが。

巨人の力をコントロールする、と言うスキルを持つことで物語を展開をさせることはできるわけですが、それは「巨人とは何なのか?」のネタバレを含むので初期から修行モードは開始出来ない。
コントロールできる、と言うことはある程度タネがわかっている状態。

サラブレッド

食戟のソーマ ~a la carte~ III (JUMP j BOOKS)
悟空はサイヤ人、ゴンの父親は有名なハンター。
幸平 創真の父はエリートコック、ルフィの父は有名な革命家。
空閑 遊真の父親はボーダー創設メンバー、エレンは父親によって巨人化の力を手に入れてる。
ジョースターも血統の物語、キン肉マンは超人であり王子。

みんな生まれつき「特殊である」ことを定められてる。
強い理由は「だから」。
選ばれし者の物語。

少年漫画に「努力」は必要なのか、私には判断できません。
ただ、「修行編」というような話数を割いた描写は少なくなったかもしれませんが、見せ方が変わっただけで、多くの少年漫画に「努力」が見られ、その先の成長に繋がっているのではないかなと考えています。

主語が少年マンガ、というよりもまず「修業」の描写が必要な、インフレのあるシンプルなバトルマンガが現在どれだけあるか?と言う部分が大事かもしれない。
今はそういう作品自体が減った、と言ういい方が正しいっぽい。
勝つ「理由」が、単純な作中の力の描写と言う作品が減ったってことなんですよね。


ま、そういうことかと。
『Z』の誓い(『F』盤)