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いろいろヤバい「ヤバい経済学」

映画

ヤバい経済学 [DVD]
ベストセラーになった「ヤバい経済学」が映画になってたそうで、観てみた。


話題が当時のものなので鮮度が落ちてるものもあるが、面白いものもいろいろと。
原書からエピソードを抜き出し、それぞれを別々の監督が撮影、一本にしたというものらしい。
なのでエピソードにより作風が全然違うのも面白い。



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ロシャンダが別名なら

それまで子供の名前に差がなかったのだけれど黒人はいわゆるブラックムスリム辺りから、アラブ系の名前を子供につけ始めた。
現在でもラヒームとかムハンマド、カリーム(ジャバー)、シャキール(オニール)などの名前が多い。

黒人らしいこういった名前だと白人主体の社会で色々と差別的なことになったりするらしい。
子供の名前=どんな親なのか、に繋がる。
この辺は日本でキラキラネームだったりすると社会的に何かあるとか?
「菊池 幸」と「菊池 綺羅星」で書類選考で落ちる率の差がどのくらいになるのか誰か調べて欲しい。


黒人の名前に関して、日本人だと色々わからないこともあって面白い。

純粋さの崩壊

ここで作風が一気に変わっていわゆる角界での八百長の話になる。
この作品でここだけ違和感ありありで、相撲界の八百長疑惑をがっつり取り扱う。

レヴィット教授は1989年1月から2000年1月までに開かれた本場所の上位力士281人による3万2000番の取組から、14日目まで7勝7敗と勝ち越しがかかる力士と、8勝6敗と勝ち越している力士の千秋楽での対戦をピックアップした。
 過去の対戦成績では、7勝7敗の力士の8勝6敗の力士に対する勝率は48・7%と5割を少し下回る。ところが、これが千秋楽の対戦になると7勝7敗の力士の8勝6敗の力士に対する勝率は79・6%と大きくはね上がるというのだ。
 これだけなら7勝7敗の力士のモチベーションが高い結果といえなくもないが、次の場所での取組(どちらも7勝7敗でない場合)では、前の場所で勝った7勝7敗の力士の勝率は約40%と大幅に落ち込む。この2人の力士が次の次の場所で対戦すると勝率は約50%に戻ると指摘する。
 同書では「一番理屈に合う説明は、力士たちの間で取引が成立しているというものだ」とする

大相撲徹底検証〜数値で検証される「助け合い」「互助の精神」 (1/4)

八百長の存在有無云々はアレとしても(さんざ報道がやりましたし)それをこの数字を元にいうのはなんか座りが悪い。
とはいえじゃあ、NBAでファイナル進出が決まったチーム(ホームコートアドバンテージのみ)とファイナル進出に一勝が欲しいチームが戦えばそりゃあ滑り込みのチームは必死だけれど、ファイナル進出が決まってる方は先のことを考えて戦力を温存したり、あるいはチェックも怪我をしない程度になるだろうし、その辺のプレイに如実に現れる。
相撲にしろ力士全員が一人残らず八百長やってるならこの数字も証拠として納得できるんだが、「8勝が確定してる」「7勝で瀬戸際」と「八百長で勝敗が決まってる」の状態がごっちゃになっててこの数字なのに「この数字を見ればわかるように〜」と言われてもさすがに根拠とするには少し弱い気がする。

その後、例の暗殺だのかわいがりだのの話になり、最後はなぜか日本警察の検挙率の高さの話になる。
んー?
日本の警察の検挙率も一生まるまるやるくらいの話題。
なんでそんなことになるんだ?と思ってたら次の章が「アメリカの犯罪率の低下」だった。

アメリカの犯罪率が下がってる、と。
ざっくり端折るが要は「犯罪率の低下は中絶が法的に認められたから」というバタフライ効果。
中絶を禁止して人口を増やしまくったチャウシェスク政権下でのストリートチルドレンの増加(チャウシェスクの子供たち)を引き合いに出して、それと逆のことが起きたのだ、という。

高校生を買収して成功に導けるか

成績が上がると50ドルを渡す、という条件をつけると生徒の成績が上がるのか?
映画は本に書かれたことの映像化やインタビューがほとんどだが、この章だけ実際の実験を行っている。

成績が上がりオールC(A〜Eの五段階)になれば50ドル。
インセンティブが果たしてモチベーションに効果があるか?という実験。
結果としてはそこそこ効果はあった、という半端な結果。
でも、この結果はなかなか納得できる。


ここからは私見。
たとえばオールEの生徒がオールCになるのはとても難しい。
しかしCCDDDCの生徒なら三教科努力すれば50ドルを手にできる。
この差は大きい。

手に届く目標であれば人間は努力を行う。インセンティブもリアルに見える。
しかし手の届かない目標なら諦めてしまう。
反対に諦観から成績が下がってしまう効果すらある。

成績上位にいる人間には今さら、中間層には効果がり、低層には効果がない。
報酬というのは具体的であれば効果があるが、手が届かないとなれば諦めるのも早い。
だからあんな結果になる。


行動経済学者ダン・アリエリー「予想通りに不合理」などと比べると実地実験よりも世に出ているデータなどを引っ張っている分話題が大きいのだけれど、その分検証に欠損も多い感じ。
原作の本でいうと「ヤバい経済学」「続ヤバい経済学」の中からピックアップして映像化した中身なので面白ければ本を読むのも良さそう。
映画『ヤバい経済学』予告編 - YouTube